※以下、2004年の5月前後に書いた記事です。リンク切れが多数あると思われますが、ご了承願います。
また、このページの対応表や関連内容が正しいかどうかは分かりません。他の方の案が真実かもしれません。
おそらく個々のアミノ酸の明確な働きが解明されれば、その時には誰が見ても納得するような対応表が見出されるんでしょうけど。。。
DNAと易経の関係性
このページでは、最近「ゲノム創薬」等で何かと話題になっている“DNA”に関することを取り上げてみたいと思います。
でも、私は手持ちの書籍やネットで勉強した程度の浅学者ですので、専門的な知識は持ち合わせておりません(^^;)
そのため、ここでは単純に「DNAと易経」ということだけに焦点を絞って考えていこうと思います。
また、一言で“DNA”とはいっても、遺伝子工学や分子生物学など多くの分野にまたがり、その応用範囲は多岐にわたるようです。さすが21世紀の科学という感じでしょうか。
まずは、DNAに関する基礎知識を引用させて頂いて、それから私の考えを述べていこうと思います。
なお、かなり難しい学問なので私のほうからは説明できないことが多々あります。
特に専門知識のない読者の方(私もそうですが^^;)は、以下のサイトなどを参考になさると概要が分かるかと思います。
同時に、このページは相当数のサイトを参考にし、また引用しながら書いています。
これらのサイトの存在がなければ、このページも存在することはなかったと思います。
勉強&参考にさせて頂いた全てのサイトと書籍、その著者の方々に感謝します。
◎DNAって何? ゲノムって何?――という方向けのサイト
◆「あっとゲノム」
http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~kato/atgenome/index.html
◆「JSTバーチャル科学館」
http://jvsc.jst.go.jp/ (“生きていること”の項目)
◆「夢・化学-21」 http://www.kagaku21.net/
(“ふしぎの国のかがく”→“フューチャードア”)
◆「ゲノム情報コーナー」
http://www.jpma.or.jp/01topics/genome/index.html
◎アミノ酸って何? ――という方向けのサイト
◆「アミノ酸大百科」
http://www.ajinomoto.co.jp/amino/index.html
◆「アミノ酸パワーで心と体をリフレッシュ」
http://www.kyowa.co.jp/aminosan/index.html
【出典:IPA「教育用画像素材集サイト」
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/】(上の水平線から下の水平線まで)
【DNAの構造】
DNA(デオキシリボ核酸)にはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)という4種類の塩基がある。
向かいあったA-TまたはG-Cのみが水素結合によって対をなし、二重らせんを形成する。
遺伝情報は、これらA・T・C・Gの4文字で書かれている。
A-TおよびC-Gは水素結合というゆるやかな結合なので、必要に応じて二重らせんをほどくことができる。
ほどけた塩基が鋳型となって決まった塩基に結合するため、複製をつくることができる。
遺伝暗号表(コドン表)と易経六十四卦との対応関係(仮説) |
◆「漢字(おのこ)のlogos」
http://www.melma.com/mag/27/m00024427/a00000070.html
◆「Example about gene」
http://www.edu.ipc.hiroshima-cu.ac.jp/~h24014/start.html
◆「日本薬局方日程」
http://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/~bukka/Public/kougi/1av1/information.html
(04/06/06) 四象の訂正
コドンの頭(一文字目)から読んで構成するのは良さそうなんですが、四象の爻も上から読むと易としてはおかしくなるので(陰陽グループが符合しなくなるし、未来を察知するという易の趣旨にも合わなくなる)、TとGの四象を入れ替えて易の基本通りに読めるように訂正しました。なお、各コドンと64卦の対応は変わりません。
遺伝情報 | 四象(陽) | 遺伝情報 | 四象(陰) | 系 | ||
A(アデニン) | 老陽(乾兌)[||] | G(グアニン) | 少陰(離震)[ :|] | プリン系化合物 | ||
T(チミン) | 少陽(巽坎)[|: ] | C(シトシン) | 老陰(艮坤)[ : : ] | ピリミジン系化合物 |
【坎・坤・巽・艮】(先天八卦の右側グループ) | 【兌・震・乾・離】(先天八卦の左側グループ) | |||||||||||||
コドン | アミノ酸 | 易卦 | コドン | アミノ酸 | 易卦 | コドン | アミノ酸 | 易卦 | コドン | アミノ酸 | 易卦 | |||
二文字目がT(チミン) | 二文字目がC(シトシン) | 二文字目がA(アデニン) | 二文字目がG(グアニン) | |||||||||||
TTT | フェニルアラニン | 水火既済 | TCT | セリン | 水雷屯 | TAT | チロシン | 沢火革 | TGT | システイン | 沢雷随 | |||
TTC | 水山蹇 | TCC | 水地比 | TAC | 沢山咸 | TGC | 沢地萃 | |||||||
TTA | ロイシン | 水天需 | TCA | 水沢節 | TAA | [ Stop ] | 沢天夬 | TGA | [ Stop ] | 兌為沢 | ||||
TTG | 水風井 | TCG | 坎為水 | TAG | 沢風大過 | TGG | トリプトファン | 沢水困 | ||||||
CTT | 地火明夷 | CCT | プロリン | 地雷復 | CAT | ヒスチジン | 雷火豊 | CGT | アルギニン | 震為雷 | ||||
CTC | 地山謙 | CCC | 坤為地 | CAC | 雷山小過 | CGC | 雷地豫 | |||||||
CTA | 地天泰 | CCA | 地沢臨 | CAA | グルタミン | 雷天大壮 | CGA | 雷沢帰妹 | ||||||
CTG | 地風升 | CCG | 地水師 | CAG | 雷風恒 | CGG | 雷水解 | |||||||
ATT | イソロイシン | 風火家人 | ACT | スレオニン | 風雷益 | AAT | アスパラギン | 天火同人 | AGT | セリン | 天雷无妄 | |||
ATC | 風山漸 | ACC | 風地観 | AAC | 天山遯 | AGC | 天地否 | |||||||
ATA | 風天小畜 | ACA | 風沢中孚 | AAA | リジン | 乾為天 | AGA | アルギニン | 天沢履 | |||||
ATG | メチオニン [ Start ] |
巽為風 | ACG | 風水渙 | AAG | 天風姤 | AGG | 天水訟 | ||||||
GTT | バリン | 山火賁 | GCT | アラニン | 山雷頤 | GAT | アスパラ ギン酸 |
離為火 | GGT | グリシン | 火雷噬嗑 | |||
GTC | 艮為山 | GCC | 山地剥 | GAC | 火山旅 | GGC | 火地晋 | |||||||
GTA | 山天大畜 | GCA | 山沢損 | GAA | グルタ ミン酸 |
火天大有 | GGA | 火沢睽 | ||||||
GTG | 山風蠱 | GCG | 山水蒙 | GAG | 火風鼎 | GGG | 火水未済 |
では、他のコドン(遺伝暗号:3個の塩基の組み合わせが、1個のアミノ酸を指定している)にも、目を向けて見ましょう。
例えば、グルタミン(易卦対応は雷天大壮と雷風恒)。ちょっと引用します。
【「アミノ酸大百科」
http://www.ajinomoto.co.jp/amino/index.html →“専門知識を求める方へ”→「スポーツに活用されるアミノ酸」より】
「一方、グルタミンは、筋肉中に豊富に存在するアミノ酸で、ロイシン同様に筋たんぱく質の合成亢進と分解抑制の両方の作用があり、筋力アップと筋肉損傷の補修に重要な役割を担う。負荷の大きい運動を続けると、各種の臓器でグルタミンが必要になるために、筋たんぱく質の分解が活発になり、筋肉中から放出される。
またグルタミンには、免疫細胞の発育と増殖を促進させる機能があり、グルタミンを摂取していると風邪などの感染症にかかりにくいというデータがある。マラソンなどの過酷なレースののち、選手の約80%は何らかの不調を訴えるが、グルタミンを摂取すると、不調を訴える率は約50%に低下するというデータも得られている。」
また、腸のエネルギー源であり、腸と腸管つまり内臓の健康には欠かせないアミノ酸です。
