*六十四卦に冠する名言・ことわざ集 β版


C.I.の保管庫(トップ)I Ching 〜易経(周易)〜>六十四卦に冠する名言・ことわざ集 β版 / 六十四卦の大意 

※このページでは、2004年〜2006年頃に編纂した「六十四卦の理解を助けるための名言・格言集」を保管しています。
名言などについては、参考文献 から引用させて頂いています。また適宜、語録を増やしていきたいと思っています。


◎「六十四卦に冠する名言・ことわざ集 β版」

はじめに。
素適な名言名句、そして格言を伝えて下さった多くの先賢に称賛と感謝の意を捧げます。
また、総論もありますのでよろしければどうぞ。

卦のイメージを即解できるような文章を選んでいますが、
僕が選んだ言葉よりも適切なイメージを喚起するものもあると思いますので、
「これはどう?」というのがありましたら、ぜひメールを下さい。

※[]内で括られている文字は、“偏とつくり”を表しています。
例えば[金令]は、「鈴」の字になります。



1.乾為天(けんいてん) <本質化と秩序の再構築・運命投影者>

乾とは、能動の意。積極性。原因。反射率100%のデータバンク(情報や集積体)。宇宙意識。

「家から出る時は、いつでも顎を引いて頭をまっすぐに立て、できるかぎり大きく呼吸すること。
日光を吸い込むのだ。
友人には笑顔をもって接し、握手には心をこめる。
誤解される心配などはせず、敵のことに心をわずらわさない。やりたいことをしっかりと心の中で決める。
そして、まっしぐらに目標に向かって突進する。
大きなすばらしいことをやりとげたいと考え、それを絶えず念頭におく。
すると、月日のたつに従って、
いつの間にか、念願を達成するに必要な機会が自分の手の中に握られていることに気がつくだろう。
あたかも珊瑚虫が潮流から養分を摂取するようなものである。
また、有能で真面目で、他人の役に立つ人物になることを心がけ、それを常に忘れないでいる。
すると、日のたつに従って、そのような人物になって行く……心の働きは至妙なものである。
正しい精神状態、すなわち勇気、率直、明朗さを常に持ち続けること。
正しい精神状態は、優れた創造力を備えている。
すべての物事は願望から生まれ、心からの願いはすべてかなえられる。
人間は、心がけたとおりのものになるものである。顎を引いて頭をまっすぐに立てよう。
神となるための前階梯――それが人間なのだ。」【エルバート・ハバード】

「周囲と同じであることのほうが楽なこの世界では、自分であり続けることは、
人生における最もきつい戦いに挑むことである」【E・E・カミングス】

「宇宙の一角に、絶対に成長するものが存在する。
それは自分自身だ。」【オリダス・ハックスリー】

「「運」が成功に結びつくかどうかという点から見ると、
偶然というものの入り込む余地はほとんどないといってよい。」【野村健二】

「運のついているときには積極果敢にやれ。すべてが勝ちにつながる。
運がついていないときには消極慎重にやれ。することなすことまずいことになる。」【木村義雄】

「なすことはすべて創造である。何かをしよう。」【ヌトザケ・シャンゲ】

「あなたには神様からの贈り物が与えられています。
その贈り物とは、あなたはその信ずるところにより、あなたの現実を作り出すということです。
あなたの信念は、あなたの世界を作り出す創造的なエネルギーです。
あなたが信じ込んでいる限界以外には、あなた自身にいかなる限界もありません。」【ジェーン・ロバーツ】

「創造的な労働者を望むのなら、十分に遊ぶ時間を与えることだ。」【ジョン・クリーズ】

「良い考えは良い実りをもたらし、悪い考えは悪い実りをもたらす――だから人は自分自身の庭師なのだ。」【ジャイムズ・アレン】

「わたしの人生の誕生日がやって来た、 私の恋人がやってきた。」【クリスティナ・ジョージナ・ロゼッティ】

「これからの一年はあなたにとって最高の一年であるような予感がします。
あなたがそれに値する人間であることは、天が知っています。」【サラ・バン・ブラナック】

「愛に溢れた人は、愛に溢れた世界に住みます。
敵対的な人は、敵対的な世界に住みます。
あなたが出会う人は、あなたの鏡です。」【ケン・ケイエス・ジュニア】

「人間関係は、自分自身を映し出す鏡である。」【クリシュナムルティ】

「わたしたちは自分の物語の主人公である。」【メアリー・マッカーシー】

「わたしたちは、当然ながら自分が思い描くものになる。」【クロード・M・ブリストル】

「私たちが今日あるのは、昨日の想いがあるからだ。そして、今日の想いが明日の人生をかたち作る。
人生は、私たちの心の創造物だ。」【仏陀】

「創造するものが何もないなら、自分自身を創造したらよい。」【カール・ユング】

「あなたの人生は、どの瞬間も無限に創造的です。そして、宇宙は際限なく豊饒です。
十分に明確な願望を持ちさえすれば、あなたの心が望むものは必ず実現します。」【シャクティー・ガーウィン】

「あなたの頭脳が、あなたの世界を創造しているのだということに、いつも気がついているべきです。」【ケン・ケイエス・ジュニア】

「自分の声に耳を傾けよう。将来の計画をどうするか、立派な大人になるためにどうしたらいいか、
そしていつかきみ自身が立派な父親になるためにどう取り組んでいったらいいか、なんでも自分に問いかけてみるんだ。
まわりの人の言うこともよく聞こう。そのうえで、どうすれば人生がよりよいものになるかを自分でしっかり判断したらいい。
一生懸命働き、つねに神を信じなさい。」【ヴァージル・トラックス】

「宇宙にはじまりがあるかぎり、宇宙には創造主がいると想定することができる。
だがもし、宇宙が本当にまったく自己完結的であり、境界や縁をもたないとすれば、はじまりも終わりもないことになる。
宇宙はただ単に存在するのである。だとすると、創造主の出番はどこにあるのだろう?」【S・W・ホーキング】

「神がほんとうに存在するということが不思議なのじゃなくって、
そんな考えが、――神は必要なりという考えが、
人間みたいな野蛮で意地悪な動物の頭に浮かんだということが驚嘆に値するのだ。
そのくらいこの考えは神聖で、殊勝で、賢明で、人間の誉れとなるべきものなんだ。」【ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』】

「この蒼空のための日は
静かな平野へ私を迎へる
寛やかな日は
またと来ないだらう
そして蒼空は
明日も明けるだらう」【伊東静雄 「詠唱」】

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2.坤為地(こんいち) <献身と順応・心と体を裏側から支える>

坤とは、受動の意。消極性。条件。乾の創造性を刺激とし、新たな命を保養する器。潜在意識。

「われわれは「この世」しか知らないが、「この世」はさらに大きな世界の一部であるかも知れない。
こうした世界が存在すると信ずることは、この世で生を受けた者が果たすべき、もっとも大きな役割であるといえよう。
「科学的」生活そのものは、「おそらく」という考えに大いに関係がある。
そして総体にいって、人生のすべてはこの「おそらく」によって決定される。
「おそらく」を抜きにしては、たたかっても勝利は得られず、誠実な行為も勇気ある行為も行えない。
せっかく人に尽くしても、寛大に振舞っても、また科学的探索を行っても、実験を行っても、教科書を作っても、誤りを犯しかねない。
われわれがこうして生きていられるのも、結局は絶えず危険を冒してはそれを征服するからである。
「必ず実現する」という固い信念だけが、こうした本来実現するかどうか分からない結果を実現させるのである。」【ウィリアム・ジェームズ】

「人間は、不思議な生き物です。いつも消極的な考えをしたり行動をしていると、
知らぬ間に消極的な人生を送るようになってしまいます。」【夏目志郎】

「意識する心の中にもたれた考えは、創造する心によって命令として受け取られ、それに従って行動に移される。」
「あなたは、あなたがそうであると考える通りのものなのである。」【ベン・スィートランド】

「どのような考え、計画、あるいは目的でも、強い信念と期待とをもって、
くりかえしくりかえしそれを思い続けるならば、それは潜在意識の中に必ず植えつけられ、
外界における事実となって実現される。」【桑名一央】

「恵みは何もない空間を埋めるが、受け取れる隙間がある場合しか恵みは入れない。
そしてその隙間を作るのは恵みそのものである。」【シモーヌ・ヴェーユ】

「自分の性格診断の簡単な方法は、なにもしてくれない人にどう接しているかを知ることだ。」【モーガン・ウーテン】

「Everything with nothing.(トッピングなしの「全部入り」)」

「とてもたくさんのことについて、なんにも知らないようにしようとしてきたけど、かなりうまくいってるよ。」【ロバート・ベンチリー】

「老子は2000年以上前にこう述べた。
「粘土をこね固めて、それで器ものはできている。
しかし、器の中心の何もないくぼみがあってこそ、器物としての効用(はたらき)が果たせることになる。
・・・・・・だから、なにかが有ることによって利益がもたらされるのは、
なにも無いことがその根底でその効用をとげているからのことなのだ」。
無の矛盾という精神に則れば、ゼロは始まりで、終わりでもある。
それはすべて(エブリシング)を可能にする無(ナッシング)なのだ。」【バニー・クラムパッカー】

「元始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。
今、女性は月である。他に依って生き、他の光によって輝く病人のような蒼白い顔の月である。
私どもは隠されてしまった我が太陽を今や取り戻さねばならぬ。」【平塚らいてう 『青踏』】

「画家は孤独でなくてはならぬ――
画家は孤独で、自分の眺めるものをすべて熟考し、自己と語ることによって、
どんなものを眺めようともそのもっとも卓(すぐ)れた個所を選択し、鏡に似たものとならねばならぬ。
鏡は自分の前におかれたものと同じ色彩に変るものだ。
このようにしてこそ、画家は「自然」に従ったように見えるだろう。」【レオナルド・ダ・ヴィンチ】

「東洋では霊性的美の欠けたものを、ほんとうの美とは見ないのである。
霊性的生活から遊離した美は、ただそれだけのことで、それ以上には何の意味をも持たない。
茶人は、床の間に、何もおかずに、まだ開きもせぬ一枝の花をそのまま、
何の飾りもない花瓶の中に入れて、壁にかけておく。
この蕾に、天地未だ分かれざるとき、いわゆる神が「光あれ」といった、そのままの光の影がうつって見える、
といったら、今日の東洋の人々は、これを肯(うべな)うか、どうか。」【鈴木大拙】

「人間は苫屋(とまや)に住まい、恥じらいの衣服に包まれている。
内気で用心深くもあるからだが、巫女が神火を守るように魂(ガイスト)を守っているからだ。
これこそが人間の分別である。
だからこそ神々に似たものである人間には、自由が、つまり命令し遂行するより高い力が与えられ、
あらゆる財宝のうちもっとも危険なものである言葉が与えられたのだ。
創造し、破壊し、没落し、永遠に生きる支配者である母のもとにもどっていって、
おのれが何者であるかを証言し、その母からそのもっとも神的なもの、
つまりすべてをはぐくむ愛を承け継ぎ学んだことを証言せんがために。」【フリードリヒ・ヘルダーリン】


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3.水雷屯(すいらいちゅん)<産みの苦しみ、情報と経験の不足・良き協力者を得よ>

屯とは、物事の生じ始めの意。草創期の苦労と受難を表す。ありのままに人を見、時流を読め。

「運命は我々に幸福も不幸も与えない。
ただ、その素材と種子を提供するだけだ。」【モンテーニュ】

「卵を割らないで、オムレツは作れない。」【ことわざ】

「体験を決めているのはあなた自身です。
環境が決めているのではありません。」【ギタ・ベリン】

「9層の高台もひと盛りの土の積みあげから起こり、
千里の遠い旅も足もとの一歩から始まる。」【老子】

「苦境に立って万事休すしたときには、できることがあれば、それをやる。
できることがなければ、あとは忘れるだけだ。
私は未来について決して心配しない。
未来にどんなことが起きるかを予測できる人などいないからだ。
未来に影響を及ぼす力は実にたくさんある!
それらの力を動かすものが何であるのか誰も知らないし、その力自体も理解できない。
なのに、どうして悩むのだ。」【K・T・ケラー】

「人の行なうべきかぎりを行なうのが人の道にして、
そのことの成ると成らざるとは人の力に及ばざるところぞ。」【本居宣長】

「人生を歩み、ライフワークを選ぶときに留意すべきことは二つ、
1)自分自身に正直になること。エマーソンの言葉を借りれば「心が喜ぶ」ことだけをやるようにする。
2)忍耐強さ。人生は厳しい。たゆまぬ努力と、どんなことにも対応できる決断力が必要だ。」【ケン・バーンズ】

「これから、さまざまな試練に直面することになるだろうが、
大抵のことは、気楽に考えて対処していけばいい。
一生懸命努力し、学び、ルールに従って行動すれば、世の中にはたくさんのチャンスがあるはずだ。
つねにベストを尽くすこと。批判をせずに、実行すること。
社会からなにかを得たら、なにかを返すこと。
きみが得たすべてを最大限に生かすこと――安易な逃げ道を探してはいけない。
そしてなによりもまず、ありのままの自分でいること、そして楽しむこと!」【ジョージ・H・W・ブッシュ】

「下積みの時代があるからこそ、成功の味がわかるんだ。」【アール・キャンベル】

「冷淡で利害的関心から離れた理性は、行動の動機ではない。
理性は、幸福を獲得し不幸を避ける手段をわたしたちに教えることによって、
欲求もしくは傾向性から受け取る衝動を導くにすぎないのである。
好み(テイスト)こそ、快と苦をもたらして、
そこから幸福と不幸を産みだすがゆえに、行動の動機へと生成するものである。
好みこそが、欲望と意志との第一のバネ、第一の衝動である。」【デイビッド・ヒューム】

「私はどこへ行こうか、もし行けるなら。
誰になろうか、もしなれるなら。
何を口にしようか、まだあるなら。
そういっているのは誰だ、私だと言っているのは?」【サミュエル・ベケット】


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4.山水蒙(さんすいもう) <目標を見つけよ・指導者の助言が必要>

蒙とは、無知蒙昧の意。個性と人権の保護。勇気を持って、実力と責任能力を身に付けよ。

「汝自身を知れ。汝自身について考えよ。」【ソクラテス】

「自分というものは、やはり、習い覚えて好きになるものなのであろう。」【パトリシア・ハンブル】

「明確な目標を持たない人は、何も達成しない。」【作者不詳】

「問題がはっきりしないままに、知識や事業をむやみに集めても、
それは単なる知識あるいはひとつながりの言葉の列に過ぎず、
情報ではないということになる。」【樺島忠夫】

「頭の中で解決法をあれこれ考えるのはやめなさい。何の解答も得られないでしょう。
直観と霊感によって生きなさい。
そして、あなたの全生活を、神の啓示にしなさい。」【アイリーン・キャディ】

「教育を受けたにしても受けないにしても、問題を解くのに最も必要なのは、
私達が日常生活の中で得るひとつひとつの経験である。」【安西祐一郎】

「稽古をつけることは、別に何もしまへん。
ただ、本人がやる気があって、伸びてくるのを凝っと眺めているだけです。
下手に教えて、その人間の能力が歪んでしまうのが一番怖いことでっさかいにな。」【笑福亭松鶴】

「やってみて、言ってきかせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ。」【山本五十六】

「子どもに愚かだと信じさせると、一層愚かな行いをする。」【ジョン・ホルト】

「現代科学が発見した法則によると、ほめられて育った子供は、叱られて育った子供よりも賢くなるという。
もし自分の部下にちょっと気の利かない者がいたら、それは多分扱い方のせいだ。
賞讃には能力を育てる力がある。」【トーマス・ドライアー】

「わたしには、人の熱意を呼びおこす能力がある。
これが、わたしにとっては何物にも代えがたい宝だと思う。
他人の長所を伸ばすには、ほめることと、励ますことが何よりの方法だ。
上役から叱られることほど、向上心を害するものはない。わたしは決して人を非難しない。
人を働かせるには奨励が必要だと信じている。
だから、人をほめることは大好きだが、けなすことは大嫌いだ。
気に入ったことがあれば、心から賛成し、惜しみなく賛辞を与える。」【チャールズ・シュワップ】

「少年を暴力と厳しさによって教え込もうとするな。彼の興味を利用して指導せよ。
そうすれば自分の能力がどこに向いているか、少年自身で見出しやすくなる。」【プラトン】

「子供を叱る時は怒りをこめてお尻をぶて、
たとえその痛みが一生残っても、何の感情もこめずに打つことは、決して許されるべきではない。」【バーナード・ショー】

「子供の大望を聞いて笑ってはいけない。
子供にとって、笑いはからかいを意味することが多く、からかいほど心を苦しめるものはない。
子供が身のほど知らずの大望について語る時に親のなすべきことは、その大望についてあらゆる観点から、よく話し合ってやることだ。
そしてできることなら、どうすればその目標に成功する望みを持って近づけるか、その方法を助言してやる。
それからさあ、やりなさいと前進を勧める。ありとあらゆる激励を与えてやる。
何よりも、子供が自力でできる事には手を貸さないことだ。
自分で自分の成功を育てる特権と感激を取り去ってはいけない。」【デール・カーネギー】

「自分の弱点をしっかり見つめてその姿を十分に知っておきましょう。
でも弱点に支配されては駄目です。
弱点から忍耐力と優しい心と物事を見通す力を教わりましょう。
本当の教育は知性と美しさと善良さを組み合わせたものです。
そしてこのうち一番大切なものは善良さです。
私たちができる限りの努力をする時、私たちの人生にどんな奇跡が起こるでしょうか。
また他の方々の人生にどんな奇跡が起こるでしょうか。それは誰にも分かりません。」【ヘレン・ケラー】

「経験とは厳しい教師のようだね。
まず最初にテストを行い、レッスンはその後なのだから。」【ヴァーノン・ロー】

「ルソーは間違っていると思う。
「人は生まれながらにして自由である」と彼はいうけど、本当は生まれながらにして自由ではないもの。
生まれたときはへその緒で母親につながっているし、少なくとも7年は自分で自分の面倒を見られないじゃない
(70年なんてこともあるわね)。」【キャサリン・ホワイトホーン】

「監督というのは、手の中にハトを握っているようなものだ。
強く押さえ過ぎると殺してしまうし、押さえ方が不十分だと、どこかに飛んでいってしまう。」【トミー・ラソーダ】

「初等教育においては、宜しく、信ずる働きと疑う働きとを何れも適当に養うことが必要である。
疑うべき理由のあることは何所までも疑い、信ずべき理由を見出したことは確かにこれを信じ、
決して疑うべきことを疑わずに平気で居たり、また信ずべき理由の無いことを軽々しく信じたりすることの無い様に、
脳力の発達を導くのが、真の教育であろう。」【丘 浅次郎】

「子供たちに、新鮮な空気が入り、明るく、陽当たりよく、広々とした教室と、涼しい寝室とを与え、
また戸外でたっぷりと運動をさせよう。たとえ寒くて風の強い日でも、暖かく着込ませて充分に運動させ、
あくまで自由に、子供自身の考えに任せて、指図はせずに、たっぷりと楽しませて遊ばせよう。
もっと子供に解放と自然を与え、授業や詰め込み勉強や、強制や訓練は、もっと減らそう。
もっと食べ物に気を使い、薬に気を使うのは ほどほど 、、、、 にしよう。」【フローレンス・ナイチンゲール】

「怠惰は克服されねばならぬ病気だ。しかし僕は特定の学習計画の厳格な実行を勧めようとは思わない。
僕自身はこれまで二日間と闘い続けて、決った計画通りに実行したことがない。
人間は気持が赴くままに読書すべきものだ。課題として読む本はあまりその当人のためにならない。」【サミュエル・ジョンソン】

「世の中で一番重要なのは教育だ。たくさん学べば学ぶほど、人生で成功する確率も高くなる。」【ジョー・バーベラ】

「教え育てるということは先人の知を与え、当人の智を伸ばすことに止まらず、そのもてる能力を発揮して自分自身の足にて立たしむることだ。
自分から産み出すを教え、自分の考えを実行し、失敗したら更に力を出すことを体得させることが大切だ。」【野口晴哉】

“矯めるなら若木のうち”:枝振りを直そうとするなら、その木が成長する前の若いうちに行うに限る。
これと同じで、人間も少年のうちにきちんとした習慣をつけさせないと、その後では悪い癖は直らないということ。


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5.水天需(すいてんじゅ)<待てば海路の日和あり・英気を養え>

需とは、出番待ちの意。よく食べ、よく眠れ。用意周到、準備万端。点検・再確認を忘れずに。

「ろくな晩じゃねぇや。寝ちまえ、寝ちまえ。寝て起きりゃ別の日だ。」【杉浦日向子】

「未来を心配すれば、現在の時間が奪われるのです。
あなたがどれほど心配に時間を費やしているのか、観察してください。
一日中容赦なく悩みにつきまとわれているようなら、スカーレット・オハラの例にならいましょう。
自分に言い聞かせなさい。
「今は考えないでおこう。それは明日考えよう。明日は明日の風が吹くのだから」」【サラ・バン・ブラナック】

「毎朝床から起きたら、たとえ好きだろうと嫌いだろうと、何か一つやるべき仕事があることを神に感謝しよう。
何が何でも働き、何が何でもベストを尽くせば、やがては節制、自制心、勤勉、強固な意志、満足感といった、
怠け者には想像もつかないような、もろもろの美徳が備わるようになる。」【チャールズ・キングズリ】

「信仰とは日中に敬虔に聞こえる物音を出すことではない。
夜に心の奥の自分に問いかけ――そして朝起き上がって仕事にかかることだ。」【メアリー・ジーン・イリアン】

「霧の晴れ間、知覚の変化、愛への回帰。」
「安らかな心へ戻ることを求めている。自分を変えるために、外の何かが変わることを願っているのではなく、
心の中の何かが変わることを願っている。」【マリアン・ウィリアムソン】

「第一の富は健康である。」【ラルフ・ウォルド・エマソン】

「病気をしたあとで、元気になったと感じて目が覚めるときほど、素晴らしい崇高な経験はない。」【ラビ・ハロルド・クシュナー】

「それでは、立ち上がって始めよ、いかなる運命にも屈することなく
たゆまずにやり遂げ、たゆまずに追い求めながら、
働くこと、そして待つことを学べ。」【ヘンリー・ワズワース・ロングフェラー】

「あなたは独りぼっちではありません。あなたを無条件に愛する誰かが、舵を取っています。
神の愛があなたを支え、囲み、包み、守ります。心安らかに行きなさい。
あなたはちゃんと心構えができています。これからの冒険に備えは充分です。
あなたの唯一の現実である、神聖な物質が豊かに与えられます。
それには、まず求めなければなりません。助けを、必需品を、導きを、恵みを求めなさい。
天の電力にスイッチが入るように求めなさい。流れをつかまえられるように求めなさい。
空を飛べるように求めなさい。求めなさい。求めなさい。
あなたの危機的状況から少し生き抜きができるように求めなさい。
悩みや悲しみ、苦しみを捨てなさい。期待を捨てなさい。嬉しい驚きを求めなさい。
感謝しなさい。待ちなさい。何が起こるか様子を見なさい。わくわくしなさい。
両手を広げて、あなたのものである奇跡をすべて受け入れなさい。
あなたの持っているものがあなたに必要なすべてであることを、忘れてはいけません。」【サラ・バン・ブラナック】

「習うより慣れろ。」【ことわざ】

「あらゆる人知は、ふたつの言葉にまとめられる
――待つ、そして希望を持つ。」【アレクサンドル・デュマ】

「水到魚行」
(水が満ちてくれば自然に魚は泳ぎ出すように、条件が整わないのに無理をしてはいけないという意味の字句)

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6.天水訟(てんすいしょう)<自己表現・活発な交渉と意見の衝突>

訟とは、訴訟・競争の意。流通。勝敗や売買を巡って、互いに対立・折衝し合う様子を表す。

「自分の意見を持ち、他人にも自分なりの意見を持たせる。」【バーバラ・グリッツィ・ハリスン】

「考えることは、異を唱えることだ。」【クラレンス・ダロー】

「競争、争い、病気、限りある能力、限界、良心の呵責、悪、死、欠乏、喪失などの概念を教わる。
そんなことを考えはじめるうちに、それを体験するようになる。」【マリアン・ウィリアムソン】

「もし相手が拳を固めてやってくれば、こちらも負けずに拳を固めて迎える。
だが、相手が「お互いによく相談してみようではありませんか。
そして、もし意見の相違があれば、その理由や問題点を突き止めましょう」と穏やかに言えば、
やがて、意見の相違は思ったほどでもなく、互いに率直さと善意を持てば、解決できることがわかる。」【ウッドロー・ウィルソン】

「自分のあらゆる信念を疑うことをお勧めする。
ただし、2足す2が4になることは別だが。」【ヴォルテール】

「2足す2はいつでも4になる。
だが、インパクトは、素人がブツブツいった場合は3に、
批判家が大声を張り上げれば5になるがね。」【ジェームズ・マクニール・ホイッスラー】

「訴訟に勝つためのポイントは九つある。
1.大金
2.辛抱強さ
3.十分な動機
4.よき弁護士
5.よき法律顧問
6.よき証人
7.よき陪審
8.よき判事
そして9.幸運」。【バニー・クラムパッカー】

「私には夢がある。
いつの日かジョージア州の赤土の丘の上で、
かつての奴隷の子どもたちと、かつての奴隷主の子どもたちとが、
一緒に腰を下ろし、兄弟として同じテーブルにつくときがくるであろう。
……私には夢がある。
いつの日か、私の四人の小さな子どもたちが、肌の色によってではなく、
人となりそのものによって人間的評価がされる国に生きるときがくるであろう。」【キング牧師】

「立場が両極端な者どうしの議論にありがちなことだが、
両者とも正しくもあり、間違ってもいる。」【デイヴィッド・オレル】


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7.地水師(ちすいし)<集団形成力・賢明な指揮者を立てろ>

師とは、大衆・軍師(戦い)の意。目標達成への強靭な実行力。組織に対する献身性と先導力。

「私は自らの運命の師であり、私は自らの魂の指揮官なのだ。」【W・E・ヘンリー】

「危機を目の前にすると、気骨ある人は自分を拠点にたたかう。
彼は作戦命令を自分で発し、自ら指揮をとる。艱難は気骨ある人の心をとらえる。
それをしっかり抱きしめることにより、自分の真の姿を自覚するからだ。」【ド・ゴール】

「戦いに勝つ瞬間は、戦いが始まる前にある。」【フレデリック・W・ルイス】

「ぼくたちは敵に出会ったが、敵は自分だった。」【ボゴ(ウォルト・ケリー作)】

「どの民族もそれぞれほかの民族より偉いと思っている。
これが愛国心を生み、戦争をも引き起こす。
人はだれでも他人よりも何らかの点で優れていると考えていることを忘れてはならない。
相手の心を確実に掴む方法は、相手が相手なりの重要人物であるとそれとなく、
あるいは心から認めてやることである。」【デール・カーネギー】

「長生きすればするほど、強者と弱者、大人物と小人物とを大きく分けるものは「底力」だ――
言いかえれば、何事があっても決して引き下がらない強い決断力、
いったん決まったらあとは「勝利にあらざれば死」という決意だ――と確信するようになった。
これさえあれば、およそ人間にできることで不可能なものは何もない。
一方、これがなければ、どんなよい環境にいようと、どんなに才能があろうと、
どんな好機会に恵まれようと、人間は二本足の被造物に過ぎない。」【トーマス・バクストン】

「岩に矢を射れば、矢は折れる。」【オーストラリアのことわざ】

「我々は一つ、我々の大義も一つ、
だからうまくやるつもりなら互いに助け合わなければならない。」【フレデリック・ダグラス】

「規律なしの人生は存在しない。」【バーバラ・グリッツィ・ハリスン】

「「Teamwork(チームワーク)」という言葉に「I(私)」という文字はない。」【ビル・フォスター】

「私たちは、巨大な宇宙のオーケストラの一員です。
そのオーケストラでは、生きている楽器の一つひとつが、欠くべからざる役割をもって、
補充しあい調和して、全体を、奏でているのです。」【アラン・ブーン】

「初めてのツアーのときは当然、勝者ではない。
自分には勝つ力がある、と信じるのは大変だったよ。」【トム・ワトソン(ゴルファー)】

「リーダーは、この人についていきたいと思わせる人物でなければならない。
自分でどこへ向かっているかわからない人間には、誰も従おうとしない。」【ジョー・ナマス】

「最も小さいものも千人となり、最も弱いものも強大な国となる。」【旧約聖書『イザヤ書』第60章22節】

「2000人が一斉にセロリをバリバリかじっている様子を想像したら、ぞっとしてね。」
(ベジタリアン記念晩餐会への招待を辞退した理由を説明して)【ジョージ・バーナード・ショー】

「国破れて山河あり、 <国都は破壊しつくされて、昔の姿をとどめているのは山河だけだ。>
城春にして草木深し。 <場内にも春がめぐってきて、いまや草木がこんもりと生い茂っている。>
時に感じて花にも涙を濺(そそ)ぎ、 <この先行き多難な時局を思うと、美しい花を見ても涙がこぼれるし、>
別れを恨んで鳥にも心を驚かす。 <親しい人々との別れを嘆いては、鳥の声にも胸さわぎがする。>」【杜甫 「春望」】

