*易占の掌法


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※過去記事より転載。誤字脱字のみ修正。
なお、辻占の独自手法に関しては、サイコロやコイン、時計、算木、筮竹(・・・を持ち歩いている人は、あまりいないでしょうけど)などを携帯していない、および心易が思い浮かばない時の便法として考えてください。なるべくなら、きちんとした方法で行ったほうが良いので。


’05/12/11(Sat) 易の掌法(ファイン・ツール法)

先日、六壬掌訣(小六壬)を取り上げましたが、それに関連して今回は易の掌法です。
私が「辻占」を求められた時によく行う占い方を紹介しますね。
とっても簡単ですから、すぐに覚えられますよ。
(・・・もっとも“原理的には”という意味ですが。そもそも易に慣れていないとできませんので)。

まず、左手を出して、人差し指・中指・薬指の三指だけを伸ばし、小指は曲げて親指で抑えます。
要するに、一般的に「3」を表す時にする指の形です。

その状態で、三指にある関節を区切りとして八卦九宮を見立て、占いのベースとします。
(※人指:人差し指の略)

人指

中指

薬指

中宮

これは先天八卦の図ですが、別に後天八卦でも構いません。
大事なのは、占者自身の中での定義であって、どういう配置であろうと基本的には問いません。

さて、左手の三本の指を立てた状態のまま、それを占って欲しい人に示し、
それぞれの関節に区切られた“9つの空間”があることを説明し、よく認識してもらいます。

次に、占って欲しいその人自身に、“占いたいことを念じながら”その人の指先で二回、
直感的に、占者が立てた三本の指の間にある9つの空間(=九宮)のどれかに触れてもらうのです。
「ここ、と・・・」「――ここ」という感じにです。

※この時、焦るあまり速くやり過ぎないように、気持ちを落ち着かせる間を持ちましょう。
それから、指差しの位置指定は正確に行ってもらうように予め伝えておきましょう。占断は基本的に“あいまいさ”を嫌います。
そうしたことで相手の気分も占事に集中しやすくなりますし、また占者が誤診をすることもなくなります。

それで、この例の場合では先天八卦ですので、私は一回目に触れた場所を上卦(外卦)とし、
二回目に触れた場所を下卦として、いつも判断しています。(これは私の中での定義です)
たとえば、はじめに離の場所に触れ、次に坤の場所に触れたら、火地晋となるわけです。

また、先天八卦の場合、太極である中宮の部分が空いていますので、
この部分を触れた場合、(それが一回目であろうと二回目であろうと)八純卦になります。

それと、もし中宮を二回とも選んだ時は、それは「空亡」として判断します。
その場合、「質問自体に効力がない」とか「心配には及ばない」という感じです。
ただ、そもそも中宮を二回選ぶような人は、大概真剣にやっていません。遊び気分です。
こういったことも影響して、質問自体に真剣さがなく、占う意味がないという風にも解せます。

例えば「これから恋人ができるか?」とか「仕事運が良くなるか?」といった問いで空亡となれば、
原則的には、「残念ながら、それは希望的観測(空しい期待)のようです」とか、
より肯定的に考えて「あるいは、努力しだいでは・・・」というような返答になります。

また、易卦の場合には変爻がありますので、これも大切な判断要素です。
これについても、同様に指差しをしていただいて決めます。

人指

中指

薬指

 

 

 

あるいは剣指(人差し指と中指だけを伸ばし、あとは握る形)を作って、

人指

中指

その中から一つを選んでいただくわけです。

先にも書いたように、大事なのは占者自身の定義ですので、見立て方は問いません。
ただ単に、相手が6つの空間の中から一つを選べれば必要は満たせます。
(一応、二番目のほうが相手にとっては分かりやすいでしょう)

この時に選んでもらった部分を動爻とし、先の易卦と合わせて判断することになります。
たとえば、本卦が火地晋で、次に相手が人差し指の先を選んだ場合、火地晋の三爻変というわけです。
とっても簡単な占い方でしょ。