それとアルコール代謝を高め、肝臓を守る役割も報告されているそうです(肝臓は木行で震と巽に対応する)。
雷天大壮は、そのままズバリ“筋肉”で象徴されることも多く、雷風恒とのペアで言えば雷天大壮は速筋線維、そして雷風恒が遅筋線維ということになるのでしょう。イメージで簡単に言えば、速筋とは瞬発力や激発力が必要な短距離走向けで、遅筋とは持久力が必要なマラソンのようなスポーツに適します。
以下に速筋線維と遅筋線維について書かれているサイトを紹介し、次のコドンを読み進めたいと思います。
◆「Yahoo!ヘルスケア」http://health.yahoo.co.jp/column/detail?idx0=w5000158&idx3=0400-1
◆「ケンコーコム」
http://www.kenko.com/contents/cnt_100170.html
◆「赤筋と白筋」
http://www.chario.com/life/style/09_muscle/09_muscle_03.htm
では、その運動に関連して――
先に紹介した論文「スポーツに活用されるアミノ酸」の中で、以下のような記述がありました。
「一方、身体的疲労以上にスポーツ選手を悩ませるのは、主観的疲労感、つまり気力や集中力の低下である。
負荷の大きい運動を長時間続けると、血液中のBCAA
の濃度が低下し、アミノ酸のひとつ、トリプトファン濃度が上昇する。その結果、BCAA
に対するトリプトファン比率が血中で高まる。トリプトファンは、通常アルブミンと結合した形で存在し、脳内でアルブミンと遊離して、中枢性疲労の原因物質であるセロトニンを生じる。これが気力の喪失につながると考えられている。
実際に負荷の大きい運動の場合、脳内のセロトニン量は増加しており、BCAA
を十分摂取することで、脳内のトリプトファン濃度を高めないようにすると、中枢性疲労の軽減や疲労の回復に効果があると報告されている。」
この中で、トリプトファンというアミノ酸が出てきています。(易卦対応では沢水困)
まず、このトリプトファンというものを調べてみると、いきなりトリプトファン事件というものが出てきました。
◎トリプトファン事件についての概要を記してあるサイト
◆「トリプトファン事件」
http://www5.ocn.ne.jp/~kmatsu/kumikae524.htm
◆「事例研究:トリプトファン事件」
http://www.bioethics.jp/naox_trypto-j.html
トリプトファン自体は必須アミノ酸(体内で合成されず、食事やサプリメントから摂取が必要とされているもの)の一つで、成長ホルモンを増加させたり、鎮静効果(精神安定)や不眠症を改善する、またアルコール中毒患者の治療にも使用する、てんかん発作を著しく軽減させる等の効用があるそうです。
しかし、遺伝子組み替えによって不純物の入ったトリプトファンを体内に取り入れたために多くの人の生命が脅かされた、そういう事件があったそうです。
これはある意味、沢水困の“困難に苦しむ”という意味が浮き彫りになっているような印象を受けますね。
ところで、上記の論文の中でセロトニンという言葉が出てきました。
まず、セロトニンについて引用します。
「脳内の神経伝達物質のひとつで、必須アミノ酸であるトリプトファンの代謝過程で生成されるもの。ほかの神経伝達物質であるドーパミン(喜び、快楽)、ノルアドレナリン(恐れ、驚き)などの情報をコントロールし、精神を安定させる作用がある。セロトニンが不足すると感情にブレーキがかかりにくくなるため、快楽から抜け出せずに依存症に陥ったり、うつ病になりやすいなどといった指摘もある。」
【出典:「健康用語辞典
セロトニン」http://www2.health.ne.jp/word/d3027.html】
ただ、セロトニンについてあれこれ調べてみたのですが、どうも「運動」と「休息」という状態で、その効用はベクトル(方向性)が逆になるようです。
つまり、「動」の状態に対してはネガティブで、「静」の状態に対してはポジティブな内容になっているんです。
この辺、なかなかどうして沢水困の意味合いをよく表わしていて興味深く感じます。
イメージとしては、仕事中や運転中などの緊張感や集中力を必要とする時に、弛緩して眠くなっては困るようなものです。
“緊張と弛緩”のバランスは精神安定の基礎ですから、それをごっちゃにすれば精神が不安定になるのも当然です。
この辺りの意味を把握しないで文献を読んでいると、逆の意味合いが説明されている時に矛盾を感じると思います。
なお、トリプトファン(沢水困)は、後述するチロシン(沢山咸・沢火革)というドーパミン(好きなことや興味・関心のあることをする時に出やすい)の原料となるアミノ酸との関係で、“緊張と弛緩”、あるいは“集中とリラックス”という状態を形成しているようです。簡単に言えば、気を静める働きと気を高ぶらせる働き、とでも言ったらいいのかも知れません。
ともあれ、気を静めるのも行き過ぎれば抑うつ的になり、気が高まるのも行き過ぎれば異常な興奮となってしまいますので、
何事もほどほどに、というのが大事なんでしょうね。
◎運動とセロトニンの関係について記されているサイトを紹介しておきます。
◆「Scientific
Workshop K's」
http://www.ne.jp/asahi/ks/science/r_s_tri.htm(「アミノ酸と中枢性疲労」の項目)
◆「用語辞典 ひ」
http://homepage3.nifty.com/powerup/conditioning/yogo/hi.htm
◆「栄養素別 用語解説」
http://www.fuji-sports.com/shop/foods/exp_savas/setumei.html(BCAAの項目)
◆「NAKAMURA
ZEMI:卒論」
http://www.f.waseda.jp/nakamura/zemi/soturon/j95c601.html(ちょっと否定的?)
◆「aminovital:Dr.アミノの「アミノ酸公開講座」」
http://www.aminovital.com/about_ami/dr_amino2.html#dai2
◆「元気の神経」
http://physi1-05.med.toho-u.ac.jp/genki/menu.html(座禅や弓道との関係性から考察されている)
◎参考サイト
(後述する内容も含みます)
◆「発掘!あるある大事典?U」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/
その中から、このページに関係ありそうなものを抽出すると・・・
「遺伝」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/aruiden/iden1.htm
「アミノ酸3」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/aruaminosan3/aminosan_1.html
「アミノ酸2」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/aruamino2/ami2_1.html
「アミノ酸1」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/aruaminosan/ami_1.html
「セロトニン」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/aruserotoninn/serotoninn_1.html
「癒しホルモン」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/aruiyasi/ih_1.html
「メラニン色素」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/arumeranin/ms_1.html
「新陳代謝」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/arutaisya/tai_1.html
「皮膚」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/aruhihu/hihu1.htm
「紫外線」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/arusigaisen/sigaisen1.htm
「依存症」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/aruizon/izon_1.html
「やる気」
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/aruyaruki/yaruki1.htm
◆「ためしてガッテン」
http://www.nhk.or.jp/gatten/index.html
その中から、このページに関係ありそうなものを抽出すると・・・
「エッ!?
