*方位で易を学ぶ


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2014-03-30 16:33:49 | 易 de コラム

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☆ 追記 2014/04/6 ☆

関連記事を書きました。 → 「方位で易を学ぶ」の補足

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しばらく占い関連の記事を書いていなかったので、今日は易の話をしようと思います。

大まかに言って、易というのは「この世のありとあらゆる物事の変転の様子」を表したものです。例えば、状態変化とか質的転換という現象がありますが、そうした事柄の基礎的な理屈と考えたらいいかもしれません。日常生活に置き換えると、ある人の考え方・感情・行動のちょっとした機微、そのタイミングでさえも、その人の在り方を変化させていく要因になっている、ということです。

易には全てが包含された無極としての虚空(Void)に始まり、陰陽原理の始原となる太極、そして陰陽から生まれた八卦や六十四卦といった派生があります。それらは既に多くの書籍やブログ、ホームページなどで解説されていますので、ここで細かな内容については取り上げません。必要な基礎などはご自身で学んでいただきたいと思います。今日の僕の趣旨は、この易を日常にどのように応用していくか、ということにあります。

占いとして易を用いる場合、古来から行われているような方法で卦(か、または、け)を得ることはもちろん今でもされていますし、サイコロやコイン、時計を使った方法で占ったりする場合もあります。それらは人それぞれ得意な方法論で占うわけですが、この記事では普段の行動の中で易を考えるという意味で「八卦による方位学(※)」を紹介します。また、その補助として風水で用いられる手法も合わせて取り上げます。

※方位“学”なのか方位“術”なのかは定義の問題だと思うので、ここでは特にこだわらずに進めます。

最初に、昔から使われてきた方法である旧暦(今の新暦に対する呼び方で、実際には太陰太陽暦)の年月日時から易卦を求めます。これは、ごく簡単な計算で出せます。

その計算方法については以下のページで解説しているので、そちらを参照して欲しいのですが、旧暦の生年月日さえ調べられたら同ページにある一括表から探すこともできます。(新暦を旧暦に変換してくれるサイトやアプリ(ソフト)も幾つかありますので、使いやすいものを探してみてください)

I Ching 〜旧暦年月日時による本卦(時間易) 一覧表〜
http://ciarchives.nemachinotsuki.com/i-ching_honka.html

ここでは、既に易卦(時間易)が求められているという前提で話を進めます。

まず、易には先天八卦と後天八卦というものがあります。この二つには色々と哲学的な話や占術上の解釈があるのですが、ここでは、元になる数字とそれに対応する易卦、そして意味合い(現実の事柄=占い用語では象意と言います)や応用、という程度に覚えておいて下さい。

小難しい話はともかく、今この時点での旧暦の日時から易卦を出し、それを例題に使い方を説明していきます。

現在は2014年3月30日で、時間は13時半です。東洋占術の時間の区切りでは、この時間帯は未の時刻に当たります。
旧暦日は甲午(7)年の2月30日ですので、上記リンク先の計算から7が出て艮卦の日だとわかります。これが上卦。
そして時刻の未を合わせて計算すると、下卦にも艮卦が出ます。すると、上下を重ねて艮為山という易卦が求められます。
(一覧表では、7・2・30と未の交点に書かれている易卦を見ます。艮為山[五]と書かれています。) 

もっとも、この方位学では、生年月日のみで求められる「日卦」と時間まで考慮して求める「時卦」は別々に使います。
(アイデア次第では、別の方法論で六十四卦そのものを使ったやり方を考案することもできるかもしれませんね) 

さて、こうして求めた先天易卦を、今度は方位学用に後天易卦と組み合わせます。
ただ、そのためには、まず以下の後天八卦の配置を頭に入れておかなくてはなりません。

南東
巽(風)


離(火)

南西
坤(地)


震(雷)

中心

西
兌(沢)

北東
艮(山)


坎(水)

北西
乾(天)


そして、使用する方位(空間)と、その時のタイミング(時間)とが交差&融合する際の意味合いを取り出すのです。易の知識がある方は、ここで出てきた卦から方位現象を考えることができると思います。

今日は艮の日ですから、例えば南の方向に遠出した場合、南の離(火)と艮(山)とが混ざり合います。易卦では火山旅と山火賁です。厳密にはその二つの作用が考えられるわけですが、スペースの都合で下記の表では用いる方位を上卦に置き、そのタイミングでの日または時を下卦に置いた易卦のみを書いています。(今の例では火山旅)

ここでは判断の参考として下記のサイト様を紹介しておきます。まずは、サクッと読めるところ。
http://uranai.diet104.info/index.html

もっとしっかり読みたい場合に。
http://www.maria-fortune.com/

それぞれTOPページをリンクしていますので、六十四卦の解説ページを辿ってください。

また、ご存知の方も少なくないと思いますが、下表には易卦のほかに風水で用いられる手法も取り入れています。それぞれ出し方は難しくないので、旧暦さえ分かれば後は全て頭の中で暗算式に求めることができるのですが、ここでは便宜を図って結果のみ記しています。

「生気」「煞(殺)気」など、その字面から何となく良し悪しが分かると思いますが、気になる方は風水系のサイトなどを調べてみてください。
ここでは次のサイト様を紹介しておきます。そこに出ている用語を使えば、さらに多くの情報源に当たれるでしょう。
http://homepage1.nifty.com/PUREPRIZE/script/h_s_kaisetu.htm

また、色分けしてありますが、これは易卦以外の二要素の吉凶(良し悪し)を大雑把にとらえたものです。
本来はそんな単純には言えないものですが、あえてするなら、という感じでの分類です。