この占術のポイントは、占う人自身に占いの作業に参加してもらう点です。
――いわゆる参画型占法ですね。心易では、そういうことがよく行われます。

占いの結果とその責任は、本来的にその人自身にあるということを認識させることが、一番の目的です。
占者は基本的に、技術的な媒介者に過ぎません。相手を陽とし、占者を陰とし、その交接を基にする。
そのため、こうした辻占をしている時は、相手にとっての“良い道具”になろうと心掛けることが大切になります。
このことから、私はこういった参画型占法を、良い道具つまり“ファイン・ツール法”と自分の中では呼んでいます。

・・・なお、お分かりかと思いますが、一応申し添えておくと、
ここで紹介した方法は、その原理を相手に説明してはいけませんよ。

そんなことをすると、相手が作為的に選んでしまうことにもなりますからね。
また、易や占いについての知識がある人には、なんとなく読めてしまいますから、
設定(定義)の仕方を変えるなど、パターンを幾つか用意しておくのも良いかと思います。

こういった即時占法の場合、大勢の人を相手にしなくてはならない時には都合が良いです。
というより、いちいち占星術や遁甲や六壬などの大層な占術を持ち出すのは手間がかかりますから、
「私も占って!」的に後が控えている経験をしたことがある人は、必ず即時占法を備えているはずです。

いざという時のために役立ちますから、ここに挙げた内容などを参考に、
自分なりの即時占法を創始していただきたいなと思います。
(もちろん、私の方法を気に入って下されば、それを使っていただいても、それはそれで嬉しいことですが)


次に、その応用・・・というほどでもありませんが、
この指の形を使えば、そのまま時間立卦の算出法(※変爻は除く)になります。

たとえば、今の時間立卦を算出すると、乙酉年11月10日子の刻で山地剥の六二です。
この「山地剥」という本卦の部分を指の操作から導くことができます。
(もっとも、こんなのは頭の中で計算したほうが圧倒的に速かったりするので、もっぱら確認のためになるでしょうけど・・・)

人指

中指

薬指

兌2

乾1

巽5

離3

坎6

震4

坤8

艮7

まず、先程のように、人差し指・中指・薬指の三指を使って先天八卦を見立てますが、
今回は、数える時に親指の先を順々に当てながら行います。
(まあ、できる人はイメージ法でされても構いませんが)

先天八卦には、乾兌離震巽坎艮坤の順に、12345678と割り当てられていますから、
そのまま単純に考えていきます。例に沿って見てみましょう。

まず、現在は乙酉年ですから、酉は10です。

十二支

対応数

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12


乾が1ですから中指の先。そこから数え始めて8で坤、それからまた乾に戻って9、すると10は兌です。
(※中宮には数はありませんから、坤から乾に飛びます)

次に月です。
今は旧暦の11月ですから順に11数えるわけですが、
注意点として、小六壬のように留まった場所と同じ地点を1とせずに、次の宮を1とします。
つまり、この場合では、兌の次の離を月の起点(1)とするわけです。

そこで人差し指の中腹(離)に親指の先を置いて順次進めていくと、11で薬指の先に留まりますね。
(実際に指を送って確認してみましょう)

そして、次は日です。日の場合も月と同様に、一つ先の宮を起点にします。
このケースでは薬指の先の巽に現在いますから、その次の坎を起点とします。
そして、坎を1として10まで歩を進めます。

すると、薬指の下、艮の位置に辿り着いたと思います。
これが上卦になります。
(何も驚くには当たりませんよ。ただ私たちは数を順々に数えたに過ぎません)

そして最後は下卦です。

これも、それまでと同様に、さらに時支の数だけ指を送っていきます。
このケースでは子の刻で1ですから、今いる場所の次の宮が下卦です。
そうすると坤宮ですから、これで山地剥が導けたことになります。
もし、これが丑の刻ならば2つ指送りして乾に着きますから、本卦は山天大畜となります。

――意外に簡単ですよね。

なお、先程から何度も触れていますが、この場合の先天八卦の数の配置の仕方も、
単にどう考えるかを占者がきちんと定義すれば良く、別に違う配置でも同じ答えが出てきます。
自分自身のやりやすい方法、覚えやすい方法を探してみて下さいね。

・・・まぁ、これはオマケみたいなものでした。
何かの役に立てば嬉しく思います。


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