気になる遺伝子大研究」
http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2003q3/20030716.html
「脳を元気に[1] ゆううつ最新対策」
http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2004q1/20040331.html
「意外! 紫外線対策の落とし穴」
http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2000q2/20000628.html
◎生理学(または大脳生理学)についてのサイト
◆「ヴィジュアル生理学」
http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/index.html
◆「脳のメカニズム」
http://akatan.cool.ne.jp/brain.htm
◆「らせんのりずむ」
http://homepage3.nifty.com/Angel%7Ecultivation/index.htm
◎脳科学や遺伝学・生物学などに関して参照している文献
◆「病は気からの科学1・3」(高田明和
著/講談社 刊)
◆「やる気を生む脳科学」(大木幸介 著/講談社 刊)
◆「脳の探検 上・下」(フロイド・E・ブルーム他 著、久保田競 監訳/講談社
刊)
◆「心でおきる身体の病」(芦原睦 著/講談社 刊)
◆「脳を究める」(立花隆 著/朝日新聞社 刊)
◆「あなたの中のDNA」(中村桂子
著/ハヤカワ文庫 刊)
◆「別冊宝島 遺伝子・大疑問」(宝島社 刊)
さて、一度ここで話を戻して、解読表を作るキッカケとなったポルタトーリの話に戻ろうと思います。
まず、ポルタトーリに関する内容を少し引用します。
【出典:「漢字(おのこ)のlogos」
http://www.melma.com/mag/27/m00024427/a00000070.html 】
「動脈硬化、および心筋梗塞に、絶対かからない人が、世界に38人いる。
血中にコレステロールが溜まらないのだ。とても長寿だという。
コレステロールを分解するタンパク質を精製するDNAを持っている。
世界でたった38人だけがもつという不思議な遺伝子。
彼等はイタリア語で「ポルタトーリ(遺伝子の舟)」と呼ばれる。
ひとり残らず北イタリアのアルプスのふもとにある陸の孤島、リモネ村の出身者だ。
リモネ村は1940年代まで陸の孤島だったので、当然婚姻は村人だけで行われる。
奇跡の人の子孫だ。
ヒトのDNAは約30億の塩基対からできており、この中におよそ10万種の遺伝子がある。
奇跡の人はこの10万種の遺伝子の中の、たった一ケ所の突然変異の遺伝子を持って生まれ、
それを後世に伝えた。
科学者たちは、リモネ村で唯一の教会に残された古文書を調べて、
最初のポルタトーリ(奇跡の人)が300年ほど前に生まれたと推測した。」
雷地豫は、いわゆる先天性を表わす卦です。予定を組む、準備支度、設定、プログラムといったことに象徴されます。
予め準備してしておけば、後から慌て急ぐこともなくなりますから、余裕という意味も出てきます。
(しかし、余裕綽々で怠慢になってしまうと痛い目にあいますが。)
先天的な体質に関係するので、例えば五感の働き(見る、聴く、嗅ぐ、味わう、触れる)もそうです。
そのため、芸術(美術や音楽など)や自然(花の香りや色彩の美しさ)などの五感を刺激するようなものも雷地豫に相当します。
ただ、先天性な資質ということは(占星学で言えば牡牛座のようなもの)、予め定められた運命としての機能です。
一方のポルタトーリの人は、38人全員が孤島の出身者。沢地萃の卦辞を思うと、なるほどな、と思う。
卦辞:「萃は、王有廟に仮る。大人を見るに利あり。亨。貞しきに利あり。大牲を用うるに吉。往くところあるに利あり。」
萃とは集まるの意味です。王者とは、ここではポルタトーリの資質を受け継いだ子孫のことでしょうね。
で、その彼らが廟(祖先の霊を祀ってある場所)に集まって、祖先(「奇跡の人」)と心を一つにする。
現実の場としての萃を見ると、例えば学校や塾の教室であったり、あるいは図書館や資料館・研究所、他にも多くの人が集まる公園や公共施設のような場所もそうです。人が集まるということから商売繁盛を象徴として用いるケースもあります。
あるいは、東京や名古屋、大阪、福岡、札幌といった都市、つまり仕事や人が密集する場所もそうです。
そのように場所によって広い狭いはありますが、ある閉じられた(囲まれた・限られた)環境に多くの人が身を寄せ合い、その中で学んだり交流したり売買する、そういう卦が沢地萃です。逆に言えば、“孤島の中のリモネ村”という閉じられた環境でなかったら、特異な遺伝子は受け継がれなかったと言えるかも知れません(外部の人と交わっていたら、遺伝される可能性や濃度が低くなるでしょうから)。
しかし、この突然変異は、一体どういう経緯や条件で発生したのか、ちょっと興味のあるところです。
さて、次のコドンの解読に移ります。
先のポルタトーリの話の中でシステインという言葉が出てきましたので、今度はそれを考えてみましょう。
システインは、TGTとTGCの二つです。一つは先程の沢地萃ですが、もう一つのTGTは沢雷随になります。
まず、システインとは何か、どんな作用があるのか調べてみたのですが、・・・これはどうも女性にとっては特に欠かすことのできない成分のようです。
美容とか美肌・美白に関係する言葉が並び立てられています。
相当数のサイトを調べてみたんですが、大体同じような感じです。分かりやすいものを幾つか引用します。
「シミ、ソバカスの原因となるメラニンの生成を抑制します。
有毒金属・活性酸素などの解毒作用、外傷の治癒の促進、ブドウ糖の代謝などの働きがあります。」
【出典:「Body +」
http://www.rakuten.ne.jp/gold/body/seibun_menu.html(シスチンの項目)】
付け加えて――
「皮膚の色はメラニン色素の量によって決まります。
システインは白い皮膚に多い黄色メラニンの産生を増やすことによって黒いメラニン色素の産生を抑える働きがあります。」
【出典:「アミノ酸大百科」
http://www.ajinomoto.co.jp/amino/index.html】
また、
「肌の新陳代謝。表皮の基底層で新しい細胞が作られ、それが皮膚表面に向かって少しずつ変化しながら押し上げられ、最後にはフケや垢となってはがれ落ちる。健康な肌なら約28日周期でこの新陳代謝が繰り返されている。」
【出典:「healthクリニック」 http://www2.health.ne.jp/
→「健康用語辞典」】
このことを“皮膚のターンオーバー”と言うそうです。健康な肌では約28日周期だそうですが、年齢や健康状態によって45日程度まで代謝が遅れるとのことです。
ちなみに、メラニンは紫外線を浴びると皮膚が傷つくのを防ぐために生成されるので、システインの効能は結果としてシミに限らず、皮膚癌や禿げ防止にも繋がると考えられています。また、毛髪や体毛に多く含まれており、爪の健康にも関係しているそうです。
システインは、抗酸化・抗老化のアミノ酸として有名ですが、成分に硫黄を含んでいるため、ちょっと臭いがあるそうです。
ただ、その硫黄成分が体内の物質と反応すると、ある種の解毒作用をもたらすとのこと。
過剰となった銅などの有害金属(嘔吐などの中毒症状が出る)、または喫煙・飲酒等によって生じる活性酸素を抑制する働きがあるようです。
でも、サプリメントなどでシステインを過剰摂取すると、体内に余った分が逆に活性酸素を生み出してしまう可能性もあるとのことなので、
何事も“過ぎたるはなお及ばざるが如し”ですね。
【参考:「本格屋がお贈りする「セルフケアのための知識」完全版」
http://www.tcompany.co.jp/】
ちょっと引用等が長くなりましたが、コドンとの対応関係が正しければ沢雷随や沢地萃には、遺伝情報的にそのような資質が秘められているということになります。