吉     : オレンジ
吉凶半々 : グリーン
凶(不吉) : ブルー

細かいことを考えずに、パパッと使いたいという人は、この色分けを一つの指標にしてもいいかと思います。
「とりあえずブルーでなければよし」という程度で。ただし繰り返しますが、この色分けでは易の意味を考慮していません。



一応、例を挙げると、坎卦の表の東は「天医・煞気・雷水解」となっています。(易卦としてはもう一つ、水雷屯も別にあると考えます)。
つまり、この坎卦のタイミングで東の方位を利用した場合、これらの意味合いや現象が混合して、または時間的経過を追って現れてくる、と予想できるわけです。

易卦の雷水解は、一般的には何かを「解消」するような場面に出くわすことが多いとされます。そして、裏面には水雷屯の「物事の始めの難事」という意味があります。また、天医には「苦労転じて喜びへ」という流れがあるため、行動当初に現れる煞気(殺気)による悩みやストレス、苦しさ(=水雷屯)が、次第に天医によって癒されていく(=雷水解)という状況が一つ考えられるでしょう。

もっとも、こうした状況はワンパターンではないので、それぞれの人の置かれた境遇や環境、性格、状態などによって象意の現れ方にはバリエーションが出ます。それらの見立ては“可能性”であって、固定的な見方がいつも通用するわけではないからです。

*方位の捉え方に関して

気学や家相、風水、奇門遁甲、金函玉鏡など、方位を扱う占術は幾つもありますが、数々の書籍や個人によって異なる見方が示されています。グーグル先生に尋ねてみても色々なサイトで別の意見が見つかると思います。昔から議論されているにも関わらず今も意見の一致を見ていないということは、どの方法にしても根本的に方位の取り方に不備があるか、地図にも色々な描き方があるように方法論によって使い分けが必要なのか、あるいは、どれを信じるかという使う人の信念体系それ自体に影響を受けているのか、理由は色々と考えられます。

ともかく、ここでは分かりやすさを優先しているので、単純に八分割、つまり各45度の方位区分でまずは考えてみて下さい。いずれの説にしても、方位の中心(真北・真南・真東・真西)に近いところほど、その影響がハッキリと出やすいという部分は一致しているようですから、宿泊旅行などを計画されるのであれば、方位の境界領域の旅館や目的地よりも、なるべく方位の中心に近いところを選んだほうが無難ではあるでしょう

*日時盤に関して

先ほど日卦である艮を使って説明をしましたが、日の方位が悪いとは言っても、どうしてもその日には行かなくちゃならないんだ、ということもあると思います。そのための方法論の一つとして、「方違え」(予め目的地に対して別の方向に移り、そこを起点としてアプローチする)という手法が古来から使われています。

でも、そんな面倒でお金のかかることは無理です!という場合は、次善の策として、時卦(火山旅の日時なら下卦の艮)の盤も合わせて考慮し、その中で吉意のあるタイミングで出かければ、その分、気持ちは穏やかになったり、凶意は和らぐでしょう。もっとも、それによって日盤の影響力が解除されたり完全に相殺されるわけではないでしょうから、気を引き締めて油断しないことです。また、体調が悪くなったりした時は、無理せずに休憩をこまめに取るなど機転を利かせましょう。

占術上の時刻は、十二支によって二時間単位で区切られています。注意点としては、一日の始まりである子(ね)時は0時ではなく23時が境目となっていることです。この他、場所や時期による時差がありますが、ここでは下記のリンクで日本標準時との時差を調べるとよいかと思います。各都道府県のページを見ると、かなり細かな地名まで出ています。
http://www6.ocn.ne.jp/~gero3p/files/jisa/maesetu.html 

*効果・影響に関して

人間は物質的な面では他人とは明確に隔てられている存在ですが、意識の上では家族や友達など縁の強い人達を中心に集合的につながっています。なので、旅行などで方位をとっている(行動術をしている)本人に対してのみに効果や影響が出るとは限らないことも覚えておいて下さい。これには幾つかのタイプがあります。

実際に行動している本人の身だけに何かが起きる場合もあれば、本人が帰宅後に親類等に影響が顕著に出る場合もあります。また、本人・家族(親しい友人)共々、その影響力を受ける場合もあります。人の意識や縁というのは不思議なもので、いわゆるシンクロ的に事が起こり、波紋が広がります。そうした理由から、自分自身のことだけでなく、周りの人への影響をも考慮して動くことが大切です。

通常は、実生活の中での距離感が近いほど影響が及ぶ力も強くなると見ます。ですので、例えば家族の中に何らかの不安要素があるとか、既に身近な人との関係で小さな亀裂が生じているような時に遠出するようなことがあれば、できるだけ凶意(脅威?)が明らかな方位は避けたいところです。もっと言えば、吉意のあるタイミングで動くようにできたら、そこから関係(状況)好転の材料が見つかるかもしれません。

とはいえ、この方位を使ったからこうなったという考え方は、あまりいいものではないだろうと僕は思っています。人は、何らかの行動をする前やしている時、そこでの考え方や心理状態、そして実際の態度(動き)によって、吉凶の種を自ら蒔いていると思うからです。方位の意味というのは、そうした自分自身(や自分と深くつながっている相手)の内的な状態が反映されて出てきていると、僕は感じています。

ごくごく単純に言えば、自分達で蒔いた“現実創造”という名の種を育て、そして収穫している、ということです。このことを念頭に置くことで、方位学に対する考え方も変わってくるのではないかと思います。あるいは、運命学全般に関してもそうかもしれません。

終わりに。

方位学には様々な種類があるので、ここで紹介した方法論も、そうしたものの一つと受け止めていただけたらいいかなと思っています。今既に気学や奇門遁甲を知っている人であれば、実験的に併用してみてもいいかもしれません。とりあえず、気楽に使っていただいて、それが役立ってくれたら嬉しいです。




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