「骨肉も尚お死ぬるものだという事は父母の死以来一応合点されていながら、
其れが自分の子どもの上になると、
何の理屈無しに死なぬという堅い自信をもっていたものが此時以来がらりと崩れてしまったのである。
……私は其後度々墓参をした。
凡てのものの滅び行く姿、中にも自分の滅び行く姿が鏡に映るように此墓表に映って見えた。
「これから自分を中心として自分の世界が除々として滅びて行くその有様を見て行こう。」
私はじっと墓表の前に立っていつもそんな事を考えた。」【高浜虚子(本名、清。正岡子規に師事した)】

「戦争は体験しない者にこそ快し。
――この格言は、諸事にわたって経験の乏しいものこそ、嬉々として危険を買って出る、と教える。
事実、アリストテレスも『修辞学』の中で、
なぜ若者というものが向こうみずで、それにひきかえ老人は臆病であるかを説明している。
それによれば、若者はよもやまの物事に通じていないので、かえって自分を恃むことすこぶる厚く、
老人は幾多の経験を経ているので、それがために気遅れもする、というのである。」【デジデリウス・エラスムス】

「彼れを知りて己れを知れば、百戦して殆(あや)うからず。
彼れを知らずして己れを知れば、一勝一負す。
彼れを知らず己れを知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。」
(敵情を知って身方の事情も知っておれば、百たび戦っても危険がなく、
敵情を知らないで身方の事情を知っていれば、勝ったり負けたりし、
敵情を知らず身方の事情も知らないのでは、戦うたびに決まって危険だ。)【孫子】

「されば今ここで諸君の決心を要求する。
身に害を蒙るまえに屈服するか、それとも、私がよしと判断するように、戦うか、
そして若し戦うとすれば、原因の軽重いかんに関わらず妥協を排し、汲々たる現状維持を忌否する態度を決して貰いたい。
なぜならば、対等たるべき間柄の一国が他の国に、法的根拠もない要求を強いれば、
事の大小如何にかかわらず、これは相手に隷属を強いることにひとしい。」【トゥキュディデス(ツキジデスとも)】

“遠交近攻”:遠く離れ直接の利害の関わらない国とは仲良く親交を結びながら、
利害関係が対立した近隣の国には攻め込むということ。国の外交政策に譬えられる。


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8.水地比(すいちひ)<誠実な信頼関係・互助互恵が鍵>

比とは、親睦の意。他との比較分析。確かな能力と信頼があれば、大事な情報も共有できる。良心および分別。

「怠け者だったら、友達をつくれ。友達がなければ、怠けるな。」【サミュエル・ジョンソン】

「友人を得、こちらの考えに同調させる最も確実な方法は、
相手の意見を十分に取り上げてやり、相手の自尊心を満足させてやることだ。」【デール・カーネギー】

「真の友情はゆっくり成長する植物である。
友情と呼ぶにふさわしい所まで成長するには、度重なる危機にも耐え抜かねばならない。」【ジョージ・ワシントン】

「自由のないところに真の友情はあり得ない。友情は自由な空気を愛する。
狭い窮屈なところへ押し込められるのは真っ平である。」【ウィリアム・ペン】

「人生の行路をかなり遠くまでたどってくると、
以前は偶然の道連れにすぎぬと考えていた多くの人が、
ふと気がついてみると、実は誠実な盟友だったことがわかる。」【カロッサ】

「真の友情は、後ろから見ても前から見ても、同じものだ。
前から見れば薔薇ばら、後ろから見ればとげ、というものではない。」【リュッカート】

「友人同士は完全な平等のうちに生きる。
この平等はまず第一に、かれらが会った時に社会上のあらゆる相違を忘れるという事実から生まれる。」【ボナール】

「こうしてわたしは地上でたったひとりになってしまった。
もう兄弟も、隣人も、友人もいない。自分自身のほかにはともに語る相手もない。
だれよりも人と親しみやすい、人なつこい人間でありながら、
万人一致の申合わせで人間仲間から追い出されてしまったのだ。
人々は憎悪の刃をとぎすまして、
どんな苦しめかたをしたら感じやすいわたしの魂にこのうえなく残酷な苦痛を与えることができようかと思いめぐらしたすえに、
わたしをかれらに結びつけていたいっさいのきずなを荒々しく断ち切ってしまったのだ。」【ジャン=ジャック・ルソー】

“肝胆相照”:互いに心の底まで打ち明け、親しく付き合うこと。“車の両輪”


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9.風天小畜(ふうてんしょうちく)<引っ掛かりの縁・シンクロニシティ>

小畜とは、小さな気懸りの意。煩雑な情報を最適化せよ。不思議な縁が気づきと発見をもたらす。

「先のことばかりに焦って目をとられると、今のことに気がつかない。」【デミー・ムーア】

「運命はこころざしあるものを導き、こころざし無きものをひきずってゆく。」【セネカ】

「知識には作法の衣を着けねばならない。そして世間に出る道を円滑化せねばならない。
作法のない知識は偉大なダイヤモンドの原石のようなものだ。
戸棚に並べて好奇の眼で眺めるのにはもってこいであり、またその稀少価値のゆえに尊ばれる。
しかし最も賞賛されるのは磨き上げられた時である。」【チェスタフィールド】

「読書とは思いがけないときに聞こえてくる声を逃さないことである。
その声は、本を超え、著者を超え、文章を超えた、どことも知れない源から聞こえて来る。
その超えは世の中がまだ何も言っていないし、表現する言葉すらない、無言の何かから聞こえて来る。」【イタロ・カルヴィーノ】

「何時間も調べたり、選んだり、考え込んだり、やめたり、分類したりを繰り返して、
花が咲き、実がなる幻想にふけっていた。」【E・B・ホワイト】

「あなたが自分の創造力、技術、勇気、自制心、献身、識別力、エネルギー、
情熱、感情、知性、想像力、発明力、熱情、頑張り、忍耐、腕前、汗、勘、粘り、涙、腹立ちを総動員して、
神聖な夢を育てることに取りかかったならば、あなたの才能も育つのです。
それに神との芸術同盟がどれほど大きなことを成し遂げるかを知って、あなたはびっくりするでしょう。」

「あなたが自分の才能を使う必要があるように、世間もあなたの才能を必要としています。
メイ・サートンは警告します。
「外に与えることができなくて、内側に向けられた才能は重荷となり、時には毒として働く。
それは生命の水がせき止められたようなものだ」
自分一人の力で創造しているのではないことを念頭においているかぎり、命の流れは止まるはずがありません。」

「流れに乗りなさい。波を捕まえなさい。大波に乗りなさい。
それができたらどんなに楽しいことか! あなたはどうですか?」【サラ・バン・ブラナック】

「状況によって中断されたり遅れが出たりするものだ。
しかし、ゴールだけは見失ってはいけない。
知識を増やし、経験を積み重ね、どんな事態にでも対応できる準備をしておくんだ。
そうすればどんな事態もうまく利用できる。」【マリオ・アンドレッティ】

「わたしたちは自分の道が自分の心につながっていることを確認しなければならない……
『自分は心に沿った道をたどっているのだろうか?』と自問するとき、
それがどんな道であるべきかを誰も決めてくれないことに気づく。
この神秘的で美しい問いが体内で反響するに任せるのだ。
そのうち自分のどこかから答えが出てきて、悟るのだ。
たとえわずかな時間でも、心を澄ませて静かに聞き耳を立てると、
自分が心に沿った道を歩んでいるかどうかがわかる。」【ジャック・コーンフィールド】

「辛抱です! 神来を頼みにするな。そんなものは存在しません。
芸術家の資格はただ智慧と、注意と、誠実と、意志とだけです。
正直な労働者のように君たちの仕事をやりとげよ。真実であれ、若き人々よ。
しかしこれは平凡に正確であれという事を意味するのではない。
低級な正確というものがあります。写真や石膏型のそれです。
芸術は内の真実があってこそ始まります。
すべての君たちの形、すべての君たちの色彩をして感情を訳出せしめよ。」【オーギュスト・ロダン】

「……私はルビコン川の岸に立ってる思いでした。
この小さい本が出たら、その日からはもう私は後へひくことはできない。
公衆にたよっている医師の身の上として、
公衆から空想家と見られ「よそごと」に気をとられる人間と思われると、どんな運命になるか、わかっています。
私と家族のものの生活とこれからの安定をこの一枚の切り札にかけている思いです。
しかし私の骨身にしみこんだこの世界語の考えを捨てることはできません。
……私はルビコン川を渡ったのです。」【ラザロ・ルドヴィコ・ザメンホフ(人工の国際語エスペラントの創案者)】

何事をなすにも時というものがある。時−それは人間の力を超えた、目に見えない大自然の力である。
いかに望もうと春が来なければ桜は咲かぬ。いかにあせろうと、時期がこなければ事は成就せぬ。(中略)
悪いときがすぎれば、よい時はかならず来る。おしなべて、事を成す人は、かならず時の来るのを待つ。
あせらずあわてず、静かに時の来るのを待つ。時を待つ心は、春を待つ桜の姿といえよう。
だが何もせずに待つことは僥倖を待つに等しい。
静かに春を待つ桜は、一瞬の休みもなく力をたくわえている。たくわえられた力がなければ、時がきても事は成就しないであろう。
時を得ぬ人は静かに待つがよい。大自然の恵みを心から信じ、時の来るのを信じて、着々とわが力を蓄えるがよい。
着々とわが力を蓄える人には、時は必ず来る。時期は必ず来る。【松下幸之助】

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10.天沢履(てんたくり)<社会の規範に倣う・先人の知恵と経験則>

履とは、実践と礼儀の意。対外活動のための自我育成。個の権利を主張し、利益と充足を求める。辿った道のり。

「安全などというものは、じつは存在しません。
長い目で見ると、危険を避けることは、
真正面から危険に直面することよりも安全とはいえません。
人生は大胆な冒険か無かのどちらかなのです。」【ヘレン・ケラー】

「最も危険な誘惑。それは、なにものにも似まいとすることだ。」【アルベール・カミュ】

「独創性とはすべて、先人たちからの剽窃である。」【T・S・エリオット】

「世の中でみんなが新しいといっているものも、ほんとうの意味で新しいものは何もない。
全部先人の残した古い材料の新しい組み合わせに過ぎない。」【上野一郎】

「後継者も実権もまだない若者が世間へ出るに際して心掛けるべきことは、
第一に働き場所を得ること、第二に差し出口を控えること、
第三に周囲をよく観察すること、第四に誠実であること、
第五に雇い主に重宝がられる人物になること、第六に礼儀正しいことである。」【ラッセル・セージ】

「伝統は潜在意識に深く打ち込まれた道標だ。
最も強力な伝統は、説明もできないし、それどころか意識すらしていない。」【エレン・グッドマン】

「体は聖なる衣である。最初の、そして最後の衣装だ。
それを着て人生が始まり、それを脱いで人生が終わるのだから、敬意を払わなければならない。」【マーサ・グレアム】

「自分がしてもらいたいことをする。

何十年も生きてきて、ずいぶんたくさんのことを学んだ。自分よりも賢い人々の言うことに耳を傾けるというのもそのひとつだ。
聞くことによって多くを学べる。話すだけではそれほど学べない。
わたしは8人兄弟の末っ子だ。一番下だったために、間違いを犯すたびに、兄や姉たちから社会的なマナー
――だれかになにかをもらったときはお礼を言うとか、目上の人々を尊敬するとか、
叱られているときはちゃんと聞きなさいとか――をさんざん教えられた。
コーチをしていると、かつて学校や大学で学んだことが役に立つ場合がとても多い。
たとえば、イエズス会の教会学校の道徳倫理の授業で、
「正直でない人は良い結果を得ることができない」と教えられた。
この言葉を知っていたからこそ、コーチとして、選手たちに学校や連盟の規則を守らせることができた。
選手を勧誘するときも、嘘をついたり、社会規範を破ったりなどという行為をしてはならない。
ほかの人の生活に立ち入るときは、自分がしようとしていることが正しい行為かどうかを、
かならず自分に問いかけよう。仕事をしていてこの問題に直面することは多い。
たとえよい結果を得るためであっても、悪いことをしてはいけない。
すべての人々とに対して、自分がしてもらいたいようにしてあげなさい。
自分がしてもらいたいように礼儀正しく接し、自分が得たいような敬意を払うこと。
お金がすべての問題を解決するわけではないし、お金自体が幸せをもたらすわけではないことを肝に銘じること。
お父さんに対してはよい息子となり、子供たちにはよい父親になりなさい。」【ピート・ニューエル】

「だれに対しても、自分がしてもらいたいような対応を心がける。
礼節と敬意、礼儀作法は、いつの時代にも基本である。
いつ話すべきかを知るのは、なにを話すべきかを知るのと同じくらい重要だ。
ルールに従いながら勝つすべを学ぶ。
感謝は伝えるタイミングと伝え方が大切だ。
すぐれた教育の重要性を軽視しない。」【アーノルド・パーマー】

「どんなに沢山の高尚な言葉を読んだとしても、どんなに沢山の言葉を話したとしても、
それらに則った行動をしなかったら、何の役に立つのだろうか。」【ダマパダ】

「スポーツマンシップを実践しているひとりは、
スポーツマンシップを唱える100人にはるかに勝る。」【ヌート・ロックニー】

「おのれ古典をとくに、師(※賀茂真淵のこと)の説とたがへること多く、
師の説のわろき事あるをば、わきまへいふこともおほかるを、いとあるまじきことゝ思ふ人おほかめれど、
これすなはちわが師の心にて、つねにをしへられしは、
後によき考への出来たらんには、かならずしも師の説にたがふとて、なはゞかりそ(※遠慮してはならない)となむ、教へられし。
こはいとたふときをしへにて、わが師の、よにすぐれ給へる一つ也。」【本居宣長】

“知行合一”:知識と実践は同一でなければならないとする陽明学の学説。


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11.地天泰(ちてんたい)<泰然自若が大切・安定継続を守る>

泰とは、通暁泰平の意。芯なくば不安と動揺に心惑う。よく状況を把握し、進むべき道を定めよ。

「自分のやりたいことがもっとやりやすくなる状況となる、
という意味においてのみ、成功は価値がある。」【アラ・コールドウェル】

「自分を心から愛するようになると、他人をもっと深く愛することが可能となる。
自分の欲求について敏感に察知するようになればなるほど、
他人に対しても大らかに優しくなれる。」【エダ・レシャン】

「あなた方が、二つのものを一つにし、外を内のように、上を下のようにする時、
そして、男と女を一つにする時、あなた方は、神の王国に入るであろう。」【トマスの福音書】

「バスケットボールの試合は妻のようなものです。
誠実さと責任を要求して、その代わりに充足感と安心感を与えてくれます。」【マイケル・ジョーダン】

「きみにもそのうち、人生のさまざまなことが見えてくるだろう。
心に訴えかけてくるものはわずかだが、そのわずかなものを一生追求し、心で見えるくらいになろう!
人生で成功するために大切なのは、才能や機会よりも集中力と忍耐力だ。
ぼくの見解では、失敗する人と成功する人の違いは、
物事を”だいたい”正しくやるか、”きっちり”正しくやるかだ。」【ジェリー・ルイス】

「冬ごもり 春さりくれば 飯乞ふと 草のいほりを 立ち出でて 里にい行けば
 たまほこの 道のちまたに こどもらが 今を春べと 手まりつく ひふみよいむな
汝(な)がつけば 吾(あ)はうたい あがつけば なはうたひ つきうたひて
霞立つ 長き春日を 暮らしつるかも」【良寛】

「そのとき、けだかい気品を備えたゼルペンティーナが寺院の奥からすがたを現す。
彼女は黄金の壺をたずさえている。その壺から美しい百合の花が一輪咲き出ている。
かぎりないあこがれが言い知れぬほどの歓喜となって、彼女のやさしいひとみにもえている。
こうして彼女はアンゼルムスをじっと見つめて、口をひらいた――
「ああ、いとしいかた! 百合が花を開きましたわ――最上の願いが達せられました。
私たちの幸せに比べられるような幸せがこの世にあるでしょうか」」【ホフマン(『黄金の壺』より)】

「ラブレーの修道士の知恵は、自分の安泰のためにも、他の人々の安泰のためにも、本当の知恵ですよ。
曲がりなりにも自分の義務を果し、いつも僧院長さんのことをよく言い、世界を勝手気儘に運行させておくというやつです。
それで大部分の者が満足するんだから、世界は丸く納まるわけでさ。
わしがもし歴史を知っていたら、悪はいつでもだれか天才の手をへてこの地上にやって来たということを、
あんたに証明して見せるんだがなあ。」【ドゥニ・ディドロ 『ラモーの甥』】

「自分は今幸福かと自分の胸に問うてみれば、とたんに幸福ではなくなってしまう。
幸福になる唯一の道は、幸福をではなく何かそれ以外のものを人生の目的にえらぶことである。
自意識も細かな穿鑿(詮索)心も自己究明も、すべてをその人生目的の上にそそぎこむがよい。
そうすれば他の点で幸運な環境を与えられてさえいるなら、
幸福などということをクヨクヨと考えなくとも、
想像の中で幸福の先物買いをしたりむやみに問いつめて幸福をとり逃したりせずに、
空気を吸いこむごとくいとも自然に幸福を満喫することになるのである。」【J・S・ミル】

「タヒチでは、太陽の光線が、男女両性へ同じように光を投げかけるように、
森や海の空気が、皆の肺臓を強靭にし、肩や腰を大きくし、ひいては海浜の砂までも大きくするのである。
女は、男と同じ仕事をやる。男は女に対して無頓着である。
――だから、女には、男性的なところがあり、男には、女性的なところがある。」【ポール・ゴーギャン】


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12.天地否(てんちひ)<閉塞状況を打開せよ・他者を受容する心が鍵>

否とは、否定の意。余談を許さず頑固一徹。清廉潔白で批判性。四角四面の一辺倒で視野が狭い。

「異端の才を閉め出したり、排除してしまうやり方をとれば、
その時、組織は“独創性の泉”を枯らしてしまうことになるんです。」【山本卓眞】

「究極の誘惑はおうおうにして究極の中毒症状を伴います。仕事中毒と完璧主義です。
この無分別な二つの行動パターンがなぜ危険かというと、
それらがピューリタン的倫理観でまだ足かせをはめられた社会によって是認され、支持され、維持されているからです。
ピューリタン的考えでは、楽しさを嫌い、血のにじむような努力、厳しい自己鍛錬、骨の折れる仕事によってのみ、
神の御心にかなうと信じています。しかしわたしたちが自分すらも癒せないのなら、
大いなる存在は世の中を癒すためにわたしたちを使えません。」

「仕事中毒に陥った時、何が起こるかというと、
大いなる存在が成功の達成に手を貸そうとしているのを忘れてしまうのです。
世俗的なことと霊的なことを分けて考えるようになっています。
天の恵みを祈るのは、長時間労働ほど実用的ではないように思えます。
大いなる存在があなたの仕事に付き添ったのはいつが最後でしたか?
あなたがそれを大いなる存在に祈ったのはいつでしたか?」

「考えるヒントを上げましょう。
天地創造が済んだとき、創造主は「よし」と仰せになりました。
「完璧だ」とはおっしゃらなかったのです。」【サラ・バン・ブラナック】

「完璧主義は圧制者、人民の敵の声である。
あなたを一生涯閉じ込め、正気を失わせる。」【アン・ラモット】

「それを考えることしばしばであり、かつ長きにおよぶにしたがい、
つねに新たなるいやます感嘆と畏敬とをもって心を充たすものが二つある。
わが上なる星しげき空とわが内なる道徳法則、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、がそれである。
二つながら、私はそれらを、暗黒あるいははるか境を絶したところに閉ざされたものとして、
私の視界の外に求めたり、たんに推し測ったりするにはおよばない。
それらのものは私の眼前に見え、私の存在の意識とじかにつながっている。」【イマヌエル・カント】

「義務感は、仕事においては有用であるが、人間関係ではおぞましいものである。
人々の望みは、人に好かれることであって、忍耐とあきらめをもって我慢してもらうことではない。
たくさんの人々を自発的に、努力しないで好きになれることは、
あるいは個人の幸福のあらゆる源のうちで最大のものであるかもしれない。」【バートランド・ラッセル】

「長安に男児あり <長安に男児がおりまして、>
二十にして心已に朽ちたり <二十で心はもはや朽ち果てて、>
楞伽案前に堆く <楞伽経(りょうがきょうは机上に積まれ、>
楚辞肘後に繋る <楚辞がうしろに置かれます。>
人生窮拙有り <人生にはどうにもならぬ行き詰まりがある。>
日暮聊か酒を飲む <日が暮れるとまずは酒でも飲むぐらい。>
祇今道已に塞がる <現在ただいまお先は真っ暗なんで、>
何ぞ必ずしも白首を須たん <しらが頭になるのを待つ必要はないですよ。>」【李賀】

(李賀:中唐の詩人。幼少の頃より詩の才能を開花させ、十代後半で時の文壇の指導者であった韓愈をもうならせたが、
父の名の晋粛の「晋」と進士の「進」とが同音で諱(忌み名、本名)を冒すのを避けるべきとの理由で、科挙への挑戦権を奪わてしまう。
こじつけがましい理由で官吏への道を阻まれた李賀は性格が荒くなったとされ、他人から排撃を受けることも少なくなかった。
その後も職を求めて翩々とするも、失意の中、27歳の若さで病死してしまう。後世、「鬼才」と評される。)

“無理が通れば道理が引っ込む”:世の常として道理に合わないことが行われていれば、
道理に適ったことは自然と行われなくなるということ。

“主客転倒”:順序や立場・軽重などが逆転すること。


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13.天火同人(てんかどうじん)<協力関係を結べ・対人関係から学ぶ>

同人とは、目的が同じ仲間の意。趣味や同業の集い。クラブやサークル。因縁の出会いと団結力。

「一人で見る夢は夢でしかない。しかし誰かと見る夢は現実だ。」【オノ・ヨーコ】

「鬼ごっこする人、この指とまれ」【日本の遊び】

「徳は弧ならず、必ず隣あり。」【孔子】

「団結は力である。」【イソップ】

「わたしたちは出会いの喜びと感動を感じる必要がある。
わたしたちは似た魂との交わり、
同じ目的のために働いている人との交わりから勇気と新しい命を得る必要がある。」【ジョセフィン・セント・ピエール・ラフィン】

「人々と心がつながる時、不可能に見えたものが可能になります。
人々に逆らうのではなく、人々と協力する時、あなたの中のハイヤーセルフの驚くべき資質が発動されるのです。」【ギタ・ベリン】

「ある選手がチームにとって欠かせない存在であるということはある。
だけど、ひとりじゃチームはできない。」【カリーム・アブドゥル・ジャバー】

「自分が大選手だなんて思ったことはないよ。九人のひとりに過ぎないんだ。
こんな風に思える自分が好きさ。」【カル・リプケン・ジュニア(大リーグ投手)】

「交わる人えらぶべし。古き諺に、朱に交われば赤し。墨に近づければ黒しといへるが如し。
正直なる人に交われば、我が心につつしみ出来、我があやまりと聞きて益あり。
我にへつらふ人に交れば、諫めを聞かず、我が心に従ひ誉むる故、我が心おこたりて損あり。」【貝原益軒】

「人間は天地創造の終わりではなくて、初めなのさ。
つまりわたしたちは第二週の初めにおるので、八日目の子供というわけだな。」【ソーントン・ワイルダー】

“朱に交われば赤くなる”:友人から受ける影響は非常に大きく、
悪友をもてば悪に、良友を持てば善に感化されるものだということ。


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14.火天大有(かてんたいゆう)<資本力・溢れる活力と願望実現>

大有とは、大量所有の意。人材も財力も旺盛だが、過信放漫に注意。積極的アピールと宣伝普及。

「やりたいことを、やれるときにやってしまえ。」【西丸震哉】

「成功は自分ひとりの努力によるものだと主張することは、浅はかで傲慢なことだ。
どんな優れた業績も、多くの人々の手と心と頭に助けてもらって、
初めて可能になるのだから。」【ウォルト・ディズニー】

「本当に大事なのは、持っているものをどう扱うかです。」【シャーリー・ロード】

「喜びは事物の中にはない、わたしたちの内にある。」【リヒャルト・ワーグナー】

「それはわたしが登った初めての景観のよい山だった。
そこからの景色に驚嘆し、有頂天となり、声も出なかった。」【リオンティーン・プライス】

「至福を追い求めると、ドアが開かれるのです。
至福を追い求めると、生まれるときに特別にあなたのために作られた道を歩むことができるのです。
至福と真の自己に従った人生は、同一のものでしょうか?
あなたを有頂天にするもの、あなたに喜びを与えるもの、あなたを天に昇る気持ちにするもの、
あなたの飢えを満たすもの、あなたの憧れを成就するもの、あなたの情熱を点火するもの、
あなたに思いやりを目覚めさせるもの、あなたに平安を与えるもの
――言い換えれば、あなたの至福――もまた天の王国ではないでしょうか?」【サラ・バン・ブラナック】

「ワクワクする仕事をしていれば、自然とお金はやってくる。」【マーシャ・シネター】

「自分にたずねよう。『今日はどうやって金を生み出そうか?』と。
金が足りないと考えないで、金を生み出すことに意識を集中すると、宇宙に送るエネルギーに莫大な差が出て来る。
生み出そうとするときに、金は磁石のように吸い寄せられるが、
不足を意識するとき、金は逃げて行く。」【サナヤ・ローマン&デュエイン・パッカー】

「その子らの数を天の星のように増やし、
行って所有せよと先祖に約束された土地に彼らを導き入れられた。」【ネヘミヤ記 9章23節】

「ぜがひでも欲しいと思うものは何でも得られる。
それには皮膚から噴き上げ、世界を創造したエネルギーと合流する、
あふれんばかりの熱情でそれを望まなければならない。」【シーラ・グレアム】

「「名前が売れる」ことは選手にとって毒なのさ。
飲み込みさえしなければ害はないんだけどね。」【ジョー・パターノ】

「たしかに彼は、一般に公共の利益を推進しようと意図してもいないし、どれほど推進しているかを知っているわけでもない。
……ただ彼自身の儲けだけを意図しているのである。
そして彼はこのばあいにも、他の多くのばあいと同様に、
見えない手に導かれて、彼の意図の中にまったくなかった目的を推進するようになるのである。
またそれが彼の意図のなかにまったくなかったということは、かならずしもつねに社会にとってそれだけ悪いわけではない。
自分自身の利益を追求することによって、彼はしばしば、
実際に社会の利益を推進しようとするばあいよりも効果的に、それを推進する。」【アダム・スミス】

「自分自身に適せず、踏み迷って、休むことを知らない存在、それが人間である。
理性的存在としては余りに多くの自然を有し、自然的存在としては余りに多くの理性を有している
――どうすればよいのか。」【ゲオルク・ジンメル】

「占有は九分の強み」
[借りるなり、預かるなりして手に入れたものは、九分どおり自分のものという意味]【英語の諺】


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15.地山謙(ちざんけん)<謙遜を学べ・能ある鷹は爪を隠す>

謙とは、謙虚の意。実るほど頭を垂れる稲穂の如く、身の程を弁えよ。自覚と失敗の経験を糧に。

「河や海が数知れぬ渓流の注ぐところとなるのは、身を低きに置くからである。
その故に、河や海はもろもろの渓流に君臨することができる。
同様に、賢者は、人の上に立たんと欲すれば、人の後ろに身を置く。
かくして、賢者は人の上に立てども、人はその重みを感じることなく、
人の前に立てども、人の心は傷つくことはない。」【老子】

「汝の行いを低くし、汝の望みを高くせよ。」【ジョージ・ハーバート】

「自分が話しているときは学べない。学べるのは、質問をしたときだけだ」【ルー・ホルツ】

「靴が一足もなくて惨めな気持ちだった。
しかしそれも、足を失った男を見るまでだった。」【ハロルド・アボット】

「謙虚さを学ぶ暇があればよかったのに、とよく思ったものでした。
でも自分のことを考えるのに忙しかったのです。」【イディス・シットウェル】

「関心を持っていると見せかけるのも、大切な知恵
――成功したときに謙虚さを装う――を学ぶ最初の一歩だよ。」【ボブ・コスタス】

「自然なタッチに勝るものはない。
そのタッチは何百万個もゴルフボールを打って初めて、自分で編み出せるものなんだ。」【リー・トレビノ】

「自己満足に陥らぬ者は成長する。
自分の考えが正しいという確信を持てぬ者の方が、多くのことを学ぶ。」【中国の格言】

「自分の現状に満足できない。もっと上達できるはずなんだ。
その想いが私を前に進ませた。」【バージニア・ウェード】

「自分のベストを尽くす人は、自ずとリーダーになっていく。」【ジョー・ディマジオ】

「だれでも、自分はこうあるべきだが、実際にはそれとは程遠いと思われる理想像を描く時がある。
進歩向上を目指すすべての人間にとって、この理想像は本人より立派である。
今の自分より賢くなりたい、立派になりたい、気高くなりたい、と全然考えたことがないほど、
自己満足に陥っている人間はいない。」【シーオドア・パーカー】