あるいは兌卦全体としての身体的な成熟さや色香を求める性質が、ここに起因しているのかもしれません。
歯や骨も兌の象徴の一つですが、そういえば西は白虎という四神の概念があり、果たして美白ということも関係しているのか(^^;)
しかし特筆すべきことは、“ターンオーバー”という生体機能です。
この肌の新陳代謝の働きは、あたかも先の遺伝情報の代謝活動(Start→Stop→Start・・・)を思わせます。
また、そう考えると、沢天夬・沢風大過・兌為沢が[
Stop ]の機能や役割を持っているのも頷ける気がします。
英語で「It's your
turn.」と言うと「君の番だよ」なんですが、新陳代謝とはそんな感じかも知れません。
そして、そのことを踏まえて他の兌の卦を考えると、奇妙な符号に驚きます。
例えば、沢火革は「大人虎変・君子豹変」で、まさに虎や豹の毛が抜け落ち、そして生え変わる様子を表わしているし、
沢山咸にしても、上経が終わってすぐ、まさに下経の最初に置かれている。(革と咸のアミノ酸はチロシン。後述します)
沢水困(トリプトファン)にしても同様で、精神的・肉体的に疲労困憊して、いったん一番下の底まで落ち込んでいく。
でも、次の水風井に表わされるようにターンオーバーとしての機能を取り戻していくことになって、沢火革で表面化する。
兌卦の1/3の欠けは、あたかも肌の表面を覆っている古い角質層がその役割を終える様子、――つまり、新しい細胞によって内部から押し退けられて剥がれ落ちる(体を洗うことで垢が削り取られていく)様子を模写したものかもしれません。
ちょっとイメージ的に、野球の“押し出し(満塁でデッドボールやフォアボールとなった状態)”が浮かんできます。
角質層は内部にある水分を外に逃がさないようにしながら(保湿)、外部の刺激(細菌など)の侵入を防いでいます。
とはいえ、内に溜まってきたものを代謝させずに停滞させてしまうと坎となり腐ってしまうし、紫外線(=離卦)の刺激を受け続ければ次第に肌や細胞を守るバリアー機能も弱まってしまう(火尅金)。
そうして老化に至った角質層はターンオーバーされていき、その一方で、取って代わった新しい細胞の角質層によって、肌はみずみずしさを取り戻すことができる。
その最終的な過程を譬えて説卦伝では“説(悦=喜び)"としたのか・・・これは案外、兌における本質的・原理的な話なのかもしれません。
さて、話は沢雷随に戻ります。
沢雷随も兌卦ですから、これまで書いてきたようなターンオーバーとしての機能があることになります。
随とは、人や物事に付き従って行くという意味で、様々な変化の中で臨機応変に対応する様子を示しています。
それはあたかも仮面劇のようなもので、周りの状況や周囲の人の意志を自分の意志や主張として人格を作り、行動する傾向が強まります。
そのため、本当の意味での主体性があるのかどうか、自分ではあやふやになりやすくなります。
もし良からぬグループや相手に関わってしまうと、その状況に相応しい仮面を自ら被ってしまうため危険なのですが、反対に優れた精神や人格を持つ人たちと交わると、その高い順応力と適応力によって自分自身を良い方向に変化させていくことができます。
その資質を理解し、上手に活用できるようになると世界が開けていくようになります。
「皮膚の色はメラニン色素の量によって決まります。
システインは白い皮膚に多い黄色メラニンの産生を増やすことによって黒いメラニン色素の産生を抑える働きがあります。」
先に引用したこの内容は、沢雷随とシステインの性質の合致を示していると思います。
というのは、黒いメラニン(易で言う小人=つまらない人)ではなく、黄色メラニン(大人=優れた人)に付き従うこと、またその良い性質を伸ばすことの重要性を説いているからです。
兌卦の続きとして、沢火革(TAT)と沢山咸(TAC)を考えてみたいと思います。
表では、共にチロシンというアミノ酸に対応しています。
まずは、チロシンという成分が持つ効用を調べて、それから卦との接点や対応を考えてみたいと思います。
「脳内の神経伝達物質の前駆体となるので、脳の正常活動を高め、うつ病、痴ほう症、パーキンソン病の予防と回復に効果があるといわれています。そのほか、細胞の老化を抑えたり、高コレステロール改善する作用もあります。」
【出典:「Body +」
http://www.rakuten.ne.jp/gold/body/seibun_menu.html(チロシンの項目)】
ここでいう神経伝達物質の前駆体とは、一般的に知られているドーパミンの原料のことです。
ドーパミンは、俗に「快感物質」だとか「やる気物質」などと言われているのですが、やはり過剰に出れば障害となります。
例えば、意識が高揚し過ぎれば精神が分裂気味になりますし、快適さや快楽に対して依存症(甘えの習慣)になる恐れも出てきます。タバコやお酒などの嗜好品が止められなくなったり、お菓子などの甘い食べ物の虜になって体を壊してしまうようなことも、ドーパミンのネガティブな側面と言えます。
易卦の沢山咸にも、そういった性質があります。
例えば、趣味に走って本職を疎かにしてしまう、ネットゲームに嵌って生活そのものが成り立たなくなってしまう、恋愛や空想に感けて現実を見失ってしまう、というようなことです。精神的には充実する感はありますが、それが強まれば現実的な立脚点は危うくなってきます。
(まぁ、仮にもし追求する趣味を実際の仕事にすることができるとなれば、その浮いた気持ちは収まりますが、現実的にはなかなか難しいことではあります)
このドーパミンと先に取り上げたセロトニン、あるいはアドレナリン・ノルアドレナリンという物質は、それぞれ単独には語られることは少なく、大抵は同じ文面の中に出てきます。なお、それらドーパミンやアドレナリン、ノルアドレナリンなどのアミン類とされるものの総称をカテコールアミンと言うそうです(後述します)。
◎ドーパミンの解説
◆「脳内物質ドーパミンのはたらき」
http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/kouenkai/koza/67koza_2.html
◆「人はなぜ愛するか」
http://www.geocities.co.jp/HeartLand/2989/brain4.html
この「人はなぜ愛するか」というサイトのような、男女の性に関する話題もかなり多く見受けられます。
また、男と女の脳の違いに関する研究も盛んに行われているようですし、一目惚れや、それに似た直感的な気持ちも沢山咸に関係する事柄です。
例えば次に紹介する書籍も、そういった内容について書かれています。
◆「脳とテレパシー」(濱野恵一
著/河出書房新社 刊)
◆「男脳と女脳 こんなに違う」(新井康允 著/河出書房新社 刊)
◆「女の脳・男の脳」(大島清 著/祥伝社
刊)
例えば、「ほら、アレだよ、アレ」という会話で通じてしまう状況や、以心伝心のような互いの気持ちが瞬間的に察知できる状態も沢山咸の意味合いではないかと思います。「・・・女の感は鋭いのよ」なんていう切迫した状況もありがちですが、そんなイメージも出てくる卦です。
ドーパミンは、好きなことに対する集中力や意識性が高まる成分ですから、当然ながらストレスは軽減します。
また、性的な能力や意識も高まってきますから、男女関係にも意識が向かうことも多くなります。
ところで、専門的なサイトを調べると、チロシンはカテコールアミン(心筋の収縮力を高めて血液拍出量を増すので、心臓には負担となる)や先述したメラニンの素だということが分かりました。メラニンに関しては先述したので、ここではカテコールアミンについて考えてみます。
ちなみに、カテコールという名はインド産のアカシアの一種の幹から分泌される樹脂の蒸留から来ているそうです。
本によっては猛毒物質なんていう表現もなされていましたが、ストレスや活性酸素との関係で、時に心筋梗塞などの身体の緊急事態を招くこともあるとのことです。
カテコールアミンについては、以下のサイトの内容が判りやすくていいと思います。
【「ためしてガッテン」http://www3.nhk.or.jp/gatten/archive/1998q1/19980304.html】
(過去の放送:発見!
体に潜むストレスの正体)
【「ストレス」:http://www2.neweb.ne.jp/wc/hooko/STLESS.HTML】
【「発掘!あるある大事典
第355回」http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/aruakisp/akisp_1.html】
これらのページにあるように、まさしく沢火革では心臓や脳の疾患、特に梗塞のように突発的な症状が起きやすい卦です。
それは、急激で劇的な変化を遂げようとするあまり、身体がそれに付いていけずにノックダウンしてしまうからです。
沢火革とは革新・革命の卦ですから、自己の存在や環境そのものに対して大変なショックを与えます。
ですから、行動を起こす時期は特に慎重に選定する必要があり、易ではそれについてかなり注意を促しています。
しかし、冷静さのない気がはやった興奮状態で事を進めれば、急激な環境変化に対応しようとして心身に過剰な無理をさせることになり、健康を崩したり精神を疲弊させてしまいます。
例えば、故郷を発って知らない街へ移り住むだとか、劇的なリフォームをする、これまでにやったことのない何か新しいことに挑戦するというような状況に象徴されますが、いずれにせよ、それまでの自分の立脚点や保守性(伝統や習慣、時に故郷や先祖など)を犠牲にするような事態になるので、それに上手く対処できなければ心身が悲鳴を上げるのも当然です。
ただ、沢火革の転換は確かに痛みを伴うものですが、それを行う時期と方法が正しければ、劇的であるがゆえに非常に大きな成果を出すこともできるわけで、要はそのポイントをしっかりと把握することにあります。象徴的には強心剤が良い例だと思います。
次のサイトに分かりやすく書かれていますので、ご参考に。
◆「心臓病の話」
http://www.onh.go.jp/seisaku/circulation/shinzoubyo.html
なお、沢火革とは皮革によって象徴されることでもありますから、次のサイトの内容は革を理解する上で参考になります。
特に「なぜ兌卦(沢)なのか、なぜ離卦(火)なのか」ということに対して、その原理に迫る内容だと思います。
(私は実際の番組を見ていました^^)
◆「ためしてガッテン」
http://www3.nhk.or.jp/gatten/archive/2004q1/20040225.html
(過去の放送:よみがえる!
革製品の新常識)
では、次のアミノ酸に進みます。
一番初めにグルタミン(雷天大壮・雷風恒)を考えてみましたが、紛らわしいものに「グルタミン酸」というものがあります。
今度はこれについて考えてみることにします。易卦対応では、火天大有と火風鼎に当たります。
まずは、グルタミン酸とは何か、そのことについての文章を引用します。
「主に脳の代謝を促し、精神を安定させたり知能を高める効果があるといわれています。また、尿の合成促進、アルコール依存症の改善、潰瘍の治癒を早めるなどの働きがあります。」
【出典:「Body +」
http://www.rakuten.ne.jp/gold/body/seibun_menu.html(グルタミン酸の項目)】
◎グルタミン酸は天然の“うま味成分”!
「最近グルタミン酸の味覚レセプター(受容体)の候補の発見により、アミノ酸のひとつであるグルタミン酸の味、「うま味」が甘味、塩味、酸味、苦味と並ぶ基本味であることがますます明らかになってきた。」※1
「アミノ酸はたんぱく質の生合成に使われるだけでなく、多くの生理活性物質の前駆体としても活用されている。腸管は非常に活発な臓器で細胞増殖が速く、大量の粘液の生産も行なっており、体の平均と比べて重量比で4〜5倍の速度でたんぱく合成が行なわれ、エネルギーが消費されている。最近、グルタミンやグルタミン酸が腸管の栄養源として重要であり、食事由来のグルタミン酸は腸管の主エネルギー源であることが判明している。」※2
「また、ヒトを含む動物の母乳のたんぱく質のアミノ酸組成は似ており、グルタミン酸(グルタミンを含む)が20種のアミノ酸のなかで20%と最も含量が多い)。母乳のアミノ酸組成は、当然進化の過程で形作られたはずで、グルタミン酸が多いということは、相当に重要な役割が背景にあるものと考えられる。
グルタミン酸が口内においては味覚物質として働き、脳では神経伝達物質として働くということは、言い換えればグルタミン酸が栄養分子として認識され、また信号分子としても機能しているととらえることができる。
この二面性は進化のかなり初期の段階で発生したと考えられる。」※3
【出典:「アミノ酸大百科」http://www.ajinomoto.co.jp/amino/index.html(論文:「アミノ酸の味
その1」より】
(また、味とアミノ酸との関係については、同サイトの中の“「食」とアミノ酸”に分かりやすく説明されています)
※1
この“うま味成分”については、「ためしてガッテン」や「発掘!あるある大事典」などの食事や料理(調理)に関する項目にたくさん登場してきますので、興味のある方は参考になさると良いと思います。
ちなみに、この「うま味」(甘味・旨み)というのを五行の概念の中で考えると、土行に相当するものだと分かります。
五行概念では“五味”といって、酸味(木)、苦味(火)、甘味(土)、辛味(金)、塩辛味(水)という分類がなされています。
でも、最近の研究では、単なる甘味(あまみ)と旨味(うまみ)とは違うことが明らかになってきており、私たちの味覚に対する認識の幅が広がりつつあるようです。
それと、“味覚レセプター(受容体)”に関する内容ですが、これはまさに火風鼎の象意です。
火風鼎とは三本足の鍋(調理器具)のことで、ここから食材を入れて料理や調理するという意味が出てきます。
総括的には、料理に限らず、何か他の材料と混ぜ合わせて(受容して)新しいものを生成する働きをする卦です。
外部からの刺激を受け取るという性質は、味覚レセプターという表現とピッタリ符合します。(ガッテン!ガッテン!^^;)
※2
この内容から火天大有の象意が見えてきます。活力(バイタリティー)を湧き上がらせるためには、当然ながら膨大なエネルギーが必要になるからです。
また速効性ということは、それだけ消費量も増えるということですから大変です。
まるで、赤ちゃんのオムツやミルク缶の消費の速さを象徴しているかのようです(笑)。それにお母さん自身もエネルギッシュでなければ子育てはやっていけません。この卦は、お金も体力も精神力も旺盛となる必要性を説いています。
※3
実際に、乳幼児が母乳で事足りる様子を見ていると、速効性のエネルギー源なんだな〜、という感慨が出てきます。
また、“味覚物質と神経伝達物質”という二面性を持つことは、離卦としての性質を表わしていると考えられます。
ちなみに、同じ離卦のアスパラギン酸も「酸味とわずかな旨味成分」で、グリシンも「甘味成分」だということですので、
基本的に離卦は「おいしい」卦なのかもしれません(^^)
◎遺伝暗号表(コドン表)と易卦六十四卦の関係性2
04/05/26(Wed)
今日、【kakusen4's
home page(http://www3.ocn.ne.jp/~x484kok8/
)】というサイトの中に、遺伝暗号表の易卦対応と同じ研究結果が記されているのを発見しました。かなりビックリしたので、ここに“覚仙”さんの研究をご紹介したいと思います。
以下のページにありますので、まずはそちらを御覧いただきたいと思います。
http://www3.ocn.ne.jp/~x484kok8/ekikyou.html(「易経と仙道」ページの“拡大図”というところです)
ところで、その「拡大図」では全体が分からなかったので、実際に私自身も作成してみました。
コドン表との関係で少し配置が異なってしまったのですが、ここでは見た目の分かりやすさを重視して構成しています。
乾為天 | |||||||||||||||||||||||||||||||
天風姤 | |||||||||||||||||||||||||||||||
天火同人 | 天山遯 | ||||||||||||||||||||||||||||||
天沢履 | 天水訟 | 天地否 | 天雷无妄 | ||||||||||||||||||||||||||||