「人の一生は重荷を負いて遠き道をゆくが如し。いそぐべからず。不自由を常とおもへば不足なし。
こころに望みおこらば、困窮したる時を思ひ出すべし。堪忍は無事長久の基。
いかりは敵とおもへ。勝事ばかりを知りてまくる事をしらざれば、害其身にいたる。
おのれを責めて人をせむるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり。」【徳川家康】

「世間の人びとの目に私という人間がどう映るかはわからない。
しかし、私自身には、目の前に真理の大海が未知のまま広がっているというのに、
私ときたらただ浜辺で遊び戯れ、
時おり普通のものよりも滑らかな小石やきれいな貝殻を見つけては喜ぶ子供のようなものだった、
としか思えない。」【アイザック・ニュートン】

「航海する者が自分のもつなわの長さを知ることは、
それで大洋の深さをすべて測れなくとも、たいへん役に立つ。
航海を導いて、難破の恐れのある浅瀬に乗り上げないよう用心させる必要のある場所で、
じゅうぶん底へととどく長さがあると知っていれば、よいのである。
この世での私たちの務めは、なんでも知り尽くすことでなく、
わたしたちの行為に関わりあるものを知ることである。」【ジョン・ロック】

“自ら卑うすれば尚し”:自分を謙遜する者は、他人から尊敬されるということ。


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16.雷地豫(らいちよ)<プログラム・準備支度の功あり>

豫とは、仕込みの意。予め計画したことを順序良く実行する。運命の実践。将来に対する期待感。

「私の音楽の基本はいつも変わらない。
常に新たな気持ちで挑戦しているだけだ。」【スティービー・ワンダー】

「花を愛するのに、植物学は不要である。」【稲垣足穂】

「われわれは、安逸と贅沢が得られなければ人生の幸福はあり得ない、と考えているが、
実際に人を真に幸福にするものは、何かわれを忘れて取り組める事柄を持つことである。」【チャールズ・キングズリ】

「わたしの知る最大の楽しみは、こっそり善行を施し、それを偶然発見してもらうことだ。」【チャールズ・ラム】

「わたしたちを幸せにしようとしてくれる人たちを温かく迎えよう。
彼らは魅力的な園芸家で、わたしたちの心に花を咲かせてくれる。」【マルセル・プルースト】

「水差しは水を運びたいと熱望し、人はやりがいのある仕事を熱望する。」【マージ・ビアシー】

「一瞬インスピレーションがさっとひらめいて万事解決する――
この言葉をうっかり信用して、多くの前途有望な人間が破滅している。
インスピレーションに確実に到着する道路はプレパレーション(準備)である。
一心に励まなかったために、度胸も才能もある人間が失敗する例を、私は何度も見ている。
例えば、話術をマスターするには、まず自分の取り上げている話題をマスターするのが先決である。」【ロイド・ジョージ】

「人生が低俗ではなく神聖であることを願う。
一日が百年のように重みがあり、よい香りがすることを願う。」【ラルフ・ウォルド・エマソン】

「自分の真の価値を理解するほうが、なにかを実際に成功させるよりもむしろ有益だと言える。
生まれつきの才能を生かし、謙虚な気持ちと信念を持ち続けること。
大切なのは神とのつながり、家族とのつながり、そして自分より他者を優先することだ。
内面を充実させることによって幸せが生まれ、平和と満足によって喜びがもたらされる。」【ポール・モリター】

「ぼくにとって、誠実でいるということは「完走する」ようなもので、
心に描いた通りになると確信して、そのために準備し、勉強し、練習し、学び続けることだ。
つまり、実際にそうなったときには準備万端というわけだ。」【モリ・ターナー】

「賢い方法は、人生に歩み寄らせること。追いかけてはいけない。
忍耐強く、準備怠りなく、そしてなにより楽しむこと。
そうすれば、成功のほうできみを見つけてくれる。」【ディック・エンバーグ】

「ホームランは偶然じゃ打てない。練習したから出るんだ。」【ロジャー・マリス】

「一瞬インスピレーションがさっとひらめいて万事解決する――
この言葉をうっかり信用して、多くの前途有望な人間が破滅している。
インスピレーションに確実に到着する道路はプレパレーション(準備)である。
一心に励まなかったために、度胸も才能もある人間が失敗する例を、私は何度も見ている。
例えば、話術をマスターするには、まず自分の取り上げている話題をマスターするのが先決である。」【ロイド・ジョージ】

“満を持す”:弓を十分に引いて待っていることから、全ての用意を整えて時機の来るのを待っていること。


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17.沢雷随(たくらいずい)<ペルソナ・自我を捨て臨機応変に>

随とは、随時随行の意。運命の流れに従い、与えられた役割を演じる。献身性と思いやり。福祉。

「誰も私を正確に演じることはできない。
自分でさえ、なかなか自分を演じきれないのだから。」【タルラ・バンクヘッド】

「私はあなたの行く道をついて行こう。手に手をたずさえよう。
あなたが私を助けてくれれば、私もあなたを助ける。」【ウィリアム・モリス】

「もしもあなたの役割モデルとなる人々が現在活躍中なら、あなたのために今道を切り開いてくれている、と思いなさい。
その後をついて行きなさい。その人がたどった旅をできるかぎり調べなさい。その人にじかに会えますか?
その人はあなたが出席できるような講演、講習会をしますか?
女性実業家団体、各種会議の組織などに参加し、助言を求め、たまには床に目を落として探してごらんなさい。
誰かがあなたのために道を用意しているかもしれませんよ。」【サラ・バン・ブラナック】

「元連邦最高裁判判事のオリバー・ウェンデル・ホームズがこう言っています。
「われわれは、人生の流れ全体を率いている。サーカスのパレードの先頭を行進する少年たちと同じだ。
だが、たとえ少年たちが飽きて脇道に駆けだしていってしまっても、行列はそのまま進む」
ぜひとも、誠実と奉仕と思いやりの道をまっすぐ行進していって下さい。
そうすれば、行列はきみのうしろに付いてくるでしょう。」【ミット・ロムニー】

「もし幸せになるために誰かを頼っていたら、あなたは奴隷になり、隷属し、囚われの身となる。
そして、あなたは多くの人々に頼っている。
彼らは影の主人となり、その見返りに、あなたを搾取しているのだ。」【バグワン・シュリラジニーシ】

「「わしが、、、言葉を使うときには」と、ハンプティダンプティは、鼻であしらうように言いました。
「その言葉は、わしが決めただけのことを意味するんじゃ――それ以上でも以下でもなくな。」
「問題は」と、アリスは言いました。
「一つの言葉に、そんなにいろんな意味を持たすことができるのか、ってことです。」
「問題は」とハンプティ・ダンプティが言いました。
「どっちが主人か、ということ――それがすべてじゃ。」」【ルイス・キャロル 『鏡の国のアリス』】

“驥尾(きび)に付す”:駿馬の尾に付いて行くということから、人と行動を共にする時、
相手を立てて自分は謙遜していったり、優れた人に従って自分も努力するということ。


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18.山風蠱(さんぷうこ)<バグ発生・内部エラーを修正せよ>

蠱とは、虫食・腐食の意。貪欲で自堕落。内部腐敗や旧態の弊害を徹底的に排除、更新すべき時。

「私の人生にはいつも汚れた皿があります。
この流しが瞑想の場になるのなら、ここでは普遍性を学ばせてください。」【ギニラ・ノリス】

「きれいなものは汚れる。汚れたものは、毎日毎日何回となく、きれいにされる。」【シモーヌ・ド・ボーヴォアール】

「どれほどひどくても、手入れをしていない家は生き甲斐のない人生ほど悲惨ではない。」【ローズ・マコーリー】

「天国にゴミはありません。」【アン・リー】

「また塵を払うときが来た。わが家を愛撫するとき、表面をくまなく撫でるとき。
それを愛の行為だと考えたい……共に生き、いとおしんでいるものを存分に触れる機会だと。」【ギニラ・ノリス】

「現実の人生とは、地下室に娯楽室を作るというようなことだと考えているが、それは違う。
癌が現実の生活なのだ。癌であることを受け入れると、体に内蔵された新しいシステムが自動的に開くように思える。
ちょうど緊急事態になるとジャンボジェット機の中で、酸素マスクと救命胴衣が自動的に膝に落ちるのと同じである。
時間を借りて大地を歩くとき、暦の毎日はほんの短期間だけ知り合ったいとしい友人となる。」【ジュディス・フーパー】

「君はぼくのいまやっていることを見ているだろう。
かばんのなかにすきまができたから、そこへ乾草をつめているんだ。
ぼくらの人生のかばんもそんなものだよ。
すきまがないように、なんでもいいからつめこまなければならないんだ。」【ツルゲーネフ『父と子』】

「居宅器財の如きは、よしや一朝に皆失ふも惜むに足らず、只惜むべきは興継の死のみ、
然るに不幸短命にて、父に先立ちて没したり、幸いに嫡孫あれども、いまだ十歳にだも至らず、
日は暮れんとして道遠かり、吾それ是を如何かすべき。」【滝沢馬琴】

「幾たびか辛酸を歴て志始めて堅し
丈夫玉砕すとも甎全(せんぜん:いたずらに身の安全を保つこと)を愧(は)ず
一家の遺事 人知るや否や 児孫の為に美田を買はず」【西郷隆盛】

“親の因果、子に報う”:親が以前より重ねた罪に対して償いや反省もせず、
平気な顔してさらに悪事を働いていると、その報いは親にとってかけがえのない子供に全部降りかかるということ。


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19.地沢臨(ちたくりん)<未来志向・次世代の育成に生きろ>

臨とは、希望の意。観念打破。部下や後輩・子供達に夢を与え、未来への扉を開く役割がある。

「この世を動かす力は希望である。
やがて成長して新しい種子が得られるという希望がなければ、農夫は畠に種子をまかない。
子供が生まれるという希望がなければ、若者は結婚できない。
利益が得られるという希望がなければ、商売人は商売にとりかからない。」【マルティン・ルター】

「未来への希望を失うと、人生は退屈になってしまう。」【ベティ・デイビス】

「何事も、不可能だと証明されるまでは可能だ。
しかも、不可能とは、「今は不可能」ということでしかない。」【パール・S・バック】

「「不可能」という文字は愚か者の辞書にしか存在しない。」【ナポレオン】

「「希望」には羽が生えていて――魂にとまる……」【エミリ・ディキンソン】

「済んだことは済んだことだ。
過去を振り返らず、希望をもって新しい目標に向かうことだ。」【ジョージ・C・マーシャル】

「不満と無秩序はエネルギーと希望を示すのであって、
絶望を示すのではない。」【デイム・シシリー・ヴェロニカ・ウェッジウッド】

「希望が逃げていっても、勇気を逃がしてはいけない!
希望はしばしばわれらをあざむくが、勇気は力の息吹である。」【ブーテルヴェク】

明日いい事があると思うと今幸せになれる。
真っ暗闇でも遠くに明かりを見つけただけでも人は幸せになれる。
明かりのところに行き着けなくても明かりを見つけただけで人は幸せになれる。
明日でもあさってでも半年後でもいいから幸せがおきると考えてごらん。
今すぐ幸せになれるよ。【斎藤一人】

「大志は大きな可能性である。」【サミュエル・ジョンソン】

「プレッシャーは大好きです。いっそう努力できるから。」【メアリー・ルー・レットン】

「プレッシャーは自分を成長させるために、自分で与えるものだ。
プレッシャーなんかですり減ってどうするんだ?」【セバスチャン・コー】

「若者は良いお手本となる人を求めています。
私はそのひとりになりたいんです。」【フローレンス・グリフィス・ジョイナー】

「黒板を使ってプレイを説明するコーチならどこにだっている。
勝つコーチは選手に混ざって、選手を励ますんだ。」【ヴィンス・ロンバルディ】

「何でもポジティブに考えてきました。
人は、模範となる人物を必要とし、探し求めます。
私は、模範となる人物がネガティブな考え方をしていては、ダメだと思うのです。」【マイケル・ジョーダン】

「人生においては何事も偶然である。しかしまた人生においては何事も必然である。
このような人生を我々は運命と称している。
もし一切が必然であるなら運命というものは考えられないであろう。
だがもし一切が偶然であるなら運命というものはまた考えられないであろう。
偶然のものが必然の、必然のものが偶然の意味をもっている故に、
人生は運命なのである。」【三木清】

「昭和二十年(一九四五)……八月になって、急に戦争がおわった。
ふいに、世界が光につつまれ、あらゆる可能性が一時にやって来たように思った。
だが、つづいて、過酷な無政府状態がやってきた。
しかしその無政府状態は、不安と恐怖の反面、ある夢を私にうえつけたこともまた事実である。
父と、父に代表される財産や義務からの解放。階級や人種差別の崩壊……」【安部公房】

「われわれの前に残されている大事業に、ここで身を捧げるべきは、むしろわれわれ自身であります
――それは、これらの名誉の戦死者が最後の全力を尽くして身命を捧げた、
偉大な主義に対して、彼らの後をうけ継いで、われわれが一層の献身を決意するため、
これら戦死者の死をむだに終らしめないように、われらがここで堅く決心をするため、
またこの国家をして、神のもとに、新しく自由の誕生をなさしめるため、
そして人民の、人民による、人民のための、政治を地上から絶滅させないため、であります。」【エイブラハム・リンカーン】


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20.風地観(ふうちかん)<静観分析と自省・精神至上主義>

観とは、客観性の意。対等関係や外面的な自分。公共性に富み、芸術や文化を豊かにする資質。

「あなたはいつも羽目をはずすことがないのね。
世の中には出演者と観客がいるの。あなたはいつも観客だわ。」【映画:素足で散歩】

「真の文化は、ある程度遊びの内容をもたなくては成り立ち得ない。」【ヨハン・ホイジンガ】

「わたしたちの中で何が働いているかは、心だけが知っています。心はわたしたちの真の羅針盤です。
心に聞けば、わたしたちが正しい方向を向いているかどうかを教えてくれます。
心はわたしたちがいつ間違えて曲がったか、いつ引き返すべきかも教えてくれます。
それはたいていの場合、わたしたちが知りたくない情報なのです。
知識は選択につながり、選択は変化を意味することが多いからです。」【サラ・バン・ブラナック】

「心だけが大切なものの見つけ方を知っている。」【フョードル・ドストエフスキー】

「忘れてはならないのは、大地は人の素足を感じることを喜び、風は人の髪と戯れたがっていることです。」【ハリール・ジブラン】

「自ら省みて、自分に対する強烈な関心と、自分以外の者に対するいい加減な関心とを比較し、
次に、その点については、人間はみな同じであることを考えれば、あらゆる職業に必要な原則を把握することができる。
すなわち、人を扱う秘訣は、相手の立場に同情し、それをよく理解することだ。」【ケネス・M・グッド】

「大小にかかわらず、人生で起こるすべてのことのほんの少し後ろに立って、全体像を見よう。
実直な生活を送り、辞書を引けるようになったら、「気品グレース」という言葉を調べて、
その定義を生きる道しるべにしよう。」【ロバート・デュバル】

「監督というのは、誰か他のやつが打ったホームランで給料をもらう仕事さ。」【ケーシー・ステンゲル】

「人から尊敬される方法はただ一つ、人を尊敬することさ。
だから、私はそうしているんだ。」【トミー・ラソーダ】

「ここに医者らしいタイプの紳士がいる。だが、どことなく軍人ふうのところもある。だから軍医にちがいない。
顔はまっくろだが、手首が白いところをみると生まれつき黒いわけじゃない。
とすれば、熱帯地方から帰ったばかりだということになる。
顔のやつれているのを見れば、だいぶ苦労した上に病気までしたことがわかる。
左手にけがもしている。動きがこわばってぎこちないからだ。
イギリスの軍医がこんな苦労をした上に、けがまでした熱帯地方というのはどこだろう。言うまでもなくアフガニスタンだ。
これだけつづけて考えるのに、一秒もかからなかった。」【コナン・ドイル『深紅の糸の研究』】

「目の付けやうは、大きに広く付くる目也。
観見二つの事、観の目つよく、見の目よはく、遠き所を近く見、ちかき所を遠く見る事、兵法の専也。
敵の太刀をしり、聊(いささ)かも敵の太刀を見ずといふ事、兵法の大事也。」【宮本武蔵】

「いまはできるかぎり身をもちくずそう。
なぜって、私は詩人になろうと思っているのだし、"見者"になろうと努めているからです。
……"すべての感官"を錯乱させることによって未知のものに到達することが肝要なのです。
大変な苦痛ですが、そのためには強くなければならず、生まれついての詩人でなければなりません。
そして、私は自分が詩人であることに気づきました。
……われ思う、なんて言うのは間違いです。人われを思う、と言うべきでしょう。
……私とは一個の他人なのです。」【ランボー】

「私が国家学に心を傾けた時に、私は何か新しい事柄、未開の事柄を説こうとしたのではなく、
ただ実践と最も調和する事柄を確実かつ疑いえない理論によって証明し、
あるいはそれを人間的本性の状態そのものから導きだそうと意図したのであった。
そしてこの学問に関することどもを、数学を取り扱うのと同様の捉われない精神をもって探求するために、
私は人間の諸行動を笑わず、嘆かず、呪詛もせず、ただ理解することにひたすら努めた。」【バールーフ・デ・スピノザ】

“岡目八目”:囲碁を打っている傍で観戦している者には、
対局者と違って打つ石の良し悪しがよくわかることから、
当事者よりも傍観者のほうが、物事の真相や是非、損得がよく判定できるものだということ。


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21.火雷噬[口盍](からいぜいこう)<障害の除去・妥協を排す>

噬[口盍]とは、噛み砕くの意。理想実現と完遂への意志を持ち、軽佻浮薄を戒める。真剣な態度。

「迷ったときは、真実を語れ。」【マーク・トゥエイン】

「君が教訓を学んだ相手は君を賞賛し、親切を施し、味方になってくれた人々だけだったのか?
君を排斥し、論争した人々からも大切な教訓を学ばなかったのか?」【ウォルト・ホイットマン】

「自分のしていることが正しいと信ずるなら、何者にも自分の仕事を妨げさせてはならない。
世界の最大の事業の多くは、一見不可能に見える仕事の障害を克服することによって成し遂げられた。
要は仕事を成し遂げることだ。」【デール・カーネギー】

「障害がないと、ベストの力が出ない気がします。」【ミルドレッド・ディドリクソン・ザハリアス】

「周りの人は、私の正直さと気の短さに腹を立てていた。
けれど、別に仲良くしてもらいたいとは思っていなかったからね。
それよりも、敬意を払ってもらいたかったんだ。」【ジャッキー・ロビンソン】

「ある書物はちょっと味わってみるべきものであり、他の書物は呑み込むべきであり、
少しばかりの書物がよく噛んで消化すべきものである。
すなわち、ある書物はほんの一部だけ読むべきであり、他の書物は読むべきであるが、念入りにしなくてよく、
少しばかりの書物が隅々まで熱心に注意深く読むべきものである。」【フランシス・ベーコン】

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22.山火賁(さんかひ)<虚飾と理性の育成・内実を整えよ>

賁とは、装飾・化粧の意。見映え。周囲に自分を強く印象付けたい心理。羨望と賞賛の的を狙う人。

「自分に自信がないなら、どんなに高価な服を着たって意味がない。」【レオンティーン・プライス】

「世間というのは鏡なので、覗けば自分が映っている。」【W・M・サッカレー】

「付け合せ料理を添えるように、自分の人生にやたらに手を加える人間もいる。」【ホセ・オルテガ・イ・ガセット】

「洗練されたセンスとは地味なものの中に美を見つけることである。
地味なものは高価なものよりも美しくなりうるというひそかな知識がないと、
決して洗練されたセンスを身につけることはできない。」【アンドレ・パットマン】

「表面を作るということは、内部を改良する一種の方法である。」【夏目漱石】

「洗練されたセンスは金とは関係ない。金があれば誰でもやれる。
わずかな金でそれをするところに、真の技術がある。」【トム・ホーガン】

「美はエクスタシーである。飢えと同じくらい単純なものだ。」【W・サマセット・モーム】

「落ち着いた態度ほど魅力的に見えるものはない――
それは自分に対して世間に対しても心安らかであるということだ。」【グッド・ハウスキーピング/1947・9】

「何か美しいものが欲しいのに買えないとき、自分の感情を否定し、無視しなければならないと感じないで下さい。
その欲望は聖なる飢餓を満足させる手がかりを与えます。なぜあるものを美しく感じるか、探ってみてください。
あなたの受けた印象をもとに、想像力を大きく働かせましょう。わたしたちは美に囲まれています。
探せばどこにでもあります。人生に美をもっと取り入れる前向きな気持ちになればいいのです。」

「真の自己を表す装いを考えるとき、自信のある落ち着いた態度については見過ごされがちです。
なぜそれを身につけることが大切なのでしょうか。
それは自意識過剰になったり、自分の欠点ばかり気にすることをやめると、
笑顔が暖かくなり、笑い声が心からのものとなり、思いやりが花開くからです。
穏やかな態度は、穏やかな心の反映です。」【サラ・バン・ブラナック】

「多くの女性は自分がどれほどすばらしいかを知らない。
外側は自信たっぷりに流行の服で装って現れるが、内側は自信がない。」【メアリー・ケイ・アッシュ】

「金銀の美しさ、
金剛石や紅玉その他の宝石のすばらしい輝きも一つとして炎の輝きと美しさに比べられるものはありません。
炎のように光を発する金剛石があるでしょうか。金剛石が夜きらきらするのは炎のおかげです。
炎が照らすから金剛石は輝くのです。
炎は暗闇の中で光を発しますが、金剛石はこれを炎が照らさなければ光りません。
ロウソクだけはひとりで光ります、そうしてみずからのために、またこれをこしらえた者のために光を発します。」【マイケル・ファラデー】

“辺幅修飾”:うわべを飾り、見栄を張ること。体裁を繕うこと。(布地の縁を飾る意)


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23.山地剥(さんちはく)<プライド崩壊・慢心と独断への戒め>

剥とは、剥落の意。データ喪失。バックアップを心がけよ。策略や上手い話に注意。新環境や異国。

「人生では、どんなことだってできる。そのチャンスは目の前にある。
自分の足で立ち、チャンスをつかみに行けばいい。」【ボビー・ブラウン】

「生きている限り、人間はすべてを奪われることはない。」【正岡子規】

「人生とは、病人の一人一人が寝台を変えたいという欲望に取り憑かれている一個の病院である。」【ボードレール】

「いつかは負けることを覚悟しておくべきだ。」【ジョー・ルイス(ヘビー級ボクサー)】

「よくつるし上げを食らっているけど、自分の意見ばかりいっているわけじゃないよ。」【スコッティ・ビッペン】

「いま熱情に燃えさかっている青年が、もし自分の老いさらばえた後の姿を見せつけられたなら、恐れ戦いて飛びすさることだろう。
柔軟な青年時代を過ぎ、きびしく非常な壮年に達しても、心して人間的な行いを保持してゆくように努め給え。
途中で取り落してはいけない。後で取り戻すことは決してできないから!
未来に横たわる老齢はつれなく恐ろしいもので、何一つもとへ戻してくれはしないのだ!」【ニコライ・ゴーゴリ】

「一生すぎやすし。いまにいたりて、たれか百年の形体をたもつべきや。
我やさき、人やさき、けふともしらず、あすともしらず、おくれさきだつ人は、
もとのしづく、すゑの露よりもしげしといへり。
されば、朝には紅顔ありて、夕には白骨となれる身なり。
すでに無常の風きたりぬれば、すなはちふたつのまなこたちまちにとぢ、
ひとつのいきながくたえぬれば、紅顔むなしく変じて、桃李のよそほひをうしなひぬるときは、
六親眷属あつまりて、なげきかなしめども、更にその甲斐あるべからず。」【蓮如】

「さて、第六刻(ほぼ正午頃)から、地のすべてを闇が襲い、第九刻(午後三時頃)に及んだ。
また、第九刻頃に、イエスは大声を上げて叫び、言った、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」。
これは、わが神よ、わが神よ、なぜ私をお見棄てになったのか、という意味である。
そこで、そこに立っていた者のうち何人かが、これを聞いて言いだした、「こいつはエリヤを呼んでいるぞ」。
すると、すぐさま彼らの一人が走って行き、そして海綿をとって酢で満たした後、葦の先につけ、彼に飲まそうとした。
しかし他の者たちが言った、「やめろ。エリヤがやってきてこいつを救うかどうか、見てやることにしよう」。
しかしイエスは、再び大声で叫びながら、息を引き取った。」【マタイによる福音書】

「秋の日の ヰ゛オロンの ためいきの 身にしみて ひたぶるに うら悲し。
鐘のおとに 胸ふたぎ 色かへて 涙ぐむ 過ぎし日の おもひでや。
げにわれは うらぶれて ここかしこ さだめなく とび散らふ 落ちばかな。」【ポール・マリー・ヴェルレーヌ 「落葉」】

「死は(厳密に考えて)われわれの一生の真の最終目的なのですから、
私は数年この方、人間のこの真の最善の友ととても親しくなって、
その姿が私にとってもう何の恐ろしいものでもなくなり、
むしろ多くの安らぎと慰めを与えるものとなっています!
そして、神さまが私に、死がわれわれの真の幸福の鍵だと知る機会を
(私の申すことがお分かりになりますね)
幸いにも恵んで下さったことを、ありがたいと思っています。
私は、(まだこんなに若いのですが)もしかしたら明日はもうこの世にないのではないかと、
考えずに床につくことは一度もありません。」【モーツァルト 「父宛書簡」】

「日常の暮しは跡形もなく崩れ去って、
あとに残ったのは、およそ非日常的な、ものの役にも立たない力、
それこそ一糸まとわぬまで丸裸にされてしまった魂の内奥だけなんだわ。
でも、この魂の内奥にとっては何一つ変わっていないの。
だって、それはいつの時代だって、寒そうにがたがた震えていたんだし、
たまたま隣り合った同じように丸裸の孤独な魂に、
いつも身をすり寄せるようにしていたんですものね。」【ボリス・パステルナーク『ドクトル・ジバゴ』】

「若者は自分の気力を呼び覚ますために、
そしてそれを黴(か)びさせ、臆病にさせないために、自分の規則をゆるぶらなければならない。
規則と規律ずくめで引き廻される生活ほどばかげた、弱いものはない。
私の言うことを真に受けるなら、ときどきは極端に走るがよい。
さもないと、ちょっとした道楽にも身を滅ぼし、人とのつきあいにも扱いにくい不快な人間になる。」【モンテーニュ】


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24.地雷復(ちらいふく) <初志回顧(リカバリー)・本分を問い直せ>

復とは、初期化の意。本来の個性と秩序を取り戻すために価値観を再構成。過去の傷をリセット。

「過去を振り返って、当時のできごとを笑い飛ばせるとしたら、
今を気持ちよく過ごせることでしょう。」【マリー・オズモンド】

「失敗とは、より良い方法で再挑戦するいい機会である。」【ヘンリー・フォード】

「過ちて改めざる、これを過ちという。」
「最大の名誉は決して倒れないことではない。倒れるたびに起き上がることである。」【孔子】

「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。
成功するところまで続ければ、それは成功になる。」【松下幸之助】

「破れ障子とかけて、うぐいすの初音と解く。
そのこころは、ハル(張る、春)を待つ。」【日本の三段なぞ】

「失敗作は人生のメニューにあって、私はコースからそれをはずすような女ではない。」【ロザリンド・ラッセル】

「もし自伝を書くとすれば、その題名は『失敗者の自伝』がふさわしい、
とよく思ったものだ。」
「私のいちばんの失敗は、逆説めいているが、そこそこの成功がなかなか終わらずに次々と続いたことである。
しかもそれはどれ一つとして演劇とは関係がなかった。
別の言い方をすると、私の失敗は、書くというわたしの天職に戻らなかったことだ。
思い返すとわたしは子供のときから、書くこと以外は望まなかったし、
作家になりたい夢しかなかった。」【クレア・ブース・ルース】

「乗り越えられることを知るところから本当の力が湧いてくる。」
「隠された失敗の場合、強烈な喪失感よりも、慢性的な失望感にさいなまれる。
しかし苦しむのは同じであって、何と関わりたいと願いながら、まるで解雇された者のように脅え、恥じている。
自分のせいではなく解雇されたにもかかわらず、首を切られた者は、何らかの形で自分が失敗したのだと感じるのではなかろうか?
多くのものは嫌いな仕事から抜け出られないと感じつつも、変化を、恐れしかも最善を尽くさない自分を蔑むのではなかろうか?
世間が称賛しはじめるそのとき、
わたしたちは自分の最高の望みに達しなかったことを頭の片隅で知っているのだ。」【キャロル・ハイアット&リンダ・ゴットリーブ】

「失敗はわたしたちと自分の能力以上に引き伸ばし、真の自己へ成長するように導くのです。それが失敗の豊かな贈り物です。
人生で起こる最悪の事態は失敗ではありません。一度も努力したことがないほうが最悪です。
「そう考えると、賢い人が失敗することはありえない」のです。」【サラ・バン・ブラナック】