巽為風 | 風天小畜 | 風山漸 | 風火家人 | 風雷益 | 風地観 | 風沢中孚 | 風水渙 | ||||||||||||||||||||||||
離為火 | 火山旅 | 火天大有 | 火風鼎 | 火雷噬嗑 | 火地晋 | 火沢睽 | 火水未済 | 山沢損 | 山水蒙 | 山雷頤 | 山地剥 | 山天大畜 | 山風蠱 | 山火賁 | 艮為山 | ||||||||||||||||
兌為沢 | 沢水困 |
沢雷随 |
沢地萃 |
沢天夬 |
沢風大過 | 沢火革 |
沢山咸 |
坎為水 |
水沢節 |
水地比 |
水雷屯 |
水風井 |
水天需 |
水山蹇 |
水火既済 | 地天泰 |
地風升 |
地火明夷 | 地山謙 |
地沢臨 |
地水師 |
地雷復 |
坤為地 |
雷風恒 |
雷天大壮 | 雷山小過 | 雷火豊 |
雷水解 |
雷沢帰妹 | 雷地豫 |
震為雷 |
Phe | フェニルアラニン | His | ヒスタジン |
Leu | ロイシン | Gln | グルタミン |
Ile | イソロイシン | Asn | アスパラギン |
Met | メチオニン | Lys | リジン |
Val | バリン | Asp | アスパラギン酸 |
Ser | セリン | Glu | グルタミン酸 |
Pro | プロリン | Cys | システイン |
Thr | スレオニン(トレオニン) | Trp | トリプトファン |
Ala | アラニン | Arg | アルギニン |
Tyr | チロシン | Gly | グリシン |
Lys(AAA) | |||||||||||||||||||||||||||||||
Lys(AAG) | |||||||||||||||||||||||||||||||
Asn(AAT) | Asn(AAC) | ||||||||||||||||||||||||||||||
Arg(AGA) | Arg(AGG) | Ser(AGC) | Ser(AGT) | ||||||||||||||||||||||||||||
Met&Start(ATG) | Ile(ATA) | Ile(ATC) | Ile(ATT) | Thr(ACT) | Thr(ACC) | Thr(ACA) | Thr(ACG) | ||||||||||||||||||||||||
Asp(GAT) | Asp(GAC) | Glu(GAA) | Glu(GAG) | Gly(GGT) | Gly(GGC) | Gly(GGA) | Gly(GGG) | Ala(GCA) | Ala(GCG) | Ala(GCT) | Ala(GCC) | Val(GTA) | Val(GTG) | Val(GTT) | Val(GTC) | ||||||||||||||||
Stop (TGA) |
Trp (TGG) |
Cys (TGT) |
Cys (TGC) |
Stop (TAA) |
Stop (TAG) |
Tyr (TAT) |
Tyr (TAC) |
Ser (TCG) |
Ser (TCA) |
Ser (TCC) |
Ser (TCT) |
Leu (TTG) |
Leu (TTA) |
Phe (TTC) |
Phe (TTT) |
Leu (CTA) |
Leu (CTG) |
Leu (CTT) |
Leu (CTC) |
Pro (CCA) |
Pro (CCG) |
Pro (CCT) |
Pro (CCC) |
Gln (CAG) |
Gln (CAA) |
His (CAC) |
His (CAT) |
Arg (CGG) |
Arg (CGA) |
Arg (CGC) |
Arg (CGT) |
坤為地 | |||||||||||||||||||||||||||||||
地雷復 | |||||||||||||||||||||||||||||||
地水師 | 地沢臨 | ||||||||||||||||||||||||||||||
地山謙 | 地火明夷 | 地天泰 | 地風升 | ||||||||||||||||||||||||||||
震為雷 | 雷地豫 | 雷沢帰妹 | 雷水解 | 雷風恒 | 雷天大壮 | 雷山小過 | 雷火豊 | ||||||||||||||||||||||||
坎為水 | 水沢節 | 水地比 | 水雷屯 | 水風井 | 水天需 | 水山蹇 | 水火既済 | 沢山咸 | 沢火革 | 沢風大過 | 沢天夬 | 沢地萃 | 沢雷随 | 沢水困 | 兌為沢 | ||||||||||||||||
艮為山 |
山火賁 |
山風蠱 |
山天大畜 | 山地剥 |
山雷頤 |
山水蒙 |
山沢損 |
離為火 |
火山旅 |
火天大有 | 火風鼎 |
火雷噬嗑 |
火地晋 |
火沢睽 |
火水未済 | 天地否 |
天雷无妄 | 天水訟 |
天沢履 |
天山遯 |
天火同人 | 天風姤 |
乾為天 |
風雷益 |
風地観 |
風沢中孚 | 風水渙 |
風火家人 | 風山漸 |
風天小畜 | 巽為風 |
Pro(CCC) | |||||||||||||||||||||||||||||||
Pro(CCT) | |||||||||||||||||||||||||||||||
Pro(CCG) | Pro(CCA) | ||||||||||||||||||||||||||||||
Leu(CTC) | Leu(CTT) | Leu(CTA) | Leu(CTG) | ||||||||||||||||||||||||||||
Arg(CGT) | Arg(CGC) | Arg(CGA) | Arg(CGC) | Gln(CAG) | Gln(CAA) | His(CAC) | His(CAT) | ||||||||||||||||||||||||
Ser(TCG) | Ser(TCA) | Ser(TCC) | Ser(TCT) | Leu(TTG) | Leu(TTA) | Phe(TTC) | Phe(TTT) | Tyr(TAC) | Tyr(TAT) | Stop(TAG) | Stop(TAA) | Cys(TGC) | Cys(TGT) | Trp(TGG) | Stop(TGA) | ||||||||||||||||
Val (GTC) |
Val (GTT) |
Val (GTG) |
Val (GTA) |
Ala (GCC) |
Ala (GCT) |
Ala (GCG) |
Ala (GCA) |
Asp (GAT) |
Asp (GAC) |
Glu (GAA) |
Glu (GAG) |
Gly (GGT) |
Gly (GGC) |
Gly (GGA) |
Gly (GGG) |
Ser (AGC) |
Ser (AGT) |
Arg (AGG) |
Arg (AGA) |
Asn (AAC) |
Asn (AAT) |
Lys (AAG) |
Lys (AAA) |
Thr (ACT) |
Thr (ACC) |
Thr (ACA) |
Thr (ACG) |
Ile (ATT) |
Ile (ATC) |
Ile (ATA) |
Met (ATG) |
※加筆:04/05/27(Thu)
今朝の新聞(中日新聞)に、「人との差
やはり大」という見出しがありました。以下に引用します。
【遺伝子の違い予想以上
理化学研究所ゲノム科学総合研究センター(横浜市)などのグループがチンパンジーの染色体の塩基配列を精密に解読、ヒトとの間で遺伝子の約83%に違いがあることを突き止め、二十七日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
知能などで大きな差がある人とチンパンジーだが配列に約1%しか差がないことが大きな謎だった。研究は塩基の欠損や挿入が予想外に大きく、それが遺伝子に大きな差を生み出すことを初めて明らかにした成果として注目される。
解読したのはチンパンジーの二十二番染色体で塩基数は計約三千三百万。対応する人の染色体と比べると、塩基の置き換えによる食い違いは1.44%だったが、塩基の欠損や挿入が約六万八千カ所もあった。
比較できた遺伝子は計二百二十一個、全く同じ遺伝子は三十九個。全体の約83%に当たる百九十二個の遺伝子で、それを基に合成されるタンパク質のアミノ酸配列に違いがあり、その約二割ではタンパク質の構造までも変わっていた。