「恨みを抱くな。大したことでなければ、堂々と自分の方から謝ろう。
頑固を誇るのは小人の常である。
にっこり握手して自分の過ちを認め、一切を水に流して出直そうと申し出てこそ、大人物である。」【デール・カーネギー】

「自分の過ちを認めることほど難しいものはない。
事態を解決に導くには、素直に自分の落ち度を認めるのが何よりである。」【ベンジャミン・ディズレーリ】

「あなたは自分の才能を呼び覚ましたいと願っています。
自分の能力を試してみたい。自分の創造性を発見し、取り戻したいと。
でも何から始めたらよいのでしょうか?
それには心を開くことと奉仕する意志を持つことから始めなさい。」【サラ・バン・ブラナック】

「毎日が新しいチャンスである。
昨日の成功のうえに積み重ねることもできるし、失敗を置き去って新しいスタートを切ることもできる。」【ボブ・フェラー】

「記録は、いつか誰かに破られる。
敗北とどうつきあって生きていくか、それが大切なんだ。」【アール・キャンベル】

「われわれは失敗に経験という名をつける。」【フレッド・シェロ】

「敗北には経験という豊かさがある。」【ビル・ブラッドレー】

「成功するかどうか、それは失敗にどう対処するかで決まる。」【デビッド・ファハーティ】

「誤りを犯したらするべきことはたった三つ。
1 誤りを認める
2 そこから学ぶ
3 同じ誤りを繰り返さない」【ポール・ベアー・ブライアント】

「勝つ味を覚えたら、
前日に何があろうともグラウンドに戻ってくるさ。」【ビリー・マーティン】

「もしもお前の好きなようにしてよいと言われたならば、
私はいままでの生涯を初めからそのまま繰り返すことに少しも異存はない。
ただし、著述家が初版の間違いを再版で訂正するあの便宜だけは与えてほしいが。」【ベンジャミン・フランクリン】

「たしかに、ある意味では、知識人とは、もともといつでも、戦う前からすでに敗北しているもの、
いわば、永遠なる敗北を宣言されたシジフォス(※シシュポスとも)のごときものであり、
勝利している知識人なんぞというものがうさんくさいのです。
ところがまた一方では、べつの、もっと深い意味において、
知識人は、自己のあらゆる敗北にもかかわらず敗北しないでいる――シジフォスのように――とも思います。
まさに自己の敗北によって勝利するのです。」【ヴァーツラフ・ハヴェル】

“兎を見て犬を放つ”:兎はその姿を見つけてから放っても十分捕えられることから、
失敗や過ちは、気づいた後に改めても遅くはないという譬え。

“心機一転”:新しい機会を利用して、心や気持ちを入れ替えること。

“一陽来復”:悪いことが続いて、よういやく良いことが起こってくること。
冬が終わり、春がやってくること。


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25.天雷无妄(てんらいむもう)<ありのままに生きる・初期状態>

无妄とは、虚偽を無くすの意。本質。思惑や作為を離れた自然体。必要最低限。乾の資質の反映。

「自分自身を計る物差しは、これから何ができるかだ。
しかし人は、これまで何をしてきたかで私を評価する。」【ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー】

「過ぎ去ったことをいつまでも思いわずらっていてはなりません。
問題点を明らかにするために用いてから、過去は過去として、後においていきなさい。
今という時点では、今、あなたがしていること以外、何も大切ではありません。
この瞬間から、あなたはまったく別の人間になれます。
それは愛と理解に充たされ、あらゆる考えや行動に対し、
両手を広げて、意気揚々と、前向きに取り組む人間です。」【アイリーン・キャディ】

「すでに身につけた能力をさらに伸ばすのも悪くないが、
眠っている別の能力を引き出せれば、あなたの生きがいは倍にふくれる。」【亀崎恭尚】

「人間の可能性は、社会の条件というよりむしろ、
それぞれの個人の内発的な精神の冒険によってひらかれてゆくのだ。」【加藤秀俊】

「人生とはその時々に自然に変化し、移りゆくものです。変化に抵抗してはなりません。
――それは悲しみを招くだけです。
現実を現実として、あるがままに受け入れなさい。
ものごとをそれが進みたいように、自然に前に流れさせてやりなさい。」【老子】

「天が下のすべての事には季節があり、すべてのわざには時がある。」【旧約聖書 伝道の書三章一節】

「金が少ししかないときには、たくさん入った場合に金をうまく扱えるための教訓を、いろいろと学んでいるのだ。
このレベルを突破するためには、人生をシンプルにし、金、出費、必要な物、欲しいものに関してすっきりさせておくことが必要だ。
自分を、春によく伸びるように、冬の間枝を刈り込まれたバラのつぼみと考えるとよい。」【サナヤ・ローマン&デュエイン・パッカー】

「無理に何かをしようとしてはいけないよ。人生をなすがままに解き放ってあげなさい。
見てごらん。神は毎日、何百万個の花を咲かせているよ。つぼみに何の力も加えないで。」【バグワン・シュリラジニーシ】

「君はいう。毎朝1000の薔薇が咲くと。
確かに。だが、昨日の薔薇はどこへ行くのか。」【オマル・ハイヤーム】

「すばらしい人生へようこそ。成功するためには、自然体でいることがいちばんです。
神は、われわれ人間をすべて異なるようにおつくりになりました。
オリジナルというのは、どんなにすぐれたコピーよりもよくできているのです。
人生で一番大切なものは愛です。
愛とは、ほかの人や理想に対して無条件に降伏することです。
そして幸せとは、自分が持っている者に満足することです。」【アーニー・ハーウェル】

「自然の人間的、、、本質は、社会的、、、人間にとってはじめて現存する。
・・・・・・ここにはじめて人間の自然的、、、なあり方が、彼の人間的、、、なあり方となっており、
自然が彼にとって人間となっているのである。
それゆえ、社会、、は、人間と自然との完成された本質統一であり、
自然の真の復活であり、人間の貫徹された自然主義であり、
また自然の貫徹された人間主義である。」【カール・マルクス】

「薔薇はなぜという理由なしに咲いている。薔薇はただ咲くべく咲いている。
薔薇は自分自身を気にしない、ひとが見ているかどうかも問題にしない。」【シレジウス】

“天衣無縫”:天人の着物には縫い目がないということから、
物事がとても自然に作られていて、わざとらしい手直しの跡がないということ。
また、わざとらしさや飾りのない素直な朗らかさのことをいう。


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26.山天大畜(さんてんたいちく)<実力養成・内部充実を図れ>

大畜とは、多くの蓄えの意。保存した力の活用。エゴを調整し、修練を重ねて経験を積み上げる。

「鍛冶屋が腕を振って腕が太くなるように、元気を出し続けると、元気は増してくる。」【三宅雪嶺】

「自分というものは、やはり、習い覚えて好きになるものなのであろう。」【パトリシア・ハンブル】

「忍耐とは待つ技術です。高度の技術の常で、それを習得するには時間がかかります。
それは不思議でも何でもありません。忍耐は時間の知識なのですから。
たとえば時間を有効に使う、いるべき時間にいるべきところにいる、好機を捕らえる、言いたいのを我慢するなど。
忍耐とは、世界を包んでいる、一度起こったことはまた起こるのだと安心させる神秘的な円環構造を発見することです。」

「あなたのダイアモンド鉱山はどこにありますか?
何でもできるとしたら、何をしたいですか?
そう、あなたが不可能と今考えていることですよ!
お店を持ちたいですか、デザイナーになりたいですか、映画の脚本を書きたいですか?
わたしたちは誰でも発見され、愛され、掘り起こされるのを待っているダイアモンドの畑を持っています。
スタート地点を皆が持っているのです。想像力を存分に働かせなさい。
それはあなたの成功への魂の青写真になるのですから。」【サラ・バン・ブラナック】

「わたしがきみに、そして若い人たちみんなに勧めたいことは、
つねに高い基準を設けて、目標を達成するために努力してほしいということだ。
そしてまた、わたしたちの国と歴史についてもっと学んでほしいとも願っている。

できるだけ多くのことを学び、ほかの人を思いやり、そして自分の可能性を最大限に発揮して、
どうか世界をさらにすばらしい場所にすべく尽力してほしい。」【ジョージ・W・ブッシュ】

「成功に必要なのは自信。自信に必要なのは練習(努力)さ。」【アーサー・アッシュ】

「上達しない練習なんか、意味はない。」【チャック・ノックス】

「努力に代わるものなんてない。自分の潜在能力を最大限に引き出せ。
可能性を無駄にするなよ。」【ジョー・ロビー】

「自信というのは、何時間も、何日も、何週間も、何年間も、
ただひたすら努力した結果、得られるものです。」【ロジャー・ストーバック】

「自分には無理だと思うようなゴールを定めろ。
それほど努力しなくても、あるいは悩まなくても達成できるゴールだと、
本来持っている才能や能力を引きださないまま終わってしまう。」【スティーブ・ガーヴェイ】

「アリスは笑いました。・・・・・・「ありえないことは信じられませんもの」
「それはたぶん、あまりおけいこをしてないからでしょうね」と、女王さまはいいました。
「わたしがそなたくらいだったときには、毎日必ず半時間は、そのおけいこをしてたわ。
日によれば、朝ごはんの前に、ありえないことを六つも信じたものよ」」【ルイス・キャロル(「鏡の国のアリス」より)】

「最善を期待しなさい。問題をチャンスに変えなさい。
現状に不満を持ちなさい。過去にとらわれず、自分が進みたい所に焦点を合わせなさい。
そして最も重要なことは、幸せになると決めることです。
そして、それは日々の練習から得られる心の持ち方、習慣であって、
結果でも見返りでもない事を知りなさい。」【デニス・ウェイトレイ】

「あとあとまで効き目のある練習は、唯一、自己鍛錬だけだ。」【バム・フィリップス】

「ゲーム中、一番うまいやつは気にしなかった。
才能では劣っていても、努力するやつ、強くなろうとしているやつをマークしたんだ。」【アーヴィン・「マジック」・ジョンソン】

「天才とは努力し得る才だ、というゲエテの有名な言葉は、殆ど理解されていない。
努力は凡才でもするからである。然し、努力を要せず成功する場合には努力はしまい。
彼には、いつもそうあって欲しいのである。天才は寧ろ努力を発明する。
凡才が容易と見る処に、何故、天才は難問を見るという事が屡々(しばしば)起るのか。
詮ずるところ、強い精神は、容易な事を嫌うからだという事になろう。」【小林秀雄】

”読書百遍”:知識を自分自身の地肉と化すには、100回読むくらいのことが必要だ、という諺。
あるいは、何度読んでも、その度に汲み取れる含蓄が異なるということの譬え。


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27.山雷頤(さんらい)<生計と土台の確保・外部から栄養を取り入れる>

頤とは、顎。転じて飲食や養育の意。財源確保や健康維持、人材養成。相互支援。ダウンロード。

「夢は行動という現実へ移る。行動から再び夢が派生する。
この相互依存が最高の生き方を生み出す」【アナイス・ニン】

「なによりもまずいちばんに、きみがすばらしい人生を送ることを願っている。
自分を信頼することが人生の土台であることを知ってほしい。
きみにとって、きみよりもすばらしい人はいないのだから。
心と体と魂を自分という世界で満たそう。」【ヘンリー・ウィンクラー】

「肉体は物理的にも感情的にも精神的にも栄養を与えられねばならない。
現代文化では、人は精神的に飢えている――
食べ物が不足しているのではなく、栄養が足りないのだ。」【キャロル・ホーニグ】

「一人のときしか水を汲めない泉がある。
芸術家は創造するためには自分一人にならないとできないことを知っている。
作家は考えをまとめるために、音楽家は作曲するために、聖者は祈るためにそうしなければならない。」
「自分の部屋、一人の時間を見つけることは、必要であり、困難であるとはいえ、それだけが問題なのではない。
どうやって活動している魂を静めるかが問題なのだ。
魂にどう栄養を与えるかが問題なのだ。」【アン・モロウ・リンドバーグ】

「アヒルに似ているよ、私は。
コートの上では、平静を装っているけど、実は激しくもがいているんだ。」【フレッド・シェロ】

「あなたの一度の笑顔を見るために、ぼくは100万マイルを歩く」【『マイ・マミー』の歌詞、母をたずねて3千里と似ている】

「親のない子はどこでも知れる、爪を咥えて門に立つ。」と子どもらに唄はるゝも心細く、
大かたの人交わりもせずして、うらの畠に木・萱(かや)など積みたる片陰に跼(かがま)りて、
長の日をくらしぬ。我身ながらも哀也けり。
  我と来て遊べや親のない雀   弥太郎 六才」【小林一茶(弥太郎は一茶の本名) 『おらが春』】

「私が求めているのは不条理なこと――生に意味があって欲しい、ということ。
私の闘っているのは不可能なこと――私の生を意味あるものにしようとすること。」【ダグ・ハマーショルド】

「文人画の芸術家にとって、写生とは単にデッサンの稽古ではなかったのだろう。
技術の練磨は生活の発見につながる。
芸術と生活との可能はひとしく天地山川の間に求められるべきものであり、一草一木といえどもこの関係からのがれない。
蘭を描き竹を描く。いずれもかくあるべき生活の形態に対応する。技術はどうしても神妙でなくてはならない。
描いてへたくそであったとすれば、精神も生活もひでえ目に逢う。
伝神の語、ひとをあざむかない所以である。」【石川 淳 「風景について」】


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28.沢風大過(たくふうたいか)<支柱の大切さ・責任超過と飽和性>

大過とは、過剰の意。情報過多で判断基準を見失う。メモリ圧迫。足るを知れ。観念風刺と必要性。

「すべてが過剰にあるのは、足りないのと同じようによくない。」【エドナ・ファーバー】

「満足を得る秘訣は、
めいめいが自分の実力と限界を自力で見出し、
自分が十分に力を発揮できる仕事とは何であるか知るとともに、
どんな成功者であろうと権力者であろうと、
その地位は大宇宙に比較すれば微々たるものだということを悟るだけの分別を持つことである・・・・・・
つまり、本当の自分自身になりきる勇気、
孤独に耐える勇気、
自分と違うものになろうとしない勇気を持つことだ!」【林語堂】

「自分より図体の大きなやつに追いかけられたとき、
人間の体が発揮する力っていうのは大したものさ。」【ジャック・トンプソン】

「ラクダの背中に麦わらを積んでも、最初はほとんど何も起こらない。
背中がだんだんしなり始めて、ラクダがラクダ語であなたをののしるくらいだ。
しかしそれが突然「ラクダの背中を折る最後の麦わら一本」になってしまう
(訳注:我慢の限界を超えるものを表す英語の慣用表現)。
これが、数学者が「非線形応答」と呼ぶものだ。
麦藁の最後の一本の影響は、最初の一本よりもはるかに大きくなる。
非線形システムの場合、初期条件のわずかな違いが大きな結果の差をもたらすのだ。」【デイヴィッド・オレル】

「不意に目の前に差し迫った死の威嚇が現れてきた人びとには、
崖から下へ滑る登山家や水に溺れる人や首を吊った人には、注意の急激な転換が生ずることがあるようです。
――それまで未来に向けられて行動の必要に奪われていた意識の方向が変わったために、
突然それらに対し関心を失うようなことが起こるようです。
それだけでも十分に「忘れていた」何千という細かい事が記憶によみがえり、
その人の歴史全体が眼の前に動くパノラマとなって展開するのです。」【アンリ・ベルクソン】

“限度を越えたら、藁(わら)一本載せてもラクダの背骨が折れる”:英語のことわざ


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29.坎為水(かんいすい)<自我への衝撃・自暴自棄に注意>

坎とは、陥るの意。失見当識。恐れや不安による動作や思考の鈍り。自己管理と浄化が必要。

「恐怖は心を乱す。得体の知れない恐怖は、最も危険な恐怖である。」【フランク・ハーバート】

「苦しみを恐れる者は、その恐怖だけですでに苦しんでいる。」【モンテニュー】

「恐怖を克服する決心をしさえすれば、たいていの恐怖は克服できる。
恐怖は人の心の中にしかないからだ。」【デール・カーネギー】

「恐ろしくてできそうもないことを成し遂げれば、恐怖は必ず消滅する。」【エマーソン】

「つくづく恐怖を見据えなければならないような経験を積むたびに、胆力と勇気と自信がついてくる・・・・・・
自分にはできないことをやらなければならない。」【エレノア・ルーズベルト】

「臆病者の魂はわたしではない。この世の嵐が吹きすさぶ中で震えている人間ではない。」
「夢は水に混じるワインのように、わたしの奥深くまでしみとおり、精神の色を変えた。」【エミリー・ブロンテ】

「わたしはいやいやながらも(実は泣いたりわめいたり蹴飛ばしたりして)、恐れる気持ちは、恵みと力を求めよという、
大いなる存在の合図だと悟るに至りました。だから深呼吸して、静かに心を集中し、天のボタンを押しなさい。
現実の状況がどんなに厳しいものであっても、あらゆる恐れは心の中から湧いてくるのだ、という事実を受け入れることは、
承服しがたいけれど学ばなければならない教えなのです。」【サラ・バン・ブラナック】

「自虐からは何も生まれない。」【作者不詳】

「人間は逃げ場がなくなれば、不幸と災難に耐え抜き、それを克服することができるものだ。
人間には、自分でも驚くほど強力な知恵と能力が隠れている。
それを利用する気になりさえすればよい。
われわれは自分の潜在的な力に気がついていないだけである。」【デール・カーネギー】

「リング上では、逃げることはできても隠れることはできない。」【ジョー・ルイス】

「人間の歴史は下水溝渠(こうきょ)の歴史に反映している。
死体投棄の溝渠はローマの歴史を語っていた。
パリーの下水道は古い恐るべきものであった。それは墳墓であり、避難所でもあった。
罪悪、知力、社会の抗議、信仰の自由、思想、窃盗、人間の法律が追跡するまたは追跡したすべてのものは、
その穴の中に身を隠していた。
十四世紀の木槌暴徒、十五世紀の外套盗賊、十六世紀のユーグノー派、十七世紀のモラン幻覚派、
十八世紀の火傷強盗、などは皆そこに身を隠していた。
百年前には、夜中短剣がそこから現れてきて人を刺し、また掏摸(すり)は身が危うくなるとそこに潜み込んだ。
森に洞穴のあるごとく、パリーには下水道があった。」【ヴィクトル・ユゴー】

「  冬夜の読書
雪は山堂を擁して樹影深し
檐鈴(えんれい:軒につるした風鈴) 動かず 夜沈沈
閑かに乱帙(らんちつ:帙から取り出して散らかした書物)を収めて疑義を思う
一穂の青灯 万古の心」【菅 茶山】

「哲学者たり、理学者たり、詩人、剣客、音楽家、将(は)た天界の旅行者たり、打てば響く毒舌の名人、
さてはまた私の心なき――恋愛の殉教者!――
エルキュウル・サヴィニヤン・ド・シラノ・ド・ベルジュラック此処に眠る、彼は全てなりき、而(しか)して亦(また)空なりき。
……だが、もう逝こう、では失礼、そう待たしてもおけない、
御覧なさい、月の光が迎えに来ましたからなあ!」【エドモン・ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』】

「バルザックやドストエフスキーを読むと、
あの多様さを、あの深い根底から縦横無尽に書きまくっているのに、呆然とすることがある。
人生への、人の悲しき十字架への全き肯定から生まれてくる尊き悪魔の温かさは私を打つ。」【坂口安吾】

「ひとかどの人物とても、幸運の友を、妬み心なく立てることは、なかなか人間生来の性がゆるさぬ、
悪しかれと願う邪毒が、心の臓に坐りこみ、その病を得た男の重荷を、倍にもおおくするもの。
おのれの痛みで、おのれ自身の心が晴れず、他人の幸さいわいを見つめては、呻きをかさねる。」【アイスキュロス】

「“状況は問題ではない。自分のあり方が問題なのだ。私はどんな状態を望むのか?”
――そして、選択してください。選んだ状況に向かうように振舞ってください。
あっという間に不安や恐怖が消え去ることに驚くでしょう。」【バシャール】

“臆病の自火”:気の弱い小心者が、恐れる必要のないことまで心配して悩み苦しむこと。
自火とは、自分自身の心から出る精神的苦悩のこと。


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30.離為火(りいか)<自覚的なアプローチ・知的発見と事態発覚>

離とは、二律背反の意。一得一失。科学技術と精神性の相互関係。科学(人工物)の利便性とその弊害。

「ひとつの顔は神が与えてくださった。
もうひとつの顔は自分で造るのだ。」【シェークスピア】

「まだ見ていない、あるいは見ることのできない驚異が世界にどれほど多くあるかは、
考えも想像もつかない。」【フランシス・P・チャーチ】

「真の自己の目を開けば、無意味なものは何一つないのです。
見るに値しないものはありません。」【サラ・バン・ブラナック】

「人はその職業で大きな成功を収めると、五感を失う。
視力が失われる。絵を見る時間がなくなるからだ。
音が消える。音楽を聴く暇がないからだ。
言葉がなくなる。会話をするいとまがないからだ。
物と物との関係である、釣り合いの感覚もなくす。
人間性が消えるのだ。」【ヴァージニア・ウルフ】

「それは最良の時でもあり、最悪の時でもあった。」【チャールズ・ディケンズ】

「夕映えが美しいように、老人の場所から見た世界は美しいのです。」【伊藤整】

「一生に一度も親切な行為をせず、人に真の喜びを与えず、人助けもしないで過ごすことは、
老後の人生を美しく照らしてくれる、楽しい記憶を損なうことである。」【ジョン・ワナメーカー】

「仮に、われわれは不死なるものになれそうにないとしても、
やはり人間はそれぞれふさわしい時に消え去るのが望ましい。
自然は他のあらゆるものと同様、生きるということについても限度を持っているのだから。
因みに、人生における老年は芝居における終幕のようなもの。
そこでへとへとになることは避けなければならない、
とりわけ十分に味わいつくした後でではな。」【キケロ】

「自己の向上を心がけている者は、喧嘩などする暇がないはずだ。
おまけに、喧嘩の結果、不機嫌になったり自制心を失ったりすることを思えば、いよいよ喧嘩はできなくなる。
こちらに五分の理しかない場合には、どんなに重大なことでも、相手に譲るべきだ。
こちらに十分理があると思われる場合でも、小さいことなら、譲ったほうがいい。
細道で犬に出会ったら、権利を主張して咬みつかれるよりも、犬に道を譲ったほうが賢明だ。
たとえ犬を殺したとて、咬まれた傷は治らない。」【エイブラハム・リンカーン】

「もし私にふたつの顔があるとしたら、この顔でいるだろうか?」【エイブラハム・リンカーン】

「一体人間は、二つの魂の誕生をもっているといえよう。
世界がこんなに美しく、世の中がこんなに面白いものかと驚嘆する時がある。
これが第一の誕生である。
そしていつか、それとはまったく反対に、
人間がこんなに愚劣であったのか、また自分も、こんなに下らないものだったのかと驚嘆し、
驚きはてる時が来る。これが第二の、魂の誕生なのである。
しかし、この時、人々は、本当の人生を知ったというべきであろう。」【中井正一】

「余は五、六歩横町に進入りしが洋人の家の樫の木と余が庭の椎の大木炎々として燃上がり
黒烟風に渦巻き吹つけ来るに辟易し、近づきて家屋の焼け倒るるを見定ること能わず。
唯火焔の更に一段烈しく空に上るを見たるのみ。
これ偏奇館楼上少なからぬ蔵書の一時に燃るがためと知られたり。」【永井荷風】

「「自然は、沈黙した。うす気味悪い。鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。
みんな不思議に思い、不吉な予感におびえた。裏庭の餌箱は、からっぽだった。
ああ、鳥がいた、と思っても、死にかけていた。ぶるぶるからだをふるわせ、飛ぶこともできなかった。
春がきたが、沈黙の春だった。
いつもだったら、コマドリ、スグロマネシツグミ、ハト、カケス、ミソサザイの鳴き声で春の夜は明ける。
そのほかいろんな鳥の鳴き声がひびきわたる。
だが、今はもの音一つしない。野原、森、沼地――みな黙りこくっている。」【レイチェル・カーソン 『沈黙の春』】

「新しい科学、サイバネティックスに貢献したわれわれは、控えめにいっても道徳的にはあまり愉快でない立場にある。
既述のように、善悪を問わず、技術的に大きな可能性のある新しい学問の創始にわれわれは貢献してきた。
われわれはそれを周囲の世間に手渡すことができるだけであるが、
それはベルゼン(Belsen ※ハンブルク近郊に設けられたナチスの強制収容所)や広島の世間でもある。」【ノーバート・ウィーナー】

「誰だって、自分の欲望、思想、苦痛を正確に示すことはできない。
そして、人間の言葉は破れ鍋のようなもので、これをたたいて、み空の星を感動させようと思っても、
たかが熊を踊らすくらいの曲しか打ち鳴らすことはできないのである。」【ギュスターヴ・フローベール】

「しかし、ぼくはカテドラル(※大聖堂)よりは人びとの眼をを描きたい。
カテドラルがいかに荘厳で、圧倒するような印象を与えようと、そこにはない何かが人間の眼にはあるからだ。
一人の人間――それが哀れなルンペンであろうと、夜の女であろうと――
の魂はぼくの眼にはもっと興味深いものなのだ。」【フィンセント・ファン・ゴッホ】

「目は心の窓」【ことわざ】

「百聞は一見にしかず」【ことわざ】

“猫が肥えれば鰹節が痩せる”:物事は両方とも一編に上手くいくわけではなく、
一方が良ければ、もう一方に都合が悪くなるということの譬え。


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31.沢山咸(たくざんかん)<直感的認識と共感性・イメージを現実に>

咸とは、感応の意。第一印象。手探り状態。相手の気持ちを察知し、時宜と良心に適った行動を。

「「ユーレカ(わかった!)」は快楽である。
おそらく人間が味わうことができる快楽のうちで、
最も上質、かつ最も深い快楽の一つだろう。」【立花隆】

「勘とは、合理的な経験を土台に、瞬間的に働く確実性である。」【鈴木鎮一】

「ピカ(ヒラメキ)は突然来るものだが、
これは不断の勉強と努力の蓄積がピークまで充電された時の放電である。」【中松義郎】

「直感は精神的な能力で、説明せずに、黙って方向を指し示す。」【フローレンス・スコヴェル・シン】

「それはわずかな気配や推測でしかない、推測で固められた気配だ。
それ以外は、祈り、服従、修業、思考、行動である。」【T・S・エリオット】

「性と美から生まれる知性は直感である。」【D・H・ローレンス】

「似たもの同士が恋をする。」【ルーマニアのことわざ】

「妥協は人生のスパイスではないとしても、人生の堅実さである。」【フィリス・マッギンリー】

「自分に妥協してはならない。あなたは自分しか持っていないのだから。」【ジャニス・ジョプリン】

「愛想よくしなさい。他人の立場に立って考えてみましょう。柔軟になりなさい。
苦しくならない程度で、できるだけ寛大になりなさい。関係者が最善の結果を得られるように祈りなさい。
自分の本能を信じなさい。肉体的な兆候、とくに自分の勘に注意を払いましょう。
それはあなたにとって何が最善か見分ける確かな助けとなります。」【サラ・バン・ブラナック】

「金の問題は全人生を通してわれわれの足に付きまとい、人間の持つどんな難題にも増して、
それなりのやり方でしつこく強力に圧力をかける。それは霊的な探求にも影響を及ぼす。」

「自分の中で何が超越的な領域に属し、何が物質的な領域に属するかを、まず理解する必要がある。
次にそれぞれの領域にしかるべきものを、多くも少なくもなく分かち合える。それが人間であるということだ。
人間であるゆえんはそれ以外のどこからも生まれない。」【ジェーコブ・ニードルマン】

「適切なときに起こり、そのため適切な人物が現れて、私たちの生活が突然重要な新方向へ向かうとき、
その神秘的な一連の出来事に深い意味があることを直観しなければならない。」【ジェームズ・レッドフィールド】

“落花流水の情”:落花は流水に乗って流れたいと想い、流水は落花を浮かべて流れたいと想う。
また、男女が互いに慕い合う気持ちがあることの譬え。転じて、自分の望みを叶えられる場を求める気持ちのこと。

「世界の恋人たちの99%は、第一希望の相手と一緒になっちゃいない。
だからジュークボックスで音楽がかけられるんだ。」【ウィリー・ネルソン】

「ある意味では誰も一輪の花をきちんと見ていない。
花は小さすぎるし、わたしたちには暇がない――
見るのには、友人になるのと同じく、時間がかかる。」【ジョージア・オキーフ】

「よくない記憶力の利点は、同じよい事物をなんども はじめて ・・・・ 味わうことである。」【フリードリヒ・ニーチェ】

「私は、どのような発明や発見の場合も、
科学上のアイデアのひらめきと同時に魅力的な女神が私の人生に現れる、という体験をしてきました。
……こうしたことは私の人生にいくどとなくありました。
私が何かの発見をしかけ、思考の感覚を高めていると、いつも私にとって非常に魅力的な女性が現れ、
ふと気がつくと私は恋に陥りかけているのでした。
そして私が恋にそれ以上深入りせずに踏みとどまれた時だけ、私は発見と発明に専念できたのでした。」【バックミンスター・フラー】

「われわれはだれしも自分の中に電力や磁力のようなものをそなえている。
そして、同質のもの、異質のものに接触するに応じて、磁石のように、引力と斥力を働かせるのだね。
……恋人たちのあいだでは例の磁力がとりわけ強いので、とても遠いところまで作用が及ぶのだね。
私が青年時代にひとりで散歩したりしていると、恋しい娘に無性に会いたくなり、
じっと娘のことを考えていると、本当に彼女が私のところへやって来たようなことがじつによくあったな。
「部屋にいても、落ちついていられず、」と彼女はいうのだった、
「ここへ来ずにはいられなかったのですわ。」とね。」【ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ】

“以心伝心”:言葉を交わさなくても、無言のうちに互いの思っていることや考えていること。
気持ちが通じ合うこと。

”一枚の絵は千語に値する” = ”百聞は一見に如かず””


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32.雷風恒(らいふうこう)<持続性と倦怠感・夫婦の永遠性>

恒とは、恒常の意。軽挙妄動を慎み、長期的展望を持て。保存や記録。長期記憶。歴史や伝統。

「風が吹けば桶屋が儲かる」【日本のことわざ】

「人間の記憶は、テープレコーダーとか映画のフィルムのように
一つながりになって脳に納められている。」【品川嘉也】

「“記憶”とは何かと問われれば、
それは「一度印象付けられ、刻み込まれた経験をふたたび思い出す精神機能である」
ということになる。」【高木貞敬】

「愛があなたを手招きしたら、彼に従いなさい。
彼のやり方は、厳しく、非情かもしれないけれど。
愛があなたを抱きかかえたら、彼に抱いてもらいなさい。
翼に隠された剣で、傷つくかもしれないけれど。
そして愛があなたに話しかけてきたら、彼の言うことを信じなさい。
彼の声は、北風が庭の花を枯らすように、
あなたの夢を粉々に砕くかもしれないけれど。」【カリル・ギブラン】

「愛は見つめ合うことではなく、いっしょに同じ方向を見ることです。」【アントワーヌ・ド・サン=テグジュベリ】

「小さなことに長け、日常の退屈な些事に雄雄しく勇敢であるのは、
珍しい美徳であって称賛に値する。」【ハリエット・ビーチャー・ストウ】

「自己評価や生活から得られる喜びは、結局のところ、毎日の経験をどうふるいにかけ、
どう解釈するかに直結している。幸せかどうかは心の調和次第である。
宇宙の大きな力をわれわれがいかに支配できるかではない。」【ミハイ・チクセントミハイ】

「互いに手をつなぐ時にも間をあけよう。」【カーリル・ギブラン】

「夫を選ぶことの次に大事なものは、結婚後の礼儀でしょう。
お客が来た時だけよそ行きの言葉を使って、夫にはずけずけ言うのでは困ります。
口やかましい女をたいていの男はがまんできません。」【ウォルター・ダムロッシュ婦人】

「夫が妻に対して示す力は父親のような、友人のような力であるべきだ。
権威をかさに着た、暴君じみた力であってはならない。」【ジェレミー・テーラー】

「この苦難に満ちた世の中において、互いを思いやる真心からの愛情と、
全世界の永続的な平和を願う気持ちはもっとも大切であり、つねに持ち続けなければならない。」【ジョン・ウッドン】

「私は7年間はよい夫だった」【ジョナサン・スウィフト】

「同じものを100年、いや200年、あるいは永遠に見続けたとしても、別に違いはない。
・・・・・・長生きする者も、早死にする者も、死によって失うものは同じひとつのものである。」【マルクス・アウレリウス】

「私には、方程式のほうが[政治より]重要です。
政治は現在にかかわることですが、方程式は永遠にかかわるものだからです。」【アルベルト・アインシュタイン】

「恒常性というのは一定のふるまいではなく――あらゆる生命形態は絶えず流転する――、
変わりゆく環境の中である程度の内部秩序を維持する能力のことを言う。」
「恒常性とは、あくまで一定の範囲にとどまるよう調整がなされることであって、
まったく変化が見られない、ということではない。」【デイヴィッド・オレル】

「どの瞬間も不変不易なのだ。瞬間に対して「変化」という概念をあてはめることは、
意志に精神分析を試みるのと同じくらい無意味なのである。
・・・・・・ここで重要なのは、時空内の一連の出来事は完全かつ不変不易であり、
矛盾のない首尾一貫した全体性をそなえているということだ。」【ブライアン・グリーン】

「結婚の幸福は、まったく運次第ですもの。
お互いに気心がわかっていても、前もって似ていても、そんなことでしあわせが増すってわけのものじゃないわ。
後でいくらでも似なくなってきて、お互いに気まずい思いをするのがおちよ。
だからあなたも、一生を共にする人の欠点は、なるたけ知らないでいた方がしあわせなのよ。」【ジェーン・オースティン】

「彼女は自分と夫とのあいだに何かしら一つの幕を、何か一つの障害物を感じていた。
二人の人間が決し魂までは、心の奥底までは、たがいにはいりこむものではないということに、
生まれて初めて、気がついたのである。
ならんで歩くものであり、ときどきからみ合うことはっても決してとけ合うものではない、
人間めいめいの精神的存在は永久に、一生涯孤独のままであるということに、
気がついたのである。」【ギ・ド・モーパッサン】

“万古不易”:永久に変わらないこと。いつまでも変わらないさま。


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33.天山遯(てんざんとん)<肯定的な生き方への転換・退くも勇気>

遯とは、否運回避の意。身を引く。迫り来る危機や不幸から逃れるため、積極的な転進を決行する。

「聖なる状態になれないほど世俗にまみれたものは何一つない。
神が人間の姿をとられたことの持つ深い意味の一つが、それである。」【マデレーン・レングル】

「聖なるものはどこにでもある。」【マシュー・フォックス】

「聖人のすばらしい点は、人間であるということだ。
彼らは癇癪を起こし、腹を減らし、神を叱りつけ、さらにはわがままだったり、
いらだったり、辛抱がなかったりを繰り返し、過ちを起こしては後悔した。
それでも失敗しながらも執拗に天へ向かって歩き続けた。」【フィリス・マッギンリー】

「人間の本性のうちで最も悲劇的なことといえば、どの人でも人生から逃避したくなるという点であろう。
私たちはだれも、水平線の彼方にある魔法のバラ園を夢見ている。
そのくせに、我が家の窓の外で今日も咲きほこるバラの花など見向きもしないのだ。」【デール・カーネギー】

「自分が年だと思ったら年なのさ。
人は自分が思ったとおりに年を取っているんだ。」【モハメド・アリ】

「バスケットボールは私の逃げ場所です。
バスケットボール以外のことには複雑すぎてついていけません。」【マイケル・ジョーダン】

“三十六計逃げるに如かず”:いろいろと計画していたことが、どうにも処置できなくなった時は、
その場から逃れて身の安全を優先するのが最善の策だということ。
戦わず逃げるほうが、大局の勝利を得ることもある。


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34.雷天大壮(らいてんたいそう)<猪突猛進する単純さ・破壊と創造>

大壮とは、意気盛んの意。一点突破の開拓精神。パワフルだが暴走注意。知情意の調整が大切。

「あなたにできること、できると夢見たことが何かあれば、それを今すぐ始めなさい。
向こう見ずは天才であり、魔法であり、力です。さあ、今すぐ、始めなさい。」【ゲーテ】

「人生で成功するためのアドバイスは、
つねに自分を信じ、実行力のある男になれ、ということだ。
一生懸命働き、自分に忠実であり続けること。」【ドナルド・V・ワトキンズ】

「できるだけたくさん、歴史と地理と財務のことを学ぼう!
できるだけたくさん、頭と筋肉を使おう。
嘘をつかないこと。相手を喜ばせる嘘でもいけない。
自分が好きなことで暮らしていけるようにしよう。
笑おう! 横柄な男になるなよ! 尊敬は要求するものじゃない、勝ち取るものだ。
それから、腹が減っているときに食料の買い出しに行くのはやめたほうがいいぞ。」【バディ・ハケット】

「体は聖なる衣である。最初の、そして最後の衣装だ。
それを着て人生が始まり、それを脱いで人生が終わるのだから、
敬意を払わなければならない。」【マーサー・グレアム】

「フットボールのフィールドじゃ、筋肉や、馬鹿力なんてものよりも、
頭脳がものをいうんだよ。」【ウォルター・チャンプ】

「「運動選手なんて、頭のほうはさっぱりだ」
という通説を打ち破るだけの頭脳も授かりました。」【アーヴィン・「マジック」・ジョンソン】

「人生にはフットボールの試合同様「法則」がある。
勇敢に相手のディフェンスを突破するんだ。」【セオドア・ルーズベルト(アメリカ第24代大統領)】

「英雄は普通の人より勇敢なわけではないが、5分間長く勇敢でいられる。」【ラルフ・ウォルド・エマーソン】

“猪突猛進”:向こう見ずに非常な勢いで突き進むこと。


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35.火地晋(かちしん)<超常的パワー・熱い自己表現衝動>

晋とは、昇り進むの意。開放感や陽気さに溢れ、遊戯性と躍動感がある。心(基盤)の安定が先決。

「明るいほうへ、明るいほうへ。」【金子みすず】

「ブランコに乗って、青い空に近づいてみないか?」【ロバート・ルイス・スティーブンソン】

「人々がこどものように夢中になって、創造行為に取り組んでいる瞬間こそ、
最高の遊びの精神が発露されるときではないか……。」【坂根巌夫】

「創造性とは、「大人と子供が一致した状態」において可能となるのだ、と要約しうる。」【福島章】

「悲観主義者が、星に関して新発見をしたり、
海図のない国へ船出したり、
精神世界に新しい天を開いたことは一度もない。」【ヘレン・ケラー】

「熱中する心がなければ、この世に進歩はあり得ない。」【ウッドロー・ウィルソン】

「大いなる存在がわたしたちのために働いてくださるのを、わたしたちは何回となく待ちました。
実際は大いなる存在のほうが、わたしたちのために働こうとして待っていてくださるのではないでしょうか?
今日は、あなたの天の計画のネガを持ち、愛の力でそれを焼き付けて、
あなたが創造された目的である真の人生を生きるようにしましょう。
そろそろ前進するときが来ました。」【サラ・バン・ブラナック】

「私は生まれながらのランナーなんです。
走ることが好きなだけ。
速く走れば走るほど、走ることが楽になるんです。」【メアリー・デッカー】

「自分を信じろ。そうすれば、経験が何をすべきか教えてくれる。」【スタン・スミス】

「ひたすら前進しろ。後ろから来るやつらに追いつかれないように。」【サッチェル・ペイジ】

「結果だけが強調されていて、練習でどのくらい成長したのかなんて気にもとめられない。
どれだけ進歩しているのか、その過程は自分で楽しみなさい。
勝敗についてあれこれ思うのはやめるんだ。」【マット・ビオンディ】


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36.地火明夷(ちかめいい)<灯台下暗し・私生活の危機>

明夷とは、明が暗むの意。正論や志望が通らない状況。情報漏洩や内部トラブルに注意。城孤社鼠。

「大いなる苦痛と不安にあるとき、恵みが下る・・・・・・
時にはそんな瞬間に光の波が暗闇に差し込み、
「あなたは受け入れられた」
という声が聞こえたような気がする。【パウル・ヨハネス・ティリヒ】

「普段から賢くなくてもいい。
いざという時に賢ければ、90%賢い。」【セオドア・ルーズベルト】

「外来文化が一度ならず、自国の文化よりも高度なものとして入ってきたことが、
創造性の軽視という好ましくない伝統を定着させる要因となったことも否定できない。」【湯川秀樹】

「外は暗い冬に包まれています。家の中であなたは自分自身の光をみつけました。」【サラ・バン・ブラナック】

「悪人を相手にする時、相手の裏をかく方法は一つしかない。
相手を立派な紳士として待遇するのだ。対等に扱うのが当然だという顔をして振舞う。
そうすると相手はすっかり参ってしまい、こちらの誠意に応じるだろう。
悪人は自分を信じてくれる人間が一人でもいることを誇らしく思うものだ。」【ルイス・E・ローズ】

「待つ者には、すべてがおのずから明らかとなる。
光の中で見たものを、暗闇の中で否定しないだけの勇気があるのならば。」【コヴェントリー・パットモア】

「自分の外を探してはならない。天は自分の中にある。」【メアリー・ルー・クック】

「自己の中に深く没入すれば、自分の求めるものがそこにあることを知る。」【シモーヌ・ヴェーユ】

「幸福は成功の鍵であるだけでなく、充実した人生を送る鍵でもあります。
物事が思いどおりにいかないときは、否定的に考えずに、人生で何が正しいかだけを追求しましょう。
どんなにつらいこともいつかは過ぎ去るものです。自分に誠実でさえあれば。」【ナンシー・オデル】

「みなさん、ここにいるチコリーニ(チコの役名)は、
大ばかみたいな口の利き方をしますし、ばかみたいに見えるでしょう。
そう見せかけているだけだって思うかもしれませんが、どうしようもない大ばかなんですよ。
みなさん、お願いですから、チコリーニをおやじさんと兄弟のもとに送り返して下さい。
みんな、こいつが帰ってくるのを心から待っているんです。刑務所でね。」【グルーチョ・マルクス】

「国家、すなわち、法律が存在する社会においては、自由とは人が望むべきことをなしうること、
そして、望むべきでないことをなすべく強制されないことにのみ存しうる。
独立とは何であるか、そして、自由とは何であるかを心にとめておかねばならない。
自由とは法律の許すすべてをなす権利である。」【モンテスキュー】

「ナショナリストの考え方の中には、
真実なのに嘘、知っているのに知らないことになっているという事実が、いろいろある。
知っている事実でも、認めるのに耐えられないというので脇へ押しのけられたまま、
意識的に論理的思考から外されてしまうことがあるかと思えば、
綿密に検討されたにもかかわらず、自分ひとりの心の中でさえ、
事実であることをぜったいに認めないといったことが起こるのだ。」【ジョージ・オーウェル】

「私は好んで闇の中へ出かけた。渓ぎわの大きな椎の木の下に立って遠い街道の孤独な電灯を眺めた。
深い闇の中から遠い小さな光を眺めるほど感傷的なものはないだろう。
私はその光がはるばるやって来て、闇の中の私の着物をほのかに染めているのを知った。
またあるところでは渓の闇へ向かって一心に石を投げた。
闇の中には一本の柚の木があったのである。石が葉を分けて戞戛(かつかつ)と崖へ当った。
ひとしきりすると闇の中からは芳烈な柚の匂いが立騰って来た。」【梶井基次郎 『闇の絵巻』】

「愚かさはあくよりもはるかに危険な善の敵である。悪に対しては抗議することができる。
それを暴露し、万一の場合には、これを力ずくで妨害することもできる。
悪は、少なくとも人間の中に不快さを残していくことによって、いつも自己解体の萌芽をひそませている。
愚かさに対してはどうしようもない。」【ボンヘッファー】

「諸君はまたそういう大きな建物の、奥の奥の部屋へ行くと、
もうまったく外の光が届かなくなった暗がりの中にある金襖(ふすま)や金屏風が、
幾間も隔てた遠い遠い庭の明かりの穂先を捉えて、ぼうっと夢のように照り返しているのを見たことはないか。
その照り返しは、夕暮れの地平線のように、辺りの闇へ実に弱々しい金色の明かりを投げているのであるが、
私は金色というものがあれほど沈痛な美しさを見せる時はないと思う。」【谷崎潤一郎】

「おお 憐む可き人の心よ、おお 盲目なる精神よ!
此の如何にも短い一生が、なんたる人生の暗闇の中に、なんと大きな危険の中に、過ごされて行くことだろう!
自然が自分に向って怒鳴っているのが判らないのか、
外でもない、肉体から苦痛を取り去れ、精神をして悩みや恐怖を脱して、歓喜の情にひたらしめよ、と?」【ルクレティウス】

“玉磨かざれば光なし”:美しくなるはずの玉も、
原石のままで磨き上げようとしなければ、立派な光り輝くものとはならない。
人間も、どれほど生来の才能があっても、学問を身に付け身を慎むことを学ばなければ、
人に尊ばれる人間にはなれないということ。


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37.風火家人(ふうかかじん)<プライベートの充実・戸締り用心火の用心>

家人とは、ファミリーの意。誓約関係。身内や社内の安全を図って、経済的充足と献身に生きる。

「愛するということは、私達が互いに見つめ合うことではなく、
ともに同じ方向を見つめることだ。」【サン・テグジュベリ】

「子どもに心の底から好きになってもらえたとき、
人はやっと自分の存在を感じられる。」【マーガリー・ウィリアムズ】

「一家、ネットワーク、一族、家族、何と呼んでもよい。
何と呼ぼうが、誰であろうが、それが必要だ。」【ジェーン・ハワード】

「これだけの惑星が太陽のまわりに軌道を描き、多くの面で依存している。
太陽はいまもなおブドウの房を成熟させられる。宇宙ではほかにすることがないかのように。」【ガリレオ】

「根づきたいという魂の欲求は、最も重要でありながら、最もないがしろにされている。」【シモーヌ・ヴェーユ】

「開いた家庭、開いた心、ここに豊かな収穫がある。」【ジュディ・ハンド】

「わたしがこの世を去るとき、書きなさい、ここにわたしの愛したものがすべてある、と。
この壁が美しく輝くべきだという思いが、わたしののろまな魂を務めへと駆り立てた。
ここには喜びがあるべきだという思いが、わたしを一年また一年と働かせた……
考えと行動の一つ一つが、この家庭をしっかりと守るためだった。」【エドガー・A・ゲスト】

「まず相手の長所を誉める。それから徐々に相手の欠点を教えてやればよい。
この方法を用いれば、会社、工場、家庭で効果があり、妻に対して、子供に対して、両親に対して、
ほとんど世界中の人間に対して効果がある。」【デール・カーネギー】

「神が「愛」することを教えるなかで我々にあらゆる真理を教えたならば、
我々の家族に対する一切の義務が何を意味するのかも同時に教えたことになる。
われわれはどこへでも飛び散って行ける森の小鳥や砂漠のダチョウとして生まれたのではない。
ともに集団を作り、愛に育まれ、毎日を、あの世界最初の教会――
家庭で育てられるよう、定められて生まれてきたのだ。」【ヘンリー・ウォード・ビーチャー】

「人生でもっとも大切なものは家族だ。
家族はきみを大事に思い、なにかのときには必ずそばにいてくれる。
人生の成功は財産とはなんの関係もない。
人生の質を向上させて、周囲の人々の役に立つことこそが成功につながる。
ほかの人々の人生をさらに楽しいものにできれば、きみも成功したように感じるだろう。
そして、それこそが成功なのだ。」【フィル・ミケルソン】

「世界中でもっとも大切なものは愛情に満ちた家族だ。
世界中の成功を手に入れたとしても、分かち合える家族、無条件の愛をそそいでくれる家族がいなければ、
それはなにもないのと変わらない。」【シュガー・レイ・ナード】

「成功は定義がむずかしい。ある人にとっては財産が増えることかもしれない。
また、ある人には専門分野で一流になること、あるいは喝采を浴びることかもしれない。
ぼくにとっての成功とは、貧困からはいあがって、自分がやりたかったことができるようになったことだ。
やりたかったことというのは、両親や親族や友人たちを助け、自分の住む社会やこの国のために役立ち、
愛情に満ちたすばらしい結婚をして、愛する子供たちや孫たちに囲まれること。
これは成功であり、また幸福でもある。
愛とは、よいときも悪いときもきみを大切に思い、暖かな笑顔と優しい表情できみに話しかけてくれて、
互いに見つめ合える、そんな人がそばにいて抱きしめてくれることだ。」【モンティ・ホール】

「美食を極められる組み合わせは次のとおり。
ひとりで食事をするなら、ふつうはソファーか丘の中腹で。
ふたりなら、性別や年齢にかかわらず、すてきなレストランで。
6人なら・・・・・・すてきな家庭で食卓を囲む。」【M・F・K・フィッシャー】

「無名の選手たちといっしょにシーズンを迎えても気にならない。
でも、無名の選手たちといっしょにシーズンを終えるのはかなわないな。」【ルー・ホルツ(フットボール・コーチ)】

「大道廃れて仁義あり、智慧出でて大偽有り。六親和せずして孝慈有り、国家昏乱して忠臣有り。」
<大いなる道が失われると、愛と正義の道徳が強調せられ、
さかしらの智恵が発達すると、人為の掟が盛んに作られる。
家の中がもめてくると、親子の道徳が喧しく言われ、
国の秩序が乱れてくると、忠臣の存在が騒ぎたてられる。>【老子】

「「ディズニー」というのは、ある抽象的なもの、人びとの心のなかにあるイメージを指している。
ディズニーという言葉を聞けば、ある種のエンターテイメント、独特のファミリー・イメージが浮かんでくる。
だから、僕自身はもはやディズニーじゃない。昔はディズニーだったけど。」【ウォルト・ディズニー】

「われわれの飢えた心に優しい隠れ家を見つけた、苦しみの孤児。」【ロバート・バーンズ】


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38.火沢[目癸](かたくけい)<認識の相違・差別と偏見を越えて>

「目癸」とは、識別の意。異なる意見や方針が出て対立する。外面的な批評や観察力に長ける。

「意見が合わないのは、相手が不愉快な人間だからではない。」【バリー・ゴールドウォーター】

「相手の意見がこちらと違うからといって、相手の頭を叩き割ろうとするのは筋が通らない。
この論法でいけば、十年前の自分と今の自分は違うのだから、
自分の頭を殴るのが当然ということになる。」【ホーリス・マン】

「相手と意見が食い違う時は、敵意をむき出しにしないで、
相手を敬愛している気持ちを、表情にも行動にも言葉にも表すよう、努めることだ。」【ポール・ダグラス】

「人は自分に賛同してくれる人がいると快適だが、
自分と賛同しない人といると成長する。」【フランク・A・クラーク】

「来るものは最大限に利用し、去るものは最小限に関わる。」【サラ・ティーズテイル】

「息子たちとの口論にほとほと手を焼いた父親が、これは言葉では駄目だと悟り、何か実例を示して納得させようと考えた。
そこで息子たちに一束の棒切れを持って来させ、一人一人に折らせた。だれ一人うまく折れる者はいなかった。
ところが束を解いて棒を一本ずつ折らせてみると、みな容易にやってのけた。
そこで父親は息子たちに言って聞かせた。
「息子たちよ、お前たちが兄弟力を合わせている限り、だれ一人お前たちにかなう者はいない。
だが仲違いして離れ離れになれば、お前たちは立ち所にやっつけられてしまうぞ!」」

「自分の目はある傾向のものに慣れているので、それから外れると変に感じる。」【トム・ホーガン】

「私が人に対してすることや、私が人に話すこと一つひとつが、違いを作り出します。」【ギタ・ベリン】

「私たちは常に周りと比較されて育ち、偏差値に基づいた教育を受けてきた。
私たちの文化もまた同じである。だから私たちは、
自分ではない誰かになろうともがくのだ。」【J・クリシュナムルティ】

「たくさん笑って、家族や友人たちなど、喜びを与えてくれる人を大切にして、
だれかを傷つけたり、胸をはって言えないようなことをしたり、家族を怒らせたりしないこと。
そうすれば自分がなりたいと思うどんなものにでもなれる。
つねに覚えておいてほしいのは、
一生懸命努力して全力を注げば、望むことはなんでも成し遂げられるということだ。
目標を定め、やめろという説得に屈しなければ、きみは奇跡を起こすことだってできるんだ。」【ノーム・クロスビー】

「私は自分のスタイルを貫いてきました。
誰かの真似をしたことはありません。」【ミッシェル・マクガーン】

「人から押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見のほうを、われわれは、はるかに大切にするものである。
とすると、人に自分の意見を押し付けようとするのは、そもそも間違いだと言える。
暗示を与えて、結論は相手に出させるほうが、よほど利口だ。」【デール・カーネギー】

「246種類もチーズがある国を、どうやって治めるというのかい?」【シャルル・ド・ゴール】

「宗教はひとつしかないが、100のタイプがある。」【ジョージ・バーナード・ショー】

「うじ虫には明瞭な自我の観念も宇宙の観念もないけれども、
踏みつけられたうじ虫でさえも、苦しんでいる自分を彼以外の全宇宙と対立させる。
虫は私にとっては単に世界の一部分に過ぎないが、虫にとっては私が世界の一部分に過ぎない。
われわれはすべて全宇宙を異なる場所において二つに分割しているのである。」【ウィリアム・ジェームズ】

「個人的人間関係は、今日では軽蔑されているし。
ブルジョワ的な贅沢であり、すでに過去になった幸福な時代の遺物だと見られて、
そんなものは捨ててしまえ、それよりも何か政治的な運動とか主義に身を捧げろとせっつかれる。
私は、この主義というものが嫌いで、国家を裏切るか友を裏切るかと迫られたときには、
国家を裏切る勇気をもちたいと思う。」【E.M.フォースター】

「人間は誰でも自分や自分達の仲間とそれ以外の人々を比較します。
そうして自分とは異なる存在への違和感、嫌悪感、恐怖感、劣等感を感じるというのが自然な反応です。
自分が、そして自分達が自信を持ちたいがために、他者を劣った存在と考える誘惑にとらわれがちです。
自分が、そして自分達が優秀であり、他者は劣っている、あるいは自分達は正常で、他者は異常だという考えに陥りやすいのです。
集団の大多数を占める人々が、少数者を異常と考えることもしばしばあります。
遺伝学は人間を含んだ生物の遺伝と多様性を研究対象にした分野なので、
注意しないと、そのような誤った考えを助長する可能性があります。

 現実に、過去にそのような誤った方向に進んだ遺伝学者たちがいました。その考えは「優生学」ということばに代表されます。
それは遺伝病を含む、病気の人々の遺伝子は、子孫に悪影響を与えるので伝えられるべきではない、という考えです。
同じ考えを集団に適用すれば、我々の民族は優秀であり、他の劣った民族の上に立ち、人類全体に広がるべきである、
という主張になります。このような考えを実際に実現しようとしたのが、ドイツのヒットラーです。
彼は優生学の考えを極端に進め、多くの障害者を殺害したり、アーリア人(優秀な自分達が属すると彼らが考える集団の名前です)
より劣ると主張し、ユダヤ人の虐殺を行ったりしました。残念なことに、それに加担する遺伝学者がいました。

 遺伝学の正しい知識は、このような考えが誤りであることを教えます。
この本(※『オンリーワン・ゲノム 今こそ『遺伝と多様性』を知ろう)』の読者は、
人々や集団はもともと多様なものだと言うことを実感できたと思います。
そして、自分達が正常で、それと違う者は異常だと言う考えが浅はかなものだということがわかると思います。
チンパンジーから分かれた後、人間の祖先に染色体異常が起き、
それが人類全体に拡がってできたのが私たちであることだけを取り上げても、
正常、異常という区別はもともと不可能であることが理解できます。人々のゲノム配列は驚くほど多様であり、
どこにも、これこそ正常の人間のゲノム配列と言うものはなく、これこそ正常の人間と言えるものもありません。
膨大な多様性を含んだ集団こそが、人類と言うものの真実の存在なのです。

・・・・・・人々が均一だと主張し、多様性を否定することは、これからの情報化社会ではますます困難になっていくでしょう。
真実を一時的に覆い隠すことはできても、長期にわたってそれを続けることは到底不可能だからです。

・・・・・・なによりも大切なことは、私たち一人ひとりが途方もない多くの情報を先祖から受け継いでおり、
それぞれがかけがえのない、ただ一つの存在である「あなた」を生み出しているという事実です。
そして、そのような「あなた」がたくさん集まった集団が人間社会なのです。
私たちは、人々のその多様性を理解し、お互いを尊重できるような社会を作っていきたいものです。」【鎌谷直之】

”同音異義”:同じ発音なのに、異なる意味を持つ言葉。

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39.水山蹇(すいざんけん)<独断専行禁止・有力者の力添えを>

蹇とは、難儀の意。中途挫折。身心の萎縮が進退両難を招く。苦労を共に分かち合う対人関係。

「どうにも乗り越えられない障害にぶつかったときは、
頑固さほど役に立たないものはない。」【シモーヌ・ボードワール】

「われわれの問題意識を阻害する原因の一つは、思考の制約傾向である。」【多湖輝】

「すべての大偉業は、最初は不可能事だと言われた。」【トーマス・カーライル】

「進退きわまって四方八方敵だらけとなり、
もう一刻も持ちこたえられないという気持ちになっても、
決してそこで手放してはいけません。
情勢が一変するのは、まさにそれからなのですから。」【ハリエット・ビーチャー・ストー】

「あなたが行き詰ったと感じ、もうその先へ一歩も進めないと思った時、
そしてまた、人生のすべての目的を見失ったと感じた時、それは実にすばらしいチャンスです。
それはすべてをもう一度やり直し、人生の新しい頁をめくるすばらしいチャンスなのです。」【アイリーン・キャディ】