タンパク質合成に直接かかわらない特定の塩基配列がヒトではチンパンジーの二倍以上もあることも分かった。これが進化に影響を与えた可能性もあるという。榊佳之センター長は「塩基の欠損や挿入が予想より多かった。こうしたわずかな差が積み重なり、大きな違いになったのでは」と話している。】(中日新聞 04/05/27付け)
この内容は、今後の研究に新たな道筋をつけるものだと思います。
人(ヒト)としての潜在的な可能性への期待、また進化に対する新しい見方も出てくるんじゃないでしょうか。楽しみですね。
※参考のために、ネットの記事も紹介しておきます。多少数字が異なっている部分があるからです。
「人とチンパンジー、たんぱく質の8割に差
- asahi.com :
サイエンス」
(http://www.asahi.com/science/update/0527/004.html)
※以下、日記より転載
’06/07/12(Wed) 易とDNA
易がその生成発展の原理の中で示しているように、森羅万象ありとあらゆる存在を包含するシステムであるならば、
生命の遺伝子解読や作用の考え方についても言及できる何ものかがあるのではないか、と世界の研究者たちは考えています。
一応、私自身でも易とDNAについての対応を調査して、自分なりの考えを提案しているわけですが(「DNAと易経の関係性」)、
先日の「英語で読む易経」のリンク集を作っている時に、一つだけでしたが英語サイトでDNAと易について述べているものを見つけました。
「DNA and the I
Ching」
DNA(デオキシリボ核酸)を構成する塩基は4種類あり、それぞれA(アデニン)・T(チミン)・G(グアニン)・C(シトシン)と呼ばれています。
この内のAとT、GとCとが必要に応じて二重螺旋を解くことにより、RNAというDNAのコピーを作っていきます。(この時、TはU:ウラシルになる)
そして、その4つの塩基が巧みに組み合わさってコドンと呼ばれる遺伝暗号を形成するわけです。
さて、易の概念では、このATGCが四象(老陽・少陰・少陽・老陰)になるわけですが、
その対応のさせ方が研究者によって見解が異なっているため、それ以上の進展が見られない原因になっていると思われます。
例えば、日本では「易経の謎」(今泉久雄
著/光文社
刊)という本によって、この種の分野の考察が初めて(?)紹介されました。
この方の考えでは、4つの塩基と四象の対応は次のようになっています。(参考サイト:【日本脱藩のすすめ】第43号)
1.A:少陽(|:)、T:老陽(||)、G:少陰(:|)、C:老陰(::) (「易経の謎」より)
これに触発されて、日本の幾つかのサイトがこの今泉説を取り上げています。
ただ、著者が執筆半ばで亡くなられたということで本の内容は未完成になっています。
一方、先に紹介した海外の研究(「DNA
and the I
Ching」)ではどうなっているのでしょうか?
2.A:老陽(||)、T:老陰(::)、G:少陽(|:)、C:少陰(:|) (「DNA and
the I
Ching」より)
また、私自身が考えた対応は次のようなものです。
3.A:老陽(||)、T:少陽(|:)、G:少陰(:|)、C:老陰(::) (「DNAと易経の関係性」より)
※当初はTとGを逆に配置させていた(四象を上から読むか下から読むかの違いなので、想定しているコドン表自体は変わりませんが)。
思考実験では幾通りもの対応を考え出せるわけですが、実際のコドンの性質と符合しなくては意味がありません。
こうなると、どういう対応が正しいかは実際のコドンやアミノ酸を調べてみる他なく、必然そういう論が展開されることになります。
しかし、研究者によって見解が違っているため、組み合わさって作られる卦も変わってきてしまう。
例えば「DNA
and the I
Ching」の中では、AGU(セリン)を「|||:::」=天地否(12.Standstill)として考えていますが(※上からコードを読んでいる)、
これを今泉説で見ると「:||:||」=兌為沢となり、私の説では「|||::|」=天雷无妄となるわけです(※易の原理通り下からコードを読む)。
見解が統一されていないために、これ以上の進展を阻んでしまっているというのが現状のような気がします。
個々ではそれなりに研究が進んでいるのかもしれませんが、それが広く研究対象になるまでには至っていない。(詳しい研究報告がどれほどあるのかも不明)
ただ単に、一般書や私論で発表された内容がそのまま紹介されているような感じになっており、紹介する人自身が研究を深めようと突っ込んでいるわけでもない。
こうした現状が続いている限り、実際的な意味で易が遺伝子研究に役立つことはなく、ただの思考遊戯に終止してしまう。
少し話は変わりますが、私自身が遺伝暗号表に興味を持ったのは、ポルタトーリという特異体質の人々がいる、という話題をTVで見たからです。
この人達は、一般に比べてコレステロールの分解能力が倍以上(3〜5倍)もあるため、動脈硬化や心臓病に罹りにくいと説明されていました。
通常、私たち(一般人)は、長く列なるDNAの中でCGC(アルギニン)という遺伝情報の一つを持っているそうなのですが、
このポルタトーリの方は(世界に38人とされている)、そのあるCGCの最初の一文字がTに突然変異して、TGC(システイン)という構造になっているそうなのです。
そういった不思議な現象が易学的に説明できないかと考えたのが私の興味の発端でした。(その当時、番組を見た時のメモが残っています)
このような特殊な事例だけでなく、今後の遺伝子研究にも具体的な形で役立てられるようになるには、どうしても専門家の助けが必要になります。
現実的には、仮に遺伝暗号表と易卦とが正確に対応付けられたとしても、門外漢のレベルではそこで止まってしまい、なかなか先に進めないからです。
結局のところ、易を学んでいる人の多くは遺伝子学者でもなければ、医者でもなく、まして生命科学や生化学、生物学などに詳しいわけでもありません。
そういった乏しい学識の中で易とDNAを結び付けようとするため、なかなか本質や核心に踏み込めないのです。
これは私にしても同様で、コドンとアミノ酸が1対1となっているケースでは調べたり考察することは比較的できるにしても、
それが複数に跨っているケースでは、どのように考えたらよいのか上手く把握できていません。
例えば、読み取りの開始信号となるATGは、同時にメチオニンというアミノ酸でもありますが、こういう1対1の関係であれば調査もしやすい。
でも、ロイシンのような1対6(※)にもなるような関係では、なかなかその内容の正当性を確かめるのは難しいわけです。
表の構成上、「そうなる」ことは分かるにしても、実際問題、性質の一致が判明しなければ、それが真に正しいとは立証できないのです。
これはロイシンだけでなく、他の多くのアミノ酸でも同様に1対多となっていますので、そこが複雑なところなわけです。
(※ロイシン:6つの内、Tを先頭とするものが2つ、Cを先頭とするものが4つ。一応、全てひっくるめてロイシンとされている)
コドンの組み合わせ自体は易卦の数と同じく64なのですが、そこに関係するアミノ酸の数は20種。必然、ダブりが出てきます。
こうした内容に関して、関連分野の科学に詳しくない者(私も含めて)は、それ以上突っ込んで論を進めていくことは難しい。
このことは「脳科学と易」にしても同様で、各分野の専門家と連携しない限り、一個人ではどうにもならないことなのです。
逆に言えば、生命科学や遺伝学などの専門家が易との関連に興味を持っても、易に精通している人間の助けがなくては精彩を欠くということでもあります。
確かに今は文理シナジーによって分野間の壁がなくなりつつあり、学問の無理な専門化・分極化は避けられるようにはなっています。
それでも、素人と玄人との差は歴然としていて、その知識の質や量、そして技術力は素人の及ぶところではないのも、また確かなことなのです。
素人同士の話は堂々巡りしているだけで内容が薄くてつまらないけども、専門家同士の話も門外漢には通じないことが多くていけない。
私はもう、この辺のもどかしさを嫌になるほど感じているので、どうにかできるものならばどうにかしたいのです、本当に。
せっかく重要な発見や法則が明らかにされたとしても、それが個別の狭い分野の中でしか話し合われないのだとしたら何とも寂しいことでしょう?