「壁を作る前に、わたしは知りたい。
何を壁で囲み、何を壁で隔てるかを。」【ロバート・フロスト】

「子どものころ、母が、望みさえすればどんなことでも達成できると教えてくれました。
最初は、添え木を使わずに歩くことでした。」【ウィルマ・ルドルフ】

「つまずきは転倒を予防する。」【イギリスのことわざ】

「五つのものさえあれば戦争ができる。
身体の病、精神の無知、身体の受難、街の治安の乱れ、家庭の不和だ。」【ピタゴラス】

「ボールが思った方向へバウンドしないなんて文句を言って何になる?
そういう奴に限ってよくボールを落としやがる。」【ルー・ホルツ】

「律(※正岡子規の妹)は看護婦であると同時にお三どんなり。
お三どんであると同時に一家の整理役なり。一家の整理役であると同時に余の秘書なり。
書籍の出納原稿の浄書も不完全ながら為し居るなり。
しかして彼は看護婦が請求するだけの看護料の十分の一だも費やさざるなり。
野菜にても香の物にても何にても一品ならば彼の食事はをはるなり。
肉や肴を買うて自己の食料となさんなどとは夢にも思はざるが如し。
もし一日にても彼なくば一家の車はその運転をとめると同時に余は殆ど生きて居られざるなり。
故に余は自分の病気が如何やうに募るとも厭はずただ彼に病なきことを祈れり。
彼あり余の病は如何ともすべし。
もし彼疾まんか彼も余も一家もにつちもさつちも行かぬこととなるなり。
故に余は常に彼に病あらんよりは余に死あらんことを望めり。」【正岡子規】

「司馬遷は生き恥さらした男である。
士人として普通なら生きながらえるはずのない場合に、この男は生き残った。
口惜しい、残念至極、情けなや、進退谷(きわ)まった、と知りながら、おめおめと生きていた。
腐刑と言い宮刑と言う、耳にするだにけがらわしい、性格まで変わるとされた刑罰を受けた後、
日中夜中身にしみるやるせなさを噛みしめるようにして、生き続けたのである。
そして執念深く『史記』を書いていた。」【武田安淳】

「私も、命を惜しむ臆病者ではありますが、去就進退の分は、多少わきまえております。
罪せられ、辱められて、生きながらえるのが、私の本旨でないことは、申すまでもありますまい。
また、奴隷奴婢のたぐいも、なお自害して果てることがあります。
まして、進退谷(きわ)まった私が、どうして自害せぬわけがありましょうぞ。
隠忍して生きながらえ、糞土の中に幽せられて、あえて辞せぬ所以は、
自己のねがいを果たさぬのを恨み、このままうずもれて、
文章が後世に表れぬのを、鄙(はばかる)るからであります。」【司馬遷】

“進退これ谷(きわ)まる”:前に進むことも、かといって後ろに退くこともできない、
行き詰まった状態のこと。


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40.雷水解(らいすいかい)<夢の実現・苦悩からの解放>

解とは、解放の意。疑いの追及と解消。停滞状況を打開する新たな創造。集団形成力と系譜性。精神の春。

「問題が上手く解けない一つの理由は、
思考が先入観や見かけの状態に左右されて、柔軟に働かないことによります。」【住田幸次郎】

「泥水も、そのままにしておくときれいな水になる。」【老子】

「何でも妙なことにぶつかったら、笑うってことが一番賢い。」【メルヴィル】

「人生で最も喜ばしいのは、
君にはできない、と思われていることをやってのけること。」【ウォルター・バジョット】

「自由は他人の勝手なルールからの解放である。」【モーティマー・アドラー】

「寒さにふるえた者ほど太陽の暖かさを感じる。
人生の悩みをくぐった者ほど生命の尊さを知る。」【ホイットマン】

「テニスは過酷なほどに単調です。考えすぎると行き詰ってしまう。
試合と試合の間、トーナメントとトーナメントの間にリラックスする術を
身につけなくてはいけません。」【モーリン・コノリー】

「ユークリッド幾何を習いはじめると、直ぐその魅力のとりことなった。
数学、ことにユークリッド幾何の持つ明晰さと単純さ、透徹した論理――そんなものが、私をひきつけたのであろう。
しかし、何より私をよろこばしたのは、むずかしそうな問題が、自分一人の力で解けるということであった。
幾何学によって、私は考えることの喜びを教えられたのである。
何時間かかっても解けないような問題に出逢うと、ファイトがわいてくる。夢中になる。
夕食に呼ばれても、母の声は耳に入らない。
苦心惨澹の後に、問題を解くヒントがわかった時の喜びは、私に生きがいを感じさせた。」【湯川秀樹】

「色彩とは? それは身体の中にたくましくめぐる血である。
色彩とは、生命のしるしである。庭や畠にある花には「古色」はない。
空は天気のよいときには青い。
耕しおこされた土、立った岩、露わな地層などのくすんだ協和音は、
冬のあとの春ごとに生まれかわる生の爆発の堅固な踏み切り台である。
色彩!」【ル・コルビュッジェ】

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41.山沢損(さんたくそん) <相手の喜びのために・利他精神>

損とは、サービスの意。苦労や損害を甘受しつつ、恩を売る。損して徳取れ。律儀な実務能力。

「贈りものや親切な行為をして、見返りを期待するなら、それは単なる交換になってしまう。」【作者不詳】

「他人のために尽くす人生こそ、価値ある人生だ。」【アルバート・アインシュタイン】

「人類に奉仕することよりも崇高な信仰はない。
人々の役に立つことこそ、最も偉大な行為である。」【アルベルト・シュバイツァー】

「他人を幸福にするのは、香水を振りかけるようなものだ。
振りかけるときに、自分にも数滴はかかる。」【ユダヤのことわざ】

「大事のためには、いつ何時でも自分の肉体、安寧、生命さえも投げ打つ心構えのない者は、
三文の値打ちもない人間だ。」【セオドア・ルーズヴェルト】

「強い決心。犠牲を払う覚悟。それらがあれば、何でも実現できる。」【マイク・ディトカ】

「自分を励ます最善の方法は、他の人を励ますこと。」【マーク・トウェイン】

「約束より多くを与えるほうが、その逆よりわたしは好きです。
それは、たくさんあるわたしの企業秘密のほんの一つです。」【ドロシー・ユーナック】

「人の最大の過ちは、他の人のために働いていると思い込んでいることだ。」【ナシュア・キャヴァリエ】

「いいですか、
よいものをよそへ回したり、喜んで受け取らなかったら、ある時点で天はもう私たちの前を素通りします。
誰がそれを責められるでしょうか?
恩知らずと付き合うのを楽しく思う人はいないわけで、わたしたちが自分の美点を軽んじる時、
まさにわたしたちは忘恩の徒になっているのです。
辞書で褒めるという語の最初の語義が、「高い評価の表明」となっているのは興味深いと思います。
褒め言葉を受け入れにくいのは、おそらく心の中でその言葉に値しないと思っているからでしょう。
称賛を受ける気がないのは、自己評価が低いからです。」【サラ・バン・ブラナック】

「私が泳ぐのをやめたのはゴルフ向きの筋肉に影響があるからです。
ゴルフを続けるために、他には何を犠牲にしなければならないのか、
その時から考え始めました。」【ナンシー・ロペス】

「純粋で、私欲のない利他主義は、自然界には安住の地のない、
そして世界の全史を通じてかつて存在したためしのないものである。
しかし私たちは、それを計画的に育成し、教育する方法を論じることさえできるのだ。
われわれは遺伝子機械として組立てられ、ミーム機械として教化されてきた。
しかしわれわれには、これらの創造者にはむかう力がある。
この地上で、唯一われわれだけが、
利己的な自己複製子たちの専制支配に反逆できるのである。」【リチャード・ドーキンス 『利己的な遺伝子』】

「あまり善良すぎることをするのはおやめなさいよ。
少し気楽に、自然に、そして意地悪になさいな。
一生に一度くらい、
少し悪者になってみるのも、案外いいものよ。」【ヘンリー・ジェームス 『ある婦人の肖像』】

「ナイチンゲールは赤十字活動には関わっておらず、
むしろボランティアによる救護団体の常時組織の設立には真っ向から反対していた。
これはマザー・テレサと同様、
“構成員の自己犠牲のみに頼る援助活動は決して長続きしない”ということを見抜いていたためである。
そして「構成員の奉仕の精神にも頼るが、経済的援助なしにはそれも無力である」という考え方があったからだといわれている。
ナイチンゲールは「自分は(クリミア戦争における英国の)広告塔となる」ことをいとわなかった。
しかし、あまりに広告塔として利用されたせいか、戦争終結後はむしろ有名人として扱われるのを嫌うようになる。
それが昂じて遺言では、墓標にはイニシャルしか記すのを許さなかった。」【Wikipedia:ナイチンゲール】

「私は自分の心の中に、死にゆく人々の最後のまなざしをいつも留めています。
そして私は、この世で役立たずのように見えた人々が、その最も大切な瞬間、
死を迎える時に、愛されたと感じながら、この世を去ることができるためなら、
何でもしたいと思っているのです。」【マザー・テレサ(本名アグネス・ゴンジャ・ボヤジュ)】

「身には疾あり、胸には愁いあり、悪因縁は逐へども去らず、未来に楽しき到着点の認めらるゝなく、
目前に痛き刺激物あり、慾あれども銭なく、望みあれども縁遠し、よし突貫してこの逆境を出んと決したり。
五六枚の衣を売り、一行李(こうり)の書を典し(※質入れして)、
我を愛する人二三にのみ別れをつげて忽然(こつぜん)出発す。
時まさに明治二十年八月二十五日午前九時なり。」【幸田露伴】
(文学を志して電信技手をやめ、任地余市を去るときの心境を述べたもの)

「ただじゃ、何も手に入らないわ」【バニー・クラムパッカー氏の母親】

「タダより高くつくものはない」【ことわざ】

“身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ”:溺れかかっている時に下手にあがくより、
命を落とす覚悟で静かにしていれば自然と体が浮いて助かるように、利害を考えず、
自分を犠牲にするつもりになって真剣に物事に当たれば、後悔せずに成し遂げられるということ。


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42.風雷益(ふうらいえき)<相互利益が大切・利潤独占は厳禁>

益とは、増益の意。報恩報徳の潤い。高い倫理観と実際性を支えとし、常に学びの精神を持て。

「心配ならばわたしたちは行動を起こすべきであって、憂鬱になるべきではない。」【カレン・ホーニー】

「自分がすでに持っているところへ少し付け足すと、少し増える。」【P・G・ウッドハウス】

「お金は精神の状態であり、豊かさは信仰の状態であるという真理を受け入れたとき、
金銭面での心の平安が始まります。心の豊かさを選ぶとき、真の人生で金持ちとなるのです。
真の富を獲得します。もちろん、お金はその人の富の一つですが、
愛、穏やかな心、調和、美、喜び、申し分のない健康、
真の自己の表現、自分の幸福を見つけること、自分の情熱を追求すること、
天の与える運命を成就させることもそうです。」

「十分の一税は古代の精神的な伝統、普遍的な繁栄の法則で、
エジプト、バビロニア、中国、ギリシア、ローマなどで栄えた文明において、
豊かさを確保するために用いられました。

十分の一税が精神的世界でそう動くかが理解できると、
懐疑的な考えの人もその実行が人生を豊かにする仕組み受け入れるようになるでしょう。
どんな道をたどろうと、与える者は受け取る、という精神的な法則は不変です。
わたしたちはお金がエネルギーの形だと気づきました。エネルギーは溜め込んでいては増えません。
エネルギーが力となって発揮されるためには、自由に流れなければなりません。
人生でわたしたちが増加したお金を受け取るとき、その一部を手放すことで、
豊かさの水流をせき止めずに流し続けることができるのであり、それは大いなる存在の意図なのです。

現実的な面でも、十分の一税は感謝の念を行動で示すことができます。
自分の受け取った物質的な恵みの一部を返すのは、信頼を見える形で示すことです。
しかも十分の一税はわたしたちのお金に対する態度を変えます。わたしたちは期待に満ち、最善を予測します。
わたしたちは取引を守ったのです。与えたのだから、いつでも受け取れるのです。」【サラ・バン・ブラナック】

「豊かさを感じるにつれ、さらに金を引きつけるようになる……貯蓄預金口座にいくら入っていたらよいかを考えよう。
できるかぎり想像力を働かして、思い浮かべよう。自分の預金通帳の残高を想像しよう。
口座に入金する様子を脳裏に浮かべよう。残高を見るときの喜びを感じよう。貯金を財産口座と考えよう。
もっともっと巨額な富の流れをどう扱うかを教えてくれる金だと思うことにしよう。」【サナヤ・ローマン&デュエイン・パッカー】

「薄い財布を持ちこたえさせるよりも、厚くするほうが簡単だ。」【ジョージ・S・クラソン】

「われわれは短い人生を受けているのではなく、われわれがそれを短くしているのである。
われわれは人生に不足しているのではなく濫費しているのである。
たとえば莫大な王者のごとき財産でも、悪い持ち主の所有に帰したときには、またたく間に雲散してしまうが、
たとえ並みの財産でもよい管理者に委ねられれば、使い方によって増大する。
それと同じように、われわれの一生も上手に按配するものには、著しく広がるものである。」【セネカ】

「芸術家は自分がそのうち――というより間もなく、「見出される」と感じています。
創造にあたって、天の力が手を貸し、自分を動かしているのは知っているけれども、
作品には自分の名前がつけられて世に出るからです。そこに芸術家の苦悶があります。
創造しないことにしたら、神聖な火花を吹き消すことになります。
創造したら、世間に偽りの仮面を見せているように感じます。
ほかならぬ自分がやったのには間違いないけれど、
自分一人の力でやり遂げたのではないことを知っているからです。
しかし自分の才能を否定するのをやめ、
つつましく、ありがたく、うやうやしくその才能を認めて、
世間にそれを分かち与える気持ちになると、苦悶も詐欺師的な気分も消えます。
自分の才能を自分の利益のためにだけに用いるのでないかぎり、
わたしたちは護られます。」【サラ・バン・ブラナック】

「夫れ山に入りて仙となるも、世に何の益かあらん。
社会紛擾(ふんじょう)の中にあり、もしくは争闘苦戦の中に立ちながらに、
即ちキルが如く、ミガクが如く、トグが如くして、
此の苦中にあって仙と化するを得ば、自然社会にも益あらんと存(ぞんじ)候(そうろう)。
之は即ち浅学なる不肖目下の信仰にて候。」【田中正造】

「疾風迅雷」【四字熟語】

「鉄は熱いうちに打て。」【ことわざ】


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43.沢天夬(たくてんかい) <メスを入れる・悪しき社会制度の見直し>

夬とは、決断の意。秩序を取り戻すため、邪魔者や不届き者を監査し、斬捨てる。典型的人物。

「可能と不可能の違いは、それを実現すると決意しているかどうかだ。」【トミー・ラソーダ】

「何事にも動じない決断力ほど、気概のある人間を作り出す要因はおそらくあるまい。
将来大人物を目指す若者や、死後なんらかの点で大人物に数えられたいと願う若者は、
単に数知れぬ障害を克服する決心をするだけでは駄目だ。
数知れぬ拒絶と敗北に出会っても、障害を克服して見せる決心が必要である。」【セオドア・ルーズベルト】

「たとえ生死の境にあって、気持ちが極度に張り詰めている時でさえも、
他人の人生を思いやり、人類を支配する法則とは何であるかを考えてみるとすれば、
必ず何らかの報酬が帰ってくる。」【ウィンストン・チャーチル】

「決断する前に、必ず次のように自分に問いかけてみよう。
「両親はぼくを誇りに思ってくれるだろうか?」
そうすれば決して道を踏みはずすことはないだろう。」【ケン・ヴェンチェリ】

「人生で成功する方法は、的確な判断をもとに決断し、いったん決断したら振り返らないこと。」【グレグ・ノーマン】

「大参事の事故に突っ込む覚悟がなきゃ、結果は得られないよ。」【スターリング・モス(レースドライバー)】

「しかしもう去るべき時が来た――私は死ぬために、諸君は生きながらえるために。
もっとも我ら両者のうちのいずれがいっそう良き運命に出逢うか、それは神より他に誰も知る者がない。」【ソクラテス】

「群衆はとつじょとして姿を現わし、社会における最良の場所を占めたのである。
以前には、群衆は存在していたとしても、人目にはふれなかった。
群衆は社会という舞台の背景にいたのである。
ところが今や舞台の前面に進み出て、主要人物となった。
もはや主役はいない。いるのは合唱隊のみである。」【オルテガ・イ・ガセット】

「実際我々が直面する状況、つまり巨大な収入、途方もない負債、強大な陸海軍、
政府それ自身が一大銀行家にして一大商人であるというような現在の事態においては、
もしも或る種の極悪な悪名高い行動や致命的な改革によって
これら民衆の代表が法律の柵を越え出て恣意的な権力を導入しようとする事態が生ずる場合には、
これら代表が国家公共の利益に対する或る程度の配慮を保持することを可能にする唯一の方法は、
“民衆という団体そのものが介入する”以外にないというのがわたしの信念である。」【エドマンド・バーク】

“快刀乱麻を断つ”:ほつれた麻糸を切れ味の良い刀で切るように、紛糾した難問などを明快に処理することをいう。


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44.天風[女后](てんぷうこう)<奇遇な出会いと誘惑・願望実現欲求>

[女后]とは、色恋の意。情動の再生。潜在的な願望に遭遇するが、軽率に走ると失敗しやすい。

「人はみな素晴らしい。
たった一度会っただけなのに、二度と忘れられない人は大勢いる。」【シンディ・ローパー】

「人に興味を持つことだね。女に惚れれば相手のことを何でも知りたくなる。
恋人同士がよく言うじゃないか。「あなたのすべてが知りたい」と。人脈づくりも同じだよ。」【本田宗一郎】

「野心を持つって楽しいわ……野心には終わりがないように思える……そこがいいところなの。
一つ望みを達成したとたん、もっと高いところに輝いている次の望みが見えてくる。
だからこそ生きているのがおもしろいのよ。」【アン・シャーリー(L・M・モンゴメリ作)】

「わたしたちは達成を高く買っています。そいつはよい奴です。高潔で感じの良い、完璧な紳士です。
しかし野心は淑女というよりはあばずれ、貞淑な女性というより口うるさい女とみなされています。
彼女の情熱と力が創造的建設的な方向へ向かわないとき、野心は彼女の存在をもたらした者に刃向うこともあります。
電気が生活を向上させたり、破壊に向かったりするように、野心にも両面があります。野心が必要とするのは新しい報道係です。
彼女について聞くのは、誰かの破滅に責任があるとして責められるときばかりだからです。
 しかし野心が危険な女となるのは、わたしたちがその魅力にくらんで、貪欲のとりこになるときだけです。
魂が貧しくなると、自我は簡単に誘惑に乗るのです。貪欲は暗黒世界へ誘う巧みなポン引きです。
 女性の多くが真の自己から逃げるのも無理はありません。
たとえ心の中だけでも自分が向上心だけではなく、野心も持っていると認めるのは危険すぎるからです。
 しかし野心が大いなる存在の贈り物だったとしたら、どうでしょう?
わたしたちがそれぞれ才能という贈り物をふんだんに与えられたときに、その真の自己のパッケージの中に野心も入っていたとしたら?
セックスが神聖にも冒涜にもなり、権力が幸福にも破滅にも繋がるものであれば、野心だって両面性があるのではないでしょうか?
自分の野心を愛する人たちのため、世界のために最善の目的に向けて発揮しないことこそ、反対に堕落であるとしたら?
女性たちが抱いていた野心を、本来の場所である光の下に持ち出したならば、どれほど多くが達成されたかを考えてください。
わたしたちが野心を尊重し、そのようなすばらしい贈り物を託されたことに感謝するならば、
人生がどれほど変わるかを考えてください。」【サラ・バン・ブラナック】

「愛と欲望は偉業への心の翼」【ゲーテ】

「愛と優しい心を秘めた宝石箱を友人が死ぬまで閉じっぱなしにしてはいけない。
蓋を開けて友人の人生を甘美さで満たしてあげなさい。
耳が聞こえ、心臓が感動でふるえるうちに、楽しい朗らかな言葉をかけてあげなさい。」【ヘンリー・ウォード・ビーチャー】

「心を蕩かすエロースさまとキュプロス生れの愛の女神が、わたしどもの胸と膝とに魅惑の気をば吹きかけて、
男たちの心中に甘い情念、棍棒使いの心をば醸し出してくだされば、
わたしどもはギリシャ人のあいだで平和の女神とよばれるでしょうよ。」【アリストパネス『女の平和』】

「私たちは別れの挨拶をかわした。
車が角を曲がるのを見送ってから、階段をのぼって、すぐ寝室へ行き、ベッドをつくりなおした。
枕の上にまっくろな長い髪が一本残っていた。腹の底に鉛のかたまりをのみこんだような気持だった。
こんなとき、フランス語にはいい言葉がある。
フランス人はどんなことにもうまい言葉を持っていて、その言葉はいつも正しかった。
さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ。」【レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』】

“後ろ髪を引かれる”:思い切ろう、思い切ろう、と考えているが、
何か心に残るものがあって、きっぱり断ち切ることができないこと。


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45.沢地萃(たくちすい)<情報伝達・自分の居場所を見出す>

萃とは、集まるの意。大衆に役立つ知識や技術を日常に浸透させる。研究の実用化と競争原理。

「あらゆる現実は、かつては空想でしかなかった。」【ウイリアム・ブレイク】

「同じ羽毛の鳥は一つに集まる。」【ことわざ】

「真の友は最大の財産であり、また、最も得がたい財産である。」【ラ・ロシュフーコー】

「お前が誰と一緒にいるか、言ってみな。
そうしたら、お前がどんな人間か言ってやる。」【セルバンテス】

「収集家は目隠しをつけて歩き、手に入れたものしか見ない。
実のところ、収集本能と美を鑑賞する心とは相容れない。」
「浜辺の美しい貝殻をすべて集めることはできない。
ほんの少ししか集められないが、少しだからこそ、よけいに美しいのだ。」【アン・モロウ・リンドバーグ】

「わかったあとで身についたことが大切なんだ。」【ジョン・ウッデン】

「賢人が12人集まればひとりの賢人より偉いとか、
12人の馬鹿を一緒くたにすれば、ひとりの聖賢者ができるとかいうのかね?
正直ものを12人集めたら、ひとりの正直者より正直だとか・・・・・・というのかね?」【ハーマン・メルヴィル】

「大衆を飢餓と不潔と無知に安住させておくことにかまけているような宗教に私は関わりをもちたくない。
人びとはこの世でもっと幸福になりもっと文明に浴することができるし、
真の人間、わが運命の主、わが心の長になることができるのだ。
宗教的であれ何であれ、そう人びとに説かぬようなどんな集団とも私は関わりをもちたくない。」【ジャワハルラール・ネルー】

「孤独ほどつきあいやすい友達に出会ったためしがない。
われわれは自分の部屋にひき籠っているときよりも、
そとでひとに立ちまじっているときのほうが、たいていはずっと孤独である。
考えごとをしたり仕事をしたりするとき、ひとはどこにいようといつでもひとりである。
孤独は、ある人間とその同胞とをへだてる距離などによっては測れない。」【ソロー】

“門前成市”:人が数多く集まり、市場のように賑わうこと。多くの客が訪れるさま。


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46.地風升(ちふうしょう)<向上心と競争心・日進月歩の栄え>

升とは、上昇・成長の意。ポジティブで前向きな姿勢。限界の壁を破り、有意義な時を勝ち得る。

「目標が、目の前に、具体的な形でせまってくれば、
私たちの心の流れは、そちらの方へ向かって統一されやすくなる。
目標へ向かう精神的エネルギーは、高められやすくなる。」
「精神的エネルギーの集中とは、心の中のいくつかの流れを、
目標へ向けて結集することである。」【安本美典】

「わたしは少なくとも自分の体験により、このようなことを知った。
自分の夢に向かって確信を抱いて前進し、思い描いた人生を生きるように努力するならば、
普通では考えられないような成功を手にする。」【ヘンリー・デイヴィッド・ソロー】

「理想は、それを目指す冒険心がなければ役に立たない。
階段は登るためにある。見上げるだけでは意味がない。」【バンス・ハーブナー】

「成功を成し遂げるために、きみにアドバイスできることはこうだ。
1)毎日毎日、そのときにできる最高の仕事をする。
2)つねにはしごの次の段を見据えておく。
新聞社に入った頃、わたしは報道リポーターになりたかった。そして、ようやくリポーターになると、
次は海外特派員になろうと決め、その目的に向かって努力し、実現させた。
(…中略…)わたしの考えでは、成功の秘訣とは、ほんの少し先の路面を見据えていることである。
そうすれば落とし穴に落ちることもない。
そうやって確実に歩んでいくことで、人生の究極のゴールにずっと早く到達することができるだろう。
だが、あらゆる犠牲を払ってでも成功しろと勧めているわけではない。
友人たちの屍の上に成功を築くことはできないし、神の道、人の道にはずれることをしてはならない。
いくら競ってもいいが、善良であることが基本だ。
この原則を崩さなければ、必ず永続的な成功を収めることができるだろう。」【ウォルター・クロンカイト】

「ゴルフをする上で、私が最も強く心がけているのは、「最高でありたい」ということだ。
最高でなければ、受け入れない。
目標に向かう集中力と努力は、私の「最高の」宝だ。」【ジャック・ニクラウス】

「プレッシャーがあると、いっそうショットに集中できます。」【ナンシー・ロペス(ゴルファー)】

「よい人になってがんばって働けば、きっと人生で成功できるよ。
それから、自分の友だちがどんな人物か、ちゃんと確かめるんだよ。」【ロイ・シーヴァーズ】

「伯母のマギーが、学校のノートにこう書いてくれた。
「よい、よりよい、一番よい。よいがよりよいになるまで、よりよいが一番よいになるまで、決して気を抜かない。」
うまく対処できないと感じるとき、ぼくはいつもこの言葉を思い浮かべる。」【ベン・E・キング】

「二番という言葉は聞きたくない。一番はたった一つだ。
賞金の問題じゃない。純粋に、最高でありたいんだ。」【ジミー・コナーズ】

「城を作り、家を建て、ダムを建設し、そしてその壁、家、ダムのなかに、そこばくの人間自身、、、、をそそぎこむこと、
そして人間自身、、、、に、城、壁、家、ダムの力をそこばくでも取り入れること、
その建設からたくましい筋肉を得、その構想から明瞭な線と形を獲得すること。
なぜなら、人間は、この宇宙における、有機物、無機物を問わず、ほかのどんなものとも違って、
自分の創り出すものを越えて成長し、自分の考えの階段を踏みのぼり、
自分のなしとげたもののかなたに立ちあらわれるものだからだ。」【ジョン・エルンスト・スタインベック】

「自由は自由であって平等ではなく、公正ではなく、正義ではなく、人類の幸福ではなく、また良心の平静ではない。
もしもわたくし自身の自由、あるいは自分の階級、自分の国民の自由が、
他の多数の人間の悲惨な状態にもとづくものであるとするならば、この自由を増進する組織は不正であり、不道徳である。」【バーリン】

“立身出世”:高い官職や地位に就き、名を上げること。


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47.沢水困(たくすいこん)<困難の克服・試練を越えてゆけ>

困とは、試練の意。困難に立ち向かう強い精神力と、他者の苦しみを理解する優しさを備えよ。

「空は、どんな人の上でも青いわ。」【映画:縮み行く人間】

「たとい雨降。雪降ともおもしろかるべし。
童心の時には雪遊びをせしものと思い出すべし。」【鈴木正三】

「マイナスの経験をした人は有利です。
してない人は、人の気持ちがわからなくなっている。
わからないことすら、気づかずに生きてしまう。」【山田太一】

「一度も病気をしたことのない人間とは付き合うな。」【トルストイ】

「自分を激励する秘訣は、自分に向かってこう言い聞かせることだ。
「自分と大して知能の違わない、ふつう出来の人間でさえ、
難問題を解決した者が数えきれないほどいるのに、
自分にできないことがあるものか。」」【ウィリアム・フェザー】

「今度、何か手のつけられないような困難に出会ったら思いきってその中へ飛び込み、
不可能と思っていたことを可能にすることだ。
自分の能力を完全に信頼していれば、必ずやれる。」【デール・カーネギー】

「崇高な志をもつ魂は、必ず立ち上がる。愛する心は、決して見捨てられることはない。
困難は克服されるためにあり、困難を克服すれば、強く成長する。
苦しんだ者だけが、人を救うことができる。」【アニー・ベサント】

「すべての困難は挑戦だと思いなさい。踏み石だと思いなさい。
そして、なにものにも、なにびとにも、打ち負かされてはなりません。」【アイリーン・キャディ】

「この世には不屈の精神に代わるものはない。
才能ではだめだ。才能を持ちながらも成功しなかった人間ほどありふれたものはない。
天才もだめだ。報われない天才は諺になりうるほどだ。
教育だけではだめだ。世の中は教育を受けた落伍者があふれている。
不屈の精神と決意だけが全能である。」【カルヴィン・クーリッジ】

「人生でのがんばりはゆるぎないことです。不屈の精神は強情なことです。がんばりよりも肝が据わっています。
がんばりは達成のすがすがしい汗です。不屈の精神は達成の汚れた汗です。
不屈の精神は、自分の夢の実現を願って天の扉をやかましく何回も叩き続けることです。
そのうち黙らせようとして、望みがかなえられるのです。」

「今日はあなたにとってつらい日かもしれません。
次の瞬間が現れてほしくない、人生の神秘である苦難の数々を見せてほしくない、と思うかもしれません。
でもあなたは少なくとも今日を持っています。人生を持っています。
この貴重な日をどう生きるかという選択権を持っています。
今日を追い払ってはいけません。むだにしてはなりません。聖なるものへの愛のために、一時間を拾い上げなさい。
それを抱きしめなさい。大切にしなさい。何よりも感謝しなさい。
騒がしい失望、捕まえ損ねた機会、犯した過ち、これから来る喧噪、そんなものの上に感謝の念を据えなさい。
今日という日があまりにも悲惨で、その贈り物が感謝できそうもないなら、
楽しく感じられる瞬間、簡素な喜び、電話をかける友人、愛する人、分かち合えるもの、
笑顔を見せる相手が一人もないように思えるなら、人生がとても苦しくて精一杯生きる気力がないなら、
それならば今日は自分のために生きるのをやめましょう。」【サラ・バン・ブラナック】

「あるものに祝福を与えると、それは祝福を与え返すだろう。
それに呪いをかけると、呪い返すだろう……
ある状況に祝福を与えると、それはあなたにとって害を与える力がなくなり、
たとえ当分は困難な状況であっても、心から祝福したのであれば、
やがてその困難は消えるだろう。」【エメット・フォックス】

「困難は状況を好転させるチャンスです。それは、より素晴らしい体験への踏み台です。
おそらく、あなたはその一時的な失敗を、あとで感謝することでしょう。
一つのドアが閉まれば、もう一つのドアが必ず開きます。
それはバランスをとるための自然の法則なのです。」【ブライアン・アダムス】

「苦しいときに、わたしは人生があらゆる意味でいかに豊かで美しいかを、
そして多くの心配の種がいかに詰まらないことばかりであるかを、
以前よりもよく理解できるようになった。」【アイザック・ディネーセン】

「自分の行動に気おくれしすぎたり、気を使いすぎたりしてはならない。
人生はすべて実験である。実験の数は多ければ多いほど良い。
少しやり方が手荒すぎて、上衣を汚したり破いたりすればどうしたらよいか?
もし本当に失敗して、一、二回泥の中に転んだらどうするか?
もう一度起き上がればよい。転んだって何ともない。」【エマーソン】

「悲しみで心が張り裂けそうになった時、その人は森の奥で道を失った旅人のようになります。
恐怖は募り、どこへ行けばいいのか全然分からなくなり、道を見出そうとしては、木や石に体をとられます。
ところが、道はちゃんとあるのです。信仰の道が――。
これをたどっていけば、迷路のような森の奥から、求める大通りへと出られるのです。」【ヘレン・ケラー】

「あらゆる困難に隠れているもの、それはチャンスだ! ぼくはそれを利用した。」【バディ・エブセン】

「自分を信じて、どんな困難にあっても夢を追い続けること。
そうすれば、どんな夢でも、ぜったいかなうはずだから。」【ケリー・プレストン】

「試合中、コースで、「集中するんだ」なんて言い聞かせているようなら、
もう集中するチャンスなんてなくなっているのさ。」【ボビー・ニコルス(ゴルファー)】

「状況の中に捲き込まれて私自身に目醒めつつ、私は存在への問いを発する。
状況の中にある私自身を漠とした可能性として見いだしつつ、
私は、私自身を本来的に発見するため、存在を探求、、、、、しなければならない。
しかも存在そのものを見いだそうとするこの試みの挫折の中でのみ、
私は哲学するようになるのである。」【カール・ヤスパース】

「苦しむほど苦いものはない。しかし苦しんだことほど甘美なこともない。
世間では、苦しむことほど身を醜くするものはないが、
逆に神の前では、苦しんだことほど魂を飾るものはないのである。」【マイスター・エックハルト】

「発見は前もって積み重ねられた苦しい努力の結実であります。
みのりの多い多忙の日々の間に、なにをやってもうまくいかない不安な日々がはいりこんできます。
そういう日には研究対象そのものが敵対心をいだいているかとさえ思われてきます。
こういうときこそ、じぶんの気の弱さや落胆とたたかわなければならないのです。
ピエル・キュリーの不屈の忍耐心には一分のゆるみもありませんでしたが、それでもときには、
「ぼくたちの選んだ人生は、やっぱりつらいな。」ともらしました。」【マリー・キュリー】

「35年前のオイルショックの時、石油が無くなると大慌てしたよね。
産油国に頼ってる日本は大打撃を受けたよね。
だから日本の会社は低燃費の車を一生懸命作ったよね。そして世界一になったよなぁ。
だから困るのは悪いことじゃないんだわ。困ったら英知が出るよね。だから困るのは薬よ。」【竹田和平】

“不撓不屈”:どんな困難な状況にあっても強い意志を持ち、挫けないこと。


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48.水風井(すいふうせい)<長期的展望と耐久力・体験の共有>

井とは、井戸の意。伝統や集団心理に根ざした共有体験。心の奥底に流れる信念を見つめ直す。

「井戸が涸れるまで、人は水の価値を知らない。」【イギリスのことわざ】

「人はときには、自分を形成した過去のすべてを感じ、
理解するために、本気で後戻りしなければならない。
それから前進するのだ。」【ポール・マーシャル】

「たまには自分を見つめ直して、自分の好きなところを探そう。
自尊心(自分に対する自信)こそが、最も重要だ。」【スタシ・ケナン】

「雑草とは、その美点がまだ発見されていない植物である。」【エマソン】

「何か誇りに思えることをしたときは、自分を褒めてみましょう。」【ミルレッド・ニューマン】

「自分で自分を褒めてあげたいと思います。」【有森裕子】

「自分の価値を感じたり、自分にもいい仕事が出来ることがあると知ると、
素晴らしい気持ちになれる。」【バーバラ・ウォルターズ】

「自分のしたいことを追及し、目標を達成するのは、
モーゼのように燃えている茂みを見つけたり、金鉱を見つけるようなものではない。
神の啓示や劇的な運命の展開はない。充実感はときどき思い出したように訪れる
……充実感はいろんな形を取って現れ、日常生活に突然やってくる……
ただし充実感を味わう気持ちでいなければならない。
空虚な気持ちにはどれだけ井戸に水を注いでもいっぱいにならない。
水は心の中から、地下の泉や水脈から湧いてこなければならない。」【メアリー・モリス】

「一人のときしか水を汲めない泉がある。
芸術家は創造するためには自分一人にならないとできないことを知っている。
作家は考えをまとめるために、音楽家は作曲するために、聖者は祈るためにそうしなければならない。」
「自分の部屋、一人の時間を見つけることは、必要であり、困難であるとはいえ、それだけが問題なのではない。
どうやって活動している魂を静めるかが問題なのだ。
魂にどう栄養を与えるかが問題なのだ。」【アン・モロウ・リンドバーグ】

「遅咲きであれば、人生を試してみて、夢に届かないのがわかったとき、
修正、変更を加える時間と機会がたっぷりあります。
私たち遅咲き人間は、
こんな年になればもう誰からも大きな期待を寄せられないので、思い切ったことができます。
自分の本質を再発見し、すくい上げたときに、
自分をつくりかえるなり、真の自己を誕生させるなりできるのです。
試行錯誤を重ねるうちにわたしは悟りました。
創造的人間として豊かな人生を送り、充実した存在へと成長するつもりなら、
植えられた場所で花を開かなければならないのです。
現在のところ、あなたは満足できる仕事、家庭、人間関係を持っていないかもしれません。
持っている人などめったにいません。
しかしあなたが今日という恵みを持っているなら、状況を創造しなおし、
あなたの力でできるかぎり状況を完全なものに近づけるチャンスがあるのです。
今日もまた、あなたにはできるかぎり正しいものに修正するチャンスがあるのです。
これ以上、何を望みますか?」【サラ・バン・ブラナック】

「先生は私の手を井戸の口にもっていきました。
冷たい水の流れが手にかかると、先生はもう一方の手に、はじめはゆっくり次に速く「水」という字を書かれます。
私はじっと立ったまま、先生の指の動きに全神経を集中します。
突然私は、なにか忘れていたことをぼんやり意識したような、思考が戻ってきたような、戦慄を感じました。
言語の神秘が啓示されたのです。
そのとき、「W-A-T-E-R」というのは私の手に流れてくる、すばらしい冷たいなにかであることを知ったのです。
その生きた言葉が魂を目覚めさせ、光と望みと喜びを与え、自由にしてくれました。」【ヘレン・ケラー】

「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ……」と、王子さまがいいました。
とつぜん、ぼくは、砂がそんなふうに、ふしぎに光るわけがわかっておどろきました。
ほんの子どもだったころ、ぼくは、ある古い家に住んでいたのですが、
その家には、なにか宝が埋められているという、いいつたえがありました。
もちろん、だれもまだ、その宝を発見したこともありませんし、それを探そうとした人もいないようです。
でも、家じゅうが、その宝で、美しい魔法にかかっているようでした。
ぼくの家は、そのおくに、一つの秘密をかくしていたのです……
「そうだよ、家でも星でも砂漠でも、その美しいところは、目に見えないのさ」と、
ぼくは王子さまにいいました。【サン=テグジュベリ『星の王子さま』】


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49.沢火革(たくかかく)<旧弊の打破と革新・冒険的な挑戦>

革とは、改革の意。危険や犠牲を恐れずに、新しい可能性に賭ける姿勢。状況の刷新に挑む。

「つまらないのは誰だ? 自分かな。」【ディラン・トーマス】

「自分の生活に革命をもたらすことができたら、どんなに幸せになるかと思う。
もっとゆっくりした日々に戻って、素直に生きたい。」【ローラ・インガルズ・ワイルダー】

「今の自分を捨てずに、なるべき自分になることはできない。」【マックス・ドュ・プリー】

「革命は夕食会ではない。」【毛沢東】

「物事が変化するのではなく、われわれが変わる。」【ヘンリー・デイヴィッド・ソロー】

「科学とは日常的な考えの改善に過ぎない。」【アルベルト・アインシュタイン】

「知っているつもりのことと、実際に知っていることとは根本的に違います。
表面的な変化と細胞レベルでの変化もまったく異なります。
新鮮な感じに見えるように、家具をあちこち動かすのと、
あなたの必然的な運命、性質、志など、言わばあなたの「DNA」を並べ換えるのとでは全然違います。
あなたが真の自己を探すとき、実はそこまで変えようとしているのです。
真の自己を探し始めなさい。真新しい人生が得られます。」【サラ・バン・ブラナック】

「なれなかった自分になるのに、遅すぎることはない。」【ジョージ・エリオット】

「僕はこの地に、僕を息子のように受け入れてくれた国民を残し、
僕はこの地に、僕自身の一部を残していく。
僕は、新しい戦場に、君が僕に吹き込んでくれた信念と、
わが国民の革命魂と、
もっとも神聖な革命家としての義務を果たすための良心をたずさえて出かける。
帝国主義のあるところ、いたるところで戦う。
それが僕の決意を固め、僕の苦痛を柔らげよう。」【チェ・ゲバラ】

「私は常に物ごとをふたつのレベルで、同時に考えることが大事だと思っている。
すなわち、一方では与えられたシステムの中での可能性を探求する改革者的な関心の持ち方、
そして他方では基本的な変化についての長い時間幅のユートピア的な関心というふたつがそれである。
これらふたつのレベルをごちゃまぜにして、現状維持に対する妥協なき攻撃を加える方が、
はるかにやさしいことだ。」【デイヴィッド・リースマン】

「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力を込めてじわっじわっと穴をくり貫いていく作業である。
……自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中が――自分の立場からみて――
どんなに愚かであり卑俗であっても、断じて挫けない人間。
どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!」と言い切る自信のある人間。
そういう人間だけが政治への「天職」を持つ。」【マックス・ヴェーバー】

「私は、歴史の潮の満ち干がどのようなものであるかを実体験から十二分に知っている。
それは、それ自身の法則に従っている。いらいらするだけでは、この満ち干の交替を早めることはできない。
私は歴史の展望というものを個人的な運命の見地からは見ないことにしている。
生起していることの法則性を認識し、この法則の中に自分の場所を見出すこと――
これが革命家の第一の義務である。」【トロツキー】

「世の定めとて大晦日は闇なる事、天岩戸の神代のこのかた、しれたる事なるに、
人みな常に渡世を油断して、毎年ひとつの胸算用ちがひ、節季を仕廻いかね迷惑するは、面々覚悟あしき故なり。
一日千金に替えがたし。
銭銀なくては越れざる冬と春との峠、是借銭の山高ふしてのぼり兼ねたるほだし。」【井原西鶴『世間胸算用』】


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50.火風鼎(かふうてい)<関係の構築・受容性と応用力。三者鼎立>

鼎とは、物を取り混ぜるの意。発展力。様々な意見や風刺に耳を傾け、真理・安定・絆を確立する。

「将来の大きな夢を判断力と混ぜ合わせ、活力で調味する。
こうして「成功」料理が出来上がる。【デール・カーネギー】

「異なる言語には、異なる人生観がある。」【フェデリコ・フェリーニ】

「夕食会では食べ過ぎずに、賢くなりすぎずによくしゃべるとよい。」【ウィリアム・サマセット・モーム】

「皆はひとりのために、ひとりは皆のために。」【アレクサンドル・デュマ(三銃士)】

「3へのステップは、闇の敷居をまたぎ・・・・・・
味気ないが明るく澄んだ光に満ちた実生活へ踏み入ることだ。」【カール・メニンガー】

「全宇宙と万物は3によって定められる。
なぜなら、終わりとあいだと始まりで、全宇宙の数をなし、三つ組の数になっているからだ。」【アリストテレス】

「われわれは、いろいろな形で世界を三つに分けて整理する。
人間が肉体と知性と霊性からなるように、われわれの住む惑星も、大地と海と空の三つで構成されている。
それにまた、子供の時分に「20の扉」というゲームで教わったように、自然界のものは鉱物、動物、植物の三つに分けられるのだ。

人の心を誘惑する敵は、名利、肉欲、邪念の三つだ。世界は、天国、地獄、現世という見方もされる。
空間には、縦、横、高さという三つの次元がある。
アインシュタインが四つ目の次元とした時間は、過去、現在、未来の三つに分けられる。
話の筋書きにも、序論、本論、結論がある。
物質の状態は、液体、固体、気体の三相だ(地球の自然環境では水だけが三相すべての状態で存在する)。
三原色といえば、赤、黄、青。
そして、われわれは日に3食――朝食、昼食、夕食――をとる。
われわれは人生そのものを三つに分ける。人は生まれ落ち、生き、死ぬ。
別のいい方で、幼少期、壮年期、老年期としてもいいが、結局は同じことだ。

(中略)・・・・・・だが、なにはさておき、3は親密さや魔力やパワーが最も強い。
それは、3が子どもに当たる数だからだ。母親、父親、そして子どもがそろうと3になる。
つまり、3は未来のための数なのだ。」【バニー・クラムパッカー】

「僕は三つのことを思い出すのが苦手でね。
顔と名前と、それから・・・・・・三つ目がなんなのか思い出せないな。」【フレッド・アレン】

「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかいい当てて見せよう。
新しい御馳走の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである。
だれかを食事に招くということは、
その人が自分の家にいる間じゅうその幸福を引き受けるということである。」【ブリア=サヴァラン】

「少したって、陰気に過ごしたその一日と、明日もまた物悲しい一日であろうという予想とに気を滅入らせながら、
私は無意識に、お茶に浸してやわらかくなった一切れのマドレーヌごと、ひと匙の紅茶をすくって口に持っていった。
ところが、お菓子のかけらの混じったそのひと口のお茶が口の裏にふれたとたん、
私は自分の内部で異常なことが進行しつつあるのに気づいて、びくっとしたのである。
素晴らしい快感、孤立した、原因不明の快感が、私のうちにはいりこんでいた。」【マルセル・プルースト『失われたときを求めて』】

“三人寄れば文殊の知恵”:平凡な人がたった一人で考えるより、
三人集まって知恵を出し合ったほうが、またとない素晴らしい考えが出てくるものだということ。


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51.震為雷(しんいらい)<感情の制御・荒々しい衝動の発散>

震とは、変動の意。インパクト。欲望に導かれた反抗心。制止できない状況。リラックスへの希求。

「自分がうまく対応するのを見るたびに、ますます対応が巧みになります。
人生が投げ与える状況に上手に立ち向かうたびに、
自信、創造性、勇気という預金を、自己評価の口座に入れているのです。
だから、毎晩、思いがけない出来事を手際よく処理した自分を祝いなさい。よくやった、と。
今日は対応を迫られたとき、洗練されたやり方で取り組みなさい。自信に満ちた笑顔でやりなさい。
状況を打ち負かしなさい。自分を驚かせなさい。
簡単なように見せかけなさい。そうすれば簡単になります。」【サラ・バン・ブラナック】

「幸せとは、つまるところ自分で自分をどう感じるかだ。
人生におけるきみの行動こそ答えとなるだろう。」【レッド・バトンズ】

「人は世界一のゴミ収集人になることができる。世界一のモデルにだってなれる。
たとえ何をやろうと、それが世界一なら何も問題はない。」【モハメド・アリ(カシアス・クレイ)】

「優れた詩人とは、生涯にわたって雷雨のなかに立ちつづけ、
首尾よく5回か6回雷に打たれる、そんな閃きを得る人だ。」【フランドール・ジャレル】

「人々の行為はすべて、必然的に七つの原因(動機)によって、
すなわち、運により、自然により、強制により、習慣により、考量により、怒りにより、欲望により、
行われることになる。」【アリストテレス】

「「驚きも九日(a nine day's wonder)」といういい回しは、
大騒ぎが短期間しか続かないことを意味している。
英語には、「驚くのも九日だけ。九日経てば子犬の目が開く」という古い諺がある。
この諺から、(かりに目を見張る状況になったとしても)生まれたての子犬は目が見えないことと、
やがては物事がはっきり見えるようになるということに気づかされる。
「驚きも九日」をもっと数学的に読み解けば、次のようになるだろうか。
最初の3日は驚き、
次の3日で突っ込んだ議論がなされ、
最後の3日で驚きが鎮まって消えていくのだ。」【バニー・クラムパッカー】

「もしコースで嵐になって雷が恐くなったら、一番アイアンを掲げるんだ。
神様だって一番アイアンには雷を落としはしない。」【リー・トレビノ(ゴルファー)】

「いつも読書しながら、一種の絶望感を覚える。確かに面白い。対決もある。
だが、目と頭だけの格闘はやはり空しい。人生はまたたく間もないほど短いのである。
ハイデッカー、ヤスパース、サルトルにしても、実存を説きながら、
なんであのようにながながと証明しなければならないのか。その間に絶対の時間が失われてしまう。
サルトルに言ったことがある。
「あなたの説には共感するが、あのびっしりと息もつまるほど組み込まれた活字のボリューム。
あれを読んでいる間、いったい人は実存しているのだろうか。」 彼は奇妙な顔をして私を見返した。
私はいま生きているこの瞬間、全空間に向かって、八方に精神と肉体を飛び散らしたい。」【岡本太郎】

「あなたがたは、研究室で虫をひどい目に合わせたり、こま切れにしたりして、研究していられる。
わたしは、セミの声にかこまれ、青空の下で観察しています。
あなたがたは、細胞や、原形質を薬品をつかって実験していられる。
わたしは、本能のすばらしいあらわれかたを、研究しているのです。
あなたがたは、死体をせんさくしていられる。
わたしは、生きた生命をしらべているのです。」【ジャン・アンリ・ファーブル】


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52.艮為山(ごんいざん) <堅実無比な生活・基礎を固めよ>

艮とは、静なる動の意。大胆な行動で転換したら、後は心と生活の安定のために静を守れ。

「静かな片隅のないこの世では、
浮かれ騒ぎ、混乱、てんやわんやの大騒動から簡単に逃げる道はない。」【サルマン・ラシュディ】

「友人に関する語彙の中で『とどまる』は魅力的な言葉だ。」【ルイザ・メイ・オルコット】

「ありがたいことに、真の自己の道に止まるかぎり、望みはたっぷりとあります。」
「とどまりなさい、愛する存在よ。とどまりなさい。今そう言いましょう。何回も言いましょう。
わたしと一緒に暮らし、わたしの恋人になってください。
とどまりなさい。」【サラ・バン・ブラナック】

「黙っている1万人より、話している10人のほうが騒がしい。」【ナポレオン・ボナパルト】

「回顧すれば、私の生涯は極めて簡単なものであった。
その前半は黒板を前にして坐した、その後半は黒板を後にして立った。
黒板に向かって一回転をなしたといえば、それで私の伝記は尽きるのである。
しかし明日ストーヴに焼べられる一本の草にも、それ相応の来歴があり、思出がなければならない。
平凡なる私の如きものも六十年の生涯を回顧して、転(うた)た水の流れと人の行末という如き感慨に堪えない。」【西田幾多郎】

「美の真実な感銘が沈黙以外の結果を生むはずがないのは、よくご存じでしょうに……?
やれやれ、なんてこった!
たとえばです、日没という、あのうっとりするような日々の魔法を前にして、
喝采しようという気をおこされたことが、あなたには一度だってありますか?」【クロード・ドビュッシー】

「パラダイムはある一定期間成熟した科学者集団が採用する方法、問題領域、解答の基準の源泉となっている。
その結果、新しいパラダイムを受け入れることは、それに対応する科学の再定義を伴うことが多い。
若干の古い問題は別の科学に追いやられるか、全く「非科学的」と焼印を押されることにもなる。
また、今まで存在しなかった、あるいはつまらないとみなされていた問題が、
新しいパラダイムの下に脚光を浴び、科学上の仕事の原型となる。
そして問題が変わるにつれて、
本当の科学的解答と単なる形而上的思弁や言葉の遊戯、数学遊戯を区別する基準も変わることが多い。」【トーマス・クーン】

「ストア学派は魂から欲望と情念を除き去る、よいものも、悪いものも、全く罪のない願望まで。
こういう人たちにたいして、わたしは抗議する。
かれらはわたしたちの心から主要な力を取り除き去る。
かれらは人が死ぬ前に生きることをやめさせる。」【ラ・フォンテーヌ】
(ストア学派:徳の実践を重んじ禁欲的な思想と態度を取り保つ人々)

“泰山の安きに置く”:どっしりと動かない、安定した状態にすることの譬え。


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53.風山漸(ふうざんぜん)<大器晩成・一段一段、踏みしめて>

漸とは、着実な進展の意。自立を目指して腕を磨き、切磋琢磨すれば気運を得て晩成する。

「止まりさえしなければ、どんなにゆっくりでも進めばよい。」【孔子】

「人によって生まれつき偉人になれる人格が備わっているわけでなく、
勤勉によって偉人になるのである。
たとえ小人物であっても、つねに精を出して仕事に励めば、進歩の喜びが必ず得られる。
この進歩は時計の短針のようなもので、一針ごとに必ず一時間進むが、
あまりゆっくり進むので、目に止まらないだけである。」【ジョシュア・レノルズ】

「ありのままの自分を大切に、あせらずいこう。
最終目的地が成功だとしても、その道のりを一歩一歩楽しもう。」【ビル・キーン】

「何かを成し遂げようとするとき、ヒーローである必要なんてない。
目標に到達しようとする強い意志があればいいんだ。」【エドムンド・ヒラリー卿】

「私は何カ月も、何年も、考えに考え抜く。99回は、結論が間違っている。
そして百回目に正解を得る。」【アルベルト・アインシュタイン】

「私が庭園の東屋(あずまや)で最後のページの最後の数行を書いたのは、
一七八七年六月二十七日の日というよりも夜の十一時と十二時の間であった。
私は筆を擱いた後で、田園、湖水、山脈の景観を見渡すアカシア並木の散歩道を何回か歩き廻った。
空気は温暖で天空は澄み渡り、丸い銀色の月が湖面に映って万象寂(せき)として声がなかった。」
【エドワード・ギボン(『ローマ帝国衰亡史』を二十余年の歳月を要して書き終えた日のくだり)】

“桃栗三年柿八年”桃や栗は実をつけるまでは三年かかり、
柿は八年かかるというように、何事も成果が上がるまでには長い年月がかかるということ。

“江鮒の出世”:だんだんと出世することのたとえ。
江鮒(ぼらの小魚)は幼魚から成長するに従って、いろいろと名前が変わるところから出た言葉。


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54.雷沢帰妹(らいたくきまい)<ロマンスと劇的成功・魅力の演出>

帰妹とは、嫁ぎの意。官能性や活力を武器に、充実した楽しい人生を掴み取ろうとする姿勢。

「どれほど現実離れしていて、実行不可能であろうと、ロマンチックな衝動を肯定することで、
真の自己との親密な関係を強化できます。あなたをいとおしみ、無条件に愛する人との関係を強めます。
あなたの情熱を燃え立たせ、魂を養い、あなたを活気付けるものとの関係を強めます。」【サラ・バン・ブラナック】

「自分の本心にそむけば、いっさいの楽しみ、いっさいの関心事が必ず現実から遊離する。
そういうことをする人の全生涯は、単なる一場の劇としか映るまい。」【ホーソン】

「良心に照らして少しもやましい所がなければ、何を悩むことがあろうか。
何を恐れることがあろうか。」【孔子】

「人生を逆向きに生きようとする人が多い。
物や金をいくらでも欲しがり、それで自分のしたいことをして幸福になろうとする。
それは順序が実際はあべこべなのだ。
まず真の自分になり、それから、するべきことをして、
自分の望みのものを手に入れるのである。」【マーガレット・ヤング】

「努力につぐ努力をしなければ、選手として成功しない。人生から何も得られない。
近道して得られる成功なんて一瞬のものさ。」【ロジャー・ストーバック】

「男性優位の世界・・・中略・・・では、男の子は大きくなって働き、財産を受け継ぐが、
女の子は飾り立てられてほかの家に嫁がされる。そうした世界で一番の幸せといえる、
考えられるかぎり最高のことは、七番目の息子の七番目の息子になることとされた。
そんな子は、神々から授かった力を持つ、治癒者であり魔術師だった。」【バニー・クラムパッカー】

「桃の夭夭(ようよう)たる、 <桃の木は若く、>
灼灼たる其の華。 <その花は燃えたつように輝いている>
之の子、ここに帰がば、 <この娘がお嫁に行ったら>
その室家に宜しからん。 <嫁ぎ先にふさわしい妻になるだろう>」【詩経 「桃夭」】

“氏なくして玉の輿”:男の世界では家柄とか血筋が重んじられるが、
女性は家柄まで立派でなくても、高い身分の人の寵愛を得て高い地位に昇ることもできるということ。
貧しく身分の低い家の娘が、身分の高い金持ちの嫁になること。


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55.雷火豊(らいかほう)<盛者必衰の理・実行力と責任感が鍵>

豊とは、盛大の意。威厳ある知恵や技術を現実に役立てる試み。頼れる組織や環境への依存。

「星をつかもうとして手を伸ばしても、なかなかつかめない。
だが少なくとも、星をつかもうとして、泥をつかまされることはない。」【レオ・ブルネット】

「我々は、ただ生き残り、永生きするために、ここにいるのではない。
あらゆる局面から人生を生き、知るために、ここにいる。
そしてまた、人生の豊かさと多様性を知るために、ここにいるのだ。
多面的に生き、すべての可能性を探求し、
どんな挑戦にもひるまずに立ち向かい、それを歓迎し、
必要な時に立ち上がれば、人生は炎となり、開花するのだ。」【バグワン・シュリラジニーシ】

「大リーグ選手になるには絶えずハングリーでなければならない。
金持ちの息子は大リーグに入ったことがないだろう?」【ジョー・ディマジオ】

「トレーナーが選手にケガをさせないように気を使いすぎている。
ライフジャケットを着けて、プレイするわけにもいかないだろうに。」【ニック・ニコロ】

「自信があれば、大いに楽しめる。
楽しんでいるときには信じられないようなことができるんだ。」【ジョー・ナマス】

「サパング(日本国)」は東方の島で、大洋の中にある。
大陸から1500マイル離れた大きな島で、住民は肌の色が白く礼儀正しい。
また、偶像崇拝者である。島では金が見つかるので、彼らは限りなく金を所有している。
しかし大陸からあまりに離れているので、この島に向かう商人はほとんどおらず、
そのため法外の量の金で溢れている。
この島の君主の宮殿について、一つ驚くべきことを語っておこう。
その宮殿は、ちょうど私たちキリスト教国の教会が鉛で屋根をふくように、
屋根がすべて純金で覆われているので、
その価値はほとんど計り知れないほどである。」【マルコ・ポーロ 『東方見聞録』】

「第一に、私は、全人類の一般的性向として、
つぎからつぎへと力を求め、死においてのみ消滅する、永久の、やすむことのない意欲をあげる。
そして、このことの原因は、必ずしもつねに、
人が、すでに取得したよりも強度のよろこびを希望するとか、
ほどよい力に満足できないとかいうことではなくて、
彼が現在もっている、よりよく生きるための力と手段を確保しうるためには、
それ以上を獲得しなければならないからなのである。」【トマス・ホッブス 『リヴァイアサン』】