それぞれの分野間で共通した概念や現象でもあれば、両者を結び付けるのはそれほど難しくはありませんが、
それも初めだけの話で、そこからさらに奥に踏み込もうとすると、とたんに敷居が高くなってしまう。
これにはもちろん踏み込む側の学力や理解力にも影響を受けるので一概には言えないのですが、もう少し何とかならないものかと思ってしまいます。
もっと、それぞれの学問分野が全体として協働するような形にならないものか、・・・無駄かもしれないけれど、どうしても考えざるを得ません。
ここでは易から派生させて述べていますが、実際には、あらゆる学問分野で、そこに従事している人々が感じていることだろうと思います。
「自分が学んで(研究して)いることは、もっと多くの人に知られるべきだ」とか「これは普遍的な学問であるはずなのに・・・」という風に。
まさに、そういう想いを持つ者達が協力して、分野間の誤解や隔壁を取り除いてゆく必要があるだろうと考えます。
今や、狭い領域に押し込められてしまっている我が身を嘆いてばかりも居られません。
個々が生きつつ、かつ全体として機能するネットワーク・システムを構築しなくてはならないと思います。
人間の脳もインターネットのようなネットワーク構造によって上手く機能しているわけで、
これと同じように、各学問分野も網の目のように手を取り合って協力していくのが本来の姿ではないかと思うのです。
いえ、学問という枠組みにとらわれず、芸術やスポーツ、徳育や遊び、普段の仕事、趣味などとも繋がり合うものが必ず見出せるはずなのです。
それは時を選ばず、場所を選ばず、いつどんな時でもネットワークとして働き、ヒントやメッセージを送ってくれているものだからです。
けれど、そのことを私たちは忘れがちで、日常生活の中で瞬間的に気がつくことはあっても、そこに重要なメッセージがあることを見逃してしまう。
これはなんとも、もったいないことです。あるヒラメキや気づきが、人生を大きく好転させていくこともあるでしょう。
私は近頃、そうした「個と全体の協調と連動」とか「日常の中での重要なメッセージ」といったことに関心をもって過ごしています。
まだまだ私達は、自らの無限の可能性や発展性に目覚めていないのではないか、もっと潜在能力(底力)を発揮しなくちゃいけないんじゃないか、
――そんな風に考えています。
「何よりもまず競うことを最上と考え、その競争の規則をはっきり打ち出すため、
スポーツ同様せまく限られた専門分野に孤立してしまうようなことがあるならば、科学は亡びてしまうだろう。
自ら学問の放浪者となった少数の学者こそ、既成分野の知的健全さを保つうえで、なくてはならない存在である」(ベンワー・マンデルブロ)
上記の引用文は、「カオス〜新しい科学をつくる〜」(ジェイムズ・グリック=著/上田[目完]亮=監修,大貫昌子=訳/新潮文庫)からのものです。
この本は、カオスや複雑系という、ここ数十年の間に広まってきた新しい科学に対しての内容が書かれているのですが、
私からすると、これは科学書でありながら同時に易学書でもあるように感じられて仕方ありませんでした。(初めて読んだ時は、特にそう思った)
また、一度ザーッと読んだ時に、重要な主張であると思われるポイントに線を引いてあるので、時折、改めて手にとっては読み返しています。
まさか著者が易を意識して書いたとは思いませんが、それぐらい易の原理や概念と似通った内容が記されている気がします。
もっとも、この本は一般読者も読めるように書かれた導入本(入門書かつ科学の歴史書)であるので専門的過ぎる話は出てきませんが、
その分、それほど科学や物理や数学などに詳しくない人でも、楽しく親しみをもって読んでいけるのではないかと思います。
本書の序章に、次のような一文があります。
「カオスは科学の各分野のなわ張りを越え、科学全般にかかわりをもつ。カオスとは様々な体系を網羅する普遍的な科学だけに、
それまで遠く離れて孤立していた各種専門分野の思想家たちを、一つの共通の場に集めることになった。」
是非とも易も、生命全般に関わりをもつ普遍的な体系として一般認識が改正されて欲しいものです。
== 追記:17日 ==
2006年7月17日付けの中日新聞の3ページ目に「心筋梗塞と関連遺伝子また発見」という題のコラムがありました。
見出しとして「配列一つ違うと発症1.5倍」とあります。引用します。
「塩基配列が一つ違うだけで、心筋梗塞が約1.5倍発症しやすくなる遺伝子を理化学研究所の田中敏博チームリーダーらが発見、16日付の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に発表した。田中さんらは、これまで心筋梗塞に関連する遺伝子を2つ見つけており、今回で3つ目。3つすべてが危険性を高める型である場合には、約3.5倍も発症しやすくなるという。同じ遺伝子でも、人によってその塩基配列がわずかに違う「多型」と呼ばれる部分がある。田中さんらは、心筋梗塞に血管の炎症が関与していることに着目し、炎症に関わるプロテアソームというタンパク質を作る遺伝子の多型を調べた。大阪大病院の協力で、心筋梗塞の患者約2600人と健常者約2900人を比べると、プロテアソームの一部をなすタンパク質を作る「PSMA6」という遺伝子で特定の塩基配列が違う人が患者には約12%、健常者には約9%いた。発症比率を計算すると、この多型を持つ人は約1.5倍危険性が高かった。配列が違うとPSMA6の作るタンパク質が増え、それが引き金になって炎症を促進する物質も増加、心筋梗塞が発症しやすくなるとみられる。」(2006/07/17付 中日新聞より)
基本的に素人の私には追いつかない内容なのですが、こういう実用的なレベルにまで易が役に立つのか現段階では全く分かりません。
この記事を見て改めて思ったのは、「やはり易卦とコドンとの対応が取れそうだという程度のことで満足しているようじゃダメだ」ということでした。
私自身も、もっと興味を持って勉強しなくては。