「ゆたかな社会おける貧困の除去を社会的・政治的な日程に強力に載せようではないか。
さらに進んで、その中心に据えようではないか。
そしてまた、地球を守るという名目で地球に灰しか残さないようにする懼れのある人たちから、
われわれのゆたかさを守ろうではないか。」【ジョン・ケネス・ガルブレイス】

「雲が押しかかるように低く空にかかった、もの憂い、暗い、そして静まり返った秋の日の終日、
私は馬に乗ってただ一人、不思議なほどうら淋しい地方を通り過ぎていった。
そして夕暮の影が迫ってきたころ、とうとう陰鬱なアッシャア家の見えるところまでやってきた。
どういうわけだか知らないが、その建物をひと目見た刹那、耐えがたい憂鬱の情が私の心を襲ってきた。
じっさい耐えがたかった。」【エドガー・アラン・ポー『アッシャア家の没落』】

「豊かさ。
“する必要があることを、する必要のある時に、やれる能力”
――以上。」【バシャール】


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56.火山旅(かざんりょ)<先見的独歩・異国の知識の探究>

旅とは、一人旅の意。能力形成。危機を察知して新環境を探す。先鋭的な情報の追究と伝達。

「旅は一つしかない。心の中に入る旅だ。」【ライナ・マイア・リルケ】

「いちばん知らない外国は心である。」【アリス・ウォーカー】

「わたしたちは自らが暗黒大陸であり、野蛮な辺境なのです。
真の自己を求める旅を続けるうちに、たくさんのすばらしい発見が待っているでしょう。」
「アフリカでサファリとは、スワヒリ語の旅という意味で、心地よく安全な文明を離れて、荒野へ向かうことです。」

「わたしは自分の目的とする創造をいつも手に入れてきたけれど、その行程は必ずしも思い通りではない、と。
今までそれを悟るだけの常識がありませんでした。もっとはっきり言えば、わたしたちの旅の精神も大切であり、
もしかすると、目的地へ着くことよりも大切であるということを学びました。
純粋な幸福を実現するためには、その一歩一歩に心の満足を求める意志が必要なのです。
なぜなら旅はわたしたちが知るすべてだからです。一日一日が旅です。旅は人生です。」

「真の自己へ向かう魂の旅を哲学、あるいは霊的な道のどちらに考えたとしても、
いちばん驚くのは道が螺旋状だということです。わたしたちは上昇しますが、螺旋状に上ります。
一回まわるごとに景色が少しずつ広がります。」【サラ・バン・ブラナック】

「安楽の都会を離れて、直感の荒野へ向かわなくてはならない。
そうすればすばらしいものを発見するだろう。
あなたが発見するものは自分である。」【アラン・アルダ】

「人生のあるとき、あなたは旅に出る。
それは最も長い旅となるだろう。自分探しの旅だから。」【キャサリン・シャープ】

「旅によりわたしは外の世界に初めて気づいた。
旅を通して、わたしは外の世界に入るための、自分なりの内省的な方法を見つけた。」【ユードラ・ウェルティ】

「長期間にわたって母国の海岸が見えないことを了承しない限り、
新しい陸地を発見することはできない。」【アンドレ・ジッド】

「旅に終わりがあるのはよいことだ。
だが最終的に大事なのは旅そのものである。」【アーシュラ・K・ル・グィン】

「イタケーの島を探す旅に出るとき、その旅が長かれと祈るがよい、冒険と発見に満ちた旅であれ、と。
昔の怪物を恐れるには及ばない……そんなものに出会いはしない、
志を高く持ち、高く掲げているかぎり、真の情熱が精神と肉体と魂を奮い立たせているかぎり、
恐ろしい怪物には出会いはしない、
心の中にそんなものが住んでいないかぎり、心が目の前に押し出すのでないかぎり。」【コンスタンティン・ピーター・キャヴァフィ】

「わたしたちは、宇宙を旅することを夢見みている。だが宇宙は、わたしたちの内にあるのではないか。
わたしたちは精神の深みを知っていない――内に向かって神秘にみちた道が通じている。
ほかならぬわたしたちの内にこそ、永遠とその世界――過去と未来があるのだ。」【ノヴァーリス】

“郷に入っては郷に従う”:地域社会にはその地域独特の習慣があるものであり、
その地域に新しく住む人はその風俗習慣に逆らわず、従うようにしていくことこそ賢明な処世術だということ。


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57.巽為風(そんいふう)<フリーエージェント・新情報の吹流し>

巽とは、彷徨う風の意。自由への希求と虚無感。人の噂も七十五日。一過性。坤の資質の反映。

「自由と我がままとの境は、他人の妨げをなすとなさざるとの間にあり。」【福沢諭吉】

「ほとんどの人が自分の自由時間をどうしていいか、
あるいは最大限有利に活用する方法を知らないというのは、驚くべき事実である。」【フリーダ・ポラート】

「自分にひけ目があると思い込まないうちは、
だれもあなたにひけ目を感じさせることはできません。」
「あなたが認めなければ、
誰もあなたを劣っているなんて、思わせることはできません。」【エレノア・ルーズベルト】

「いかなる自由にもまして、良心の命じるままに知り、語り、
論じることのできる自由をわれに与えたまえ。」【ジョン・ミルトン】

「比較はいろんな意味でわたしたちを傷つけます。私たちの自信をぐらつかせます。
創造的エネルギーの流れをせき止めます。大いなる電力への回路をショートさせます。
自尊心を失わせます。骨髄から生命力を抜き取ります。そねみは心の聖なるものを壊します。
今度自分の人生を誰かの人生と比べたくなったら、ちょっと待ってください。
精神的な次元では競争はないのだ、と自分に何回となく言い聞かせなさい。
あなたの宿敵が受けた恵みは、
あなたのためにわざわざつくられた幸運をすべて虚心に受け入れる気持ちになりさえすれば、
たちまちあなたのものになり得るのです。」【サラ・バン・ブラナック】

「インディアンの諺ないし格言によると、人は肉体と精神と感情と霊という四つの部屋を持つ家である。
えてして長時間をひとつの部屋で過ごしがちだが、たとえ風を入れるためだけでも、
毎日どの部屋にもまんべんなく入るようにしないと、完全な人にはならない。」【ルーマー・ゴッデン】

“柳に風折れなし”:柳は強風が吹いてもその枝を吹くに任せていて折れたりすることはない。
人も同じで柔軟に対応していれば、身を安全に保つことができるということ。

“柔能(よ)く剛を制す”:柔らかくしなやかなものは、
かたく鋭いだけのものの攻撃にも巧みに身をかわし、結局は勝ちを納めるということ。


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58.兌為沢(だいたく)<喜びの具体化・場を盛り上げる快活さ>

兌とは、喜悦の意。説得力と営業的な才能(能弁さ)があり、物質性と実際的な満足を求める。

「どのように話すかは、話の内容と同じくらい重要である。
判断力を持っている人間よりも、耳をくすぶられて喜ぶ人間の方が多い。」【チェスタフィールド】

「話題には、それを話す人に独特な何かがなければならぬ。
世間に知れ渡った事柄であっても、それについての見方や考え方が独特であれば、
聞く人の耳を傾けさせることができるだろう。」【河盛好蔵】

「やさしい言葉は、たとえ簡単な言葉でも、ずっとずっと心にこだまする。」【マザー・テレサ】

「相手を動かそうとする時には、心のこもった、
押し付けがましくない説得の手を用いるよう心がけることだ。」【エイブラハム・リンカーン】

「家庭の幸福があらゆる野心の到達点である。」【サミュエル・ジョンソン】

「否定的な感情を抑圧しろというのではありません。
しかし口からあふれ出ようとする卑しい感情は、口にするに値しません。
言葉には力があるので、その力は現実を変えます。夜と昼の質を変えてしまいます。
泣き言を並べてみても、自分も周囲の人も楽しくはなれません。それどころか皆の気分を害します。
肩をすくめて黙っているやり方は、知恵の始まりです。」【サラ・バン・ブラナック】

「人に真に好かれるには、相手が誰であろうと、共に大いに楽しんでいる様子を示すことだ。
その際、相手を楽しませようとするより、むしろ相手と共に大いに楽しむのがよい。
こうした気質の者は、たとえ大した教養や機知がなくても、常識があり、その立ち居振る舞いになんとなく人なつっこい所があれば、
偉大な才能がありながらもこうした気質に欠ける者よりも、人の心を大きく動かす。」【ジョーゼフ・アディソン】

「きみの中にきみだけの言葉があるということを忘れないで。
それは、まわりの人々や外の世界と同じくらい重要だ。
この真実の声に従いなさい。」【グロリア・スタイネム】

「長所も短所も一切含めた自分自身を知れ、そうすれば甘言に身を誤らせない。
甘言は変じて警告となり、謙遜の勧めとなり、人生の道案内となる。
甘言を弄する者がもっともほめそやす所にこそ、自分の最大の欠点が隠れているからだ。」【マーティン・F・タッパー】

「選手のやる気を引き出すのは鞭ではなく、優しい言葉だ。」【パド・ウィルソン】

「人に贈るに言を以ってするは、金石珠玉よりも重し」

「人に善言を与うるは、布帛よりも暖かし」【荀子】


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59.風水渙(ふうすいかん)<空気を読む才能・プラス志向の楽天家>

渙とは、吹き散らす意。悩み解消。鬱積した気持ちを晴らし、肯定的に進む。散財・離散を防げ。

「自由に開かれた精神は、防衛することによって仮の安定を保っている精神とは違い、
屈託のない安定性を持っている。」【水島恵一】

「天使が飛べるのは、気を楽に持っているからだ。」【G・K・チェスタトン】

「あなたの経験と衝動を信じなさい。ちゃんとした理由があってその二つを持っているのです。
人生には学びの険しいカーブがありますが、決まりきったやり方ではなく、自分の知識に基づいて応じていくなら、
考えていたよりも簡単に対応できます。それに人生は楽しくさえなるのです。」【サラ・バン・ブラナック】

「プレゼントをあげるのは一種の才能である。
他人の好みを知り、いつどこでそれを買えば良いのかを知り、
愛情込めて上手に与えるのは才能だ。」【パメラ・グレンコナー】

「友情は悲しみの通路である。
友情は激情を柔らげ、抑圧された心のはけ口となり、災難にあった時の避難所ともなれば、心を明るくしてもくれる。
われわれの代わりに考えを伝えてくれ、われわれが心に描くものを実行し、意に満たないところを改善してくれる。」【ジェレミー・テーラー】

「われわれを助けてくれるものは、友人の援助そのものというよりは、友人の援助があるという確信である。」【エピクロス】

「つねに自信をもって、他人には親切に。人生とは面白いものだ。楽しもう!」【ウォリー・エイモス】

「リスクを恐れないこと。全力を傾ければ、どんなこともできる。
家族と友人たちを大切に。その人たちのためにつくし、同じようにあなたも相談にのってもらいなさい。
たくさん笑って、忍耐強く。
人生のちょっとしたことを楽しんで。週末にはゆっくり朝寝坊してね。」【サマー・サンダース】

“当意即妙”:その場の状況や変化に対して、即座に機転を利かせて対応すること。


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60.水沢節(すいたくせつ)<点検調節・時宜に従い未来を察知せよ>

節とは、節度の意。規律や区切り。摂生・節制。過ぎたるはなお及ばざるが如し。宇宙の摂理。

「ことばというものは、渾沌とした、連続的で切れ目のない素材の世界に、
人間の見地から、人間にとって有意義と思われる仕方で、虚構の分節を与え、
そして分類する働きを持っている。」【鈴木孝夫】

「人生の節目となる瞬間は、自分ではそれとわからない。」【映画:フィールド・オブ・ドリームス】

「天地創造で一日をつくるには夜と昼が必要だった。少なくとも最初の一日をつくるにはそうだった。
しかしそれは世界ができたばかりのときで、そこにあるのは光と闇、夜と昼、そして神だけだった。
天地創造のころよりも、世界は複雑になっている。
今、一日をつくるのは、ベルの音、汽笛、掛け時計、机、委員会、会合、金、日刊紙の数版、音、怒鳴り声、多忙である。
これらすべてのほかにも、ありとあらゆることが夜と朝以外にも必要なのだ。
一日を調合するには、これらの要素が要るのだろう。
しかし朝夕の儀式を行うようになると、そのようなことで光と闇が分けられ、昼と夜が創造されたのではない、と感じるようになる。
むろんわたしの人生哲学がどのようなものであれ、わたしも働いて汽笛や汽車や昼食の約束や多忙という特権に対して、
自分の分け前を支払うだけの金を稼がなければならない。
それで夜空の星を見上げ、朝には東の空へ窓を開けて、わたしは静かな心、簡素さ、落ち着いた精神を求める儀式を行い、
自分の魂も皆の魂も一日の機械的な忙しさから逃れて自由になれるように祈る。」【アビー・グレアム】

「豊かな人生を送るには、心の奥の本能に従う以外に道はなく、
結果を恐れる気持ちを優先させた場合は、
その人生は安全で便宜的で、痩せたものになる。」【キャサリン・バドラー・ハサウェイ】

「1年間でこれという写真が12枚も撮れたら豊作だよ。」【アンセル・アダムス】

「変わらぬ愛には、どんな季節も、どんな天気もない。
何時、何日、何分、そんなものは時の輪切りに過ぎぬ。」【ジョン・ダン】

「元来時間それ自体に切れ目などあろうはずはなく、新しい月、新しい年が、雷鳴やラッパの音を合図に始まるわけではない。
新しい世紀の場合でも、鉄砲を撃ったり鐘を鳴らしたりするのは私たち人間なのである。」【トーマス・マン】

「3月の何がいいのかって? そうだね、ひとつには2月と4月を離していることかな。」【ウォルト・ケリー】

「複雑な事象を調べようとするとき、その事象を分解できるところまで分解し、
そのひとつひとつを調べ上げたうえで再び総合し判断するというのが、
科学的な態度の見本なのです。」【大村平 『予測の話』】

「その季節にふさわしいものならなんでも好きですがね。
私はクリスマスにバラの花がほしいとは思いません。
また5月の花まつりに雪が降ってほしいとも思いません。」【ウィリアム・シェイクスピア】

「天が下のすべての事には季節があり、すべてのわざには時がある。
植えるに時があり、植えたものを抜くに時がある。」
「抱く(受け入れる)に時があり、抱くことを止めるに時がある。」 【伝道の書】

「適切なときに起こり、そのために適切な人物が現れて、私たちの生活が突然重要な新方向へ向かうとき、
その神秘的な一連の出来事に深い意味があることを直感しなければならない。」【ジェームズ・レッドフィールド】

「それがわれわれの頭の仕組みなのだ。攻略するには分割しなければならない。
複雑な状況をひとまとまりとして扱えるならば――そんなことがあればの話だが――、
『思考』の出番はなくなる」【フランク・ナイト】

「「おばあさんがここへきて住むようになってから、ときどき時間のなかをあともどりしたでしょう?」
「時間のなかをあともどりした?」
「つまり、過去――むかしへあともどりしたでしょう?」
「トム。あんたがわたしぐらいの年になればね、むかしのなかに生きるようになるものさ。むかしを思いだし、むかしの夢をみてね。」
トムはうなずいた。庭園では、なぜいつもあんなにいい天気ばかり続いたのか、もどったりしたのか、それでわかった。
おばあさんが夢のなかでどの時期をえらんだかということに関係があったのだ。」【フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』】

“物には時節”:何かするにはそれに最適な時機があり、それを外してしまうと成功しないということ。


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61.風沢中孚(ふうたくちゅうふ)<真心と善良さ・信用と誠実を第一に>

中孚とは、誠心の意。自然な健全さ。献身的で調和的だが、現代ではストレスを背負いやすい。

「人間同士がその心の思いのある部分を最も忠実にコミュニケートしているのは、
実は言語によるものではなくて非言語的な方法によるものである……。」【沢田允茂】

「日本人は、言語で人を説得する、というのが基本的にありませんね。
どうも、ことばで人を動かすのを潔しとしない。言語より沈黙で、
いわゆる態度や腹芸で、相手を納得させようとする。」【谷川俊太郎】

「言葉で言えないからこそ、映画を撮るんです。」【黒澤明】

「言葉にならないから、ギター弾いているわけですよ」【サンボマスター:山口隆】

「真心をもって人を助ければ、必ず自分も人から助けられる。
これは人生の最も美しい補償の一つである。」【エマーソン】

「人には誠を尽くせ。言葉づかいの点でも行儀の点でも身のこなしの点でも素直なのがよい。
人を教えるだけでなく楽しませることが必要だ。
もしあなたが人を笑わせることができれば、人を考えさせることもできるはずだ。
そしてあなたを好きにさせ、あなたの言葉を信じさせることができるはずだ。」【アルフレッド・E・スミス】

「自分の考えを信じること、自分にとって心の真実であるものは、
すべての人間にとっても真実であるのを信じること――それこそが非凡な能力だ。」【ラルフ・ウォルド・エマソン】

「笑いは深い世界観的な意味を持つ。
笑いは統一体としての世界、歴史、人間に関する真理の本質的形式である。
それは世界に対する特殊な普遍的観点である。
この観点は世界を別な面からみるが、
厳粛な観点よりも本質をつく度が少ないわけではない(多くはないとしても)。」【バフチーン】

「両人対酌すれば山花開く、 <ふたりで酒を酌み交わす傍らには山の花が咲いている。>
一杯 一杯 復(ま)た一杯。 <一杯、一杯、さらにまた一杯>
我れ酔うて眠らんと欲す 卿(きみ)且(しばら)く去れ、 <おれは酔って眠たくなった。きみはひとまず帰ってくれ。>
明朝 意有らば琴を抱いて来れ。 <明朝、気が向いたら、琴を抱えておいでよ。>」【李白 「山中にて幽人(隠者)と対酌す」】

「唐土(もろこし)我朝(わがちょう)にもろもろの智者達の沙汰し申さるる観念の念にもあらず。
又学問をして念のこころを悟りて申す念仏にもあらず。
ただ往生極楽のためには、南無阿弥陀仏と申して、
うたがいなく往生するぞと思い取りて申す外には別の仔細候わず。
ただし三心(さんじん)四修(ししゅ)と申すことの候うは、皆決定(けつじょう)して
南無阿弥陀仏にて往生するぞと思ううちにこもり候うなり。
この外に奥ふかき事を存ぜば、二尊のあわれみにはずれ、本願にもれ候うべし。
念仏を信ぜん人は、たとい一代の法をよくよく学すとも、一文不知の愚鈍の身になして、
尼入道の無智のともがらに同じうして、
智者のふるまいをせずしてただ一向に念仏すべし。
証の為に両手印をもってす。
浄土宗の安心起行この一紙に至極せり。源空が所存、この外に全く別義を存ぜず、
滅後の邪義をふせがんがために所存をしるし畢(おわ)んぬ。

建暦二年正月二十三日 大師在御判」【法然(源空は諱=本名) 「一枚起請文」】

「生にとって掛け値のない"解脱"の機会、それは……
われわれの種がその蜜蜂の勤労を中断することに耐える僅かの間際に、
われわれの種がかつてあり、引き続きあるものの本質を思考の此岸(しがん)、社会の彼岸に捉えることに存している。
われわれの作り出したあらゆるものよりも美しい一片の鉱物に見入りながら。
百合の花の奥に匂う、われわれの書物よりもさらに学殖豊かな香りのうちに。
あるいはまた、ふと心が通い合って、折々一匹の猫とのあいだにも交わすことがある、
忍耐と静穏と、互いの赦しの重い瞬きのうちに。」【レヴィ=ストロース】

“水魚の交わり”:水と魚のように、離れがたい非常に親密な交際の譬え。水心あれば魚心あり。

“水魚出でて聴く”:真に心のこもった音楽には、
池の魚たちさえも水面に顔を出して感動して聴くほどの魅力がある、ということ。
転じて、真心(誠心誠意)の大切さを説いた故事成語。

“以心伝心”:言葉を交わさなくても、無言のうちに互いの思っていることや考えていること、気持ちが通じ合うこと。


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62.雷山小過(らいざんしょうか) <嫉妬される実力者・誇示は反感を生む>

小過とは、抜き出るの意。過分な欲や度が過ぎた言動に注意。他者の羨みで傷つく。対人関係でのトラウマ。批判をかわす妙案。

「望みを持ちましょう。でも望みは多過ぎてはいけません。」【モーツァルト】

友人にその欠点を教えるのは、友情の最もきびしい試練の一つである。
もし相手に腹が立つとか憎らしいとかいうのなら、つかつかと近づいて激しい言葉を浴びせるのは何でもない。
だが、友人を愛するあまり、友人が罪にけがれるのを見るに耐えきれず、その痛ましい真実を愛の言葉で告げる。
これこそ真の友情である。しかしそうした友人を持っている者はごく僅かしかいない。
われわれの敵はつねに、そのままでいいとしか考えない、剣の先を突きつけながら。」【ヘンリー・ウォード・ビーチャー】

「だが、過ぎたるは及ばざるがごとし、「善」なるからといって行きすぎはいけない。
機械論的科学は多くの面で大成功を収めてはいる――おかげで今日の私たちがある――が、
一面的で行きすぎている、という世界観が現れた。
天球の調和を求めるピュタゴラス学派の探求は、ケプラーでは終わらず、
機械論的モデルに受け継がれており、その作成者たちは自然界を、
理解および制御可能な単純な「もの」の集合に還元しようとしている。」【デイヴィッド・オレル】

「たくさんの経験を積んだときには、年をとりすぎていて、
経験を生かして何かすることができない。うまくいかないもんだね。」【ジミー・コナーズ】

「誰にでもこのあわれみの心はあるものだとどうして分かるのかといえば、その理由はこうだ。
たとえば、ヨチヨチ歩く幼な子が今にも井戸に落ちこみそうなのを見かければ、
誰しも思わず知らずハッとしてかけつけて助けようとする。
これは可愛想だ、助けてやろうとの一念からとっさにすることで、
もちろん助けたことを縁故にその子の親と近づきになろうとか、
村人や友達からほめてもらおうとかのためではなく、
また、見殺しにしたら非難されるからと恐れてのためでもない。」【孟子(性善説を唱えた人物)】

「煩悩具足の身なればとて、こゝろにまかせて、身にも、すまじきことをもゆるし、
くちにも、いふまじきことをもゆるし、こゝろにも、おもふまじきことをもゆるして、
いかにも、こゝろのまゝにてあるべしとまふしあふてさふらふらんこそ、
かへすがえず不便におぼえさふらへ。
ゑひもさめぬさきに、なをさけをすゝめ、毒もきえやらぬにいよいよ毒をすゝめんがごとし。
くすりあり、毒をこのめとさふらふらんことは、あるべくもさふらはずとおぼえ候。」【親鸞】

(くすりあり・・・・・・薬があるから毒を好み食えと勧めるようなことは、あるべきことではない。
※親鸞の悪人正機の意味を誤解して
「悪人が救われるというなら、積極的に悪事を為そう」という行動に出る者が現れた。
これを「本願ぼこり」と言う。
親鸞はこの事態を憂慮して「くすりあればとて毒をこのむべからず」と戒めている。
ただし今度はこの訓戒が逆に行き過ぎて、
例えば悪行をなした者は念仏道場への立ち入りを禁止するなどの問題が起きた事を、
唯円は歎異抄において批判している。――Wikipedia「悪人正機」)

「偉大な古作品は一つとして鑑賞品ではなく、実用品であったということを胸に明記する必要がある。
いたずらに器を美のために作るなら、用にも堪えず、美にも堪えぬ。
用に即さずは工藝の美はあり得ない。これが工藝に潜む不動の法則である。」【柳 宗悦】


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63.水火既済(すいかきせい)<純粋な理想主義者・常に自分を磨く努力を>

既済とは、成就の意。徹頭徹尾。論理的で合理的な思考。高度な技能を買われるか、既に用済み。装いが整う。

「完璧であることほど、完璧につまらないものはない」【ジョン・ロジャー&ピーター・マックウイリアムズ】

「完璧になろうと、しゃかりきになればなるほど、完璧からどんどん遠ざかってしまう。」【ハリダス・チャウドリ】

「心の叡知を信じ、自分にとって正しいことだと思える創造的選択をするようになると、進歩が始まります。
毎日のどんな小さな瞬間にも愛を与えるようになると、本物となって完成されたのです。
あなたは、あなたを知り愛する人にとって本物になっただけでなく、あらゆる人の目にも本物となったのです。
あなたは真の自己になったのです。」【サラ・バン・ブラナック】

「毎日を最後の日と思って生きよう、そして自分を信じよう。」【リチャード・ブランソン】

「誰が試合を始めたかなんて重要じゃない。
重要なのは、誰が試合にけりをつけたかだ。」【ジョン・ウッデン】

「イカしてるやつは最後を飾るのさ。」【レオ・デュローチャー】

「自然は完全なものだが、人間は決して完全ではない。
完全なアリ、完全なハチは存在するが、人間は永遠に未完のままである。
人間は未完の動物であるのみならず、未完の人間でもある。
他の生き物と人間を分かつもの、それはこの救いがたい不完全さにほかならない。
人間はみずからを完全さへと高めようとして、創造者となる。
そして、この救いがたい不完全さゆえに、
永遠に未完の存在として、学び続け成長していくことができる。」【エリック・ホッファー】

“首尾一貫”:最初から最後まで、主義主張や態度が変わることなく、一筋に貫かれていること。

“有終の美を飾る”:終わりよければすべてよし。


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64.火水未済(かすいびせい)<約束と使命感・志、未だ果たせず>

未済とは、未完成の意。画竜点睛を欠く。大事な役割を完遂できるか、最後まで気を抜くなかれ。

「始まりと呼ばれるものは、しばしば終末であり、
終止符を打つということは、新たな始まりである。
終着点は、出発点である。」

「わたしたちが探検をやめることはないだろう。
すべての探検が終わるときは、出発点にたどり着いたときであり、
そこを始めて理解したときである。」【T・S・エリオット】

「目的地に向かう途中であきらめるな。誰も拾ってくれはしないぞ。」【ルイス・アームストロング】

「死して屍拾うものなし」【作者不詳】

「わたしは強迫観念に駆られて仕事を無限に続ける。
どんなゴールに到達しても満足感を得られない。
成功は新しいゴールを生み出すだけだ。
食い尽くした金のリンゴには種が入っている。それは際限がない。」【ベティ・デイヴィス】

「自分の望む人生は、自分がこれまでに選んで作った人生だけではない。
今選び、今作っているさいちゅうの人生だ。」【ウェンディ・ベリー】

「万物は流転している。汝自身も絶え間なく変化し、少しずつ衰退してゆく。
そして、全宇宙は汝と共にある。」【マルカス・アウレリウス】

「自分を駆り立てろ。ほんの少しでも気をゆるめるな。
ゲーム終了のブザーが鳴る、そのときまで。」【ラリー・バード】

「千年といえども御目には昨日が今日へと移る夜の一時に過ぎません」【旧約聖書『詩編』】

「一切の事柄は物憂く、誰も語り尽くせはしない。
目は見て、飽きたりることなく、耳は聞いて、満たされることはない。
かつて起こったことは、いずれまた起こり、かつてなされたことは、いずれまたなされる。
日の下に、新しいことは何ひとつ存在しない。」【旧約聖書】

「パリはまことに大海原のようなものだ。そこに測鉛を投じたとて、その深さを測ることはできまい。
諸君はこの海洋をへめぐり、それを描きだそうと望まれるだろうか。
それをへめぐり、かつ描くことに諸君がいかに精魂をこめようと、
またこの大海の探検家たちがいかに大勢で、いかに熱心であろうと、
そこにはかならず未踏の地が残り、見知らぬ洞穴や、花や、真珠や、怪物や、
文学の潜水夫からは忘れられた前代未聞のなにかが残ることだろう。」【オノレ・ド・バルザック】

「遥かに行くことは、実は遠くから自分にかえって来ることだったのだ。
これは僕に本当の進歩がなかったことを意味してはいないだろうか。
それとも本当に僕の「自分」というものがヨーロッパの経験の厚みを耐えて、更に自分を強く表しはじめたのだろうか。
今僕はこの質問に答えることができない。これに答えるにはおそらく数十年の歳月がかかるだろうからである。
ただ僕は、自分の中に一つの円環的復帰が始まったことを知るのである。」【森 有正】

「「叔父さん、どうしたらいいでしょう? 僕は望んだ、たたかった。
そして一年たっても、やはり前と同じ所にいる。いや同じ所にもいない! 退歩してしまった。
僕は何の役にもたたない、なんの役にもたたないんです。……」
……ゴットフリートはやさしく言った。
「そんなことはこんどきりじゃないよ。人は望むとおりのことができるものではない。
望む、また生きる、それは別々だ。くよくよするもんじゃない。
肝腎なことは、ねえ、望んだり生きたりするのに飽きないことだ。
その他のことは私たちの知ったことじゃない。」」【ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』】

“竜頭蛇尾”:始めは勢い盛んだが、終わりは揮わず、尻すぼみになること。


※名言や語録を引用させていただいた文献は、こちらのページに整理してあります。

 


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