*易と健康(I Ching & Health)


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2011年8月29日 再掲載

2002年〜2003年頃に書いていた「易と健康」に関する原稿を以下に掲載します。
読み返してみると断定的な表現になっており、あまり自分らしくない書き方をしていますが、良ければ参考にしていただければと思います。

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●易と健康 ver.1.0

【はじめに】

あらゆる病気を心因的な観点から捉えると、まず自分自身に対する貧弱な心的姿勢が挙げられます。
これは根源的な意味で、自分の身心に対して否定的な影響をもたらしています。

次に、自分を抑圧しストレスを生起させる(と自分が見なしている)人に対する発散されずに蓄積されたネガティブな想念――
つまり、周囲の環境に対する抑圧的な感情です。例えば、他者に対する敵愾心・悪意・嫌悪・憤慨・怨恨・嫉妬といった悪感情がそうです。
これらのネガティブな心的姿勢や感情のコントロールに問題が生じることで、時を経て肉体的な病気として発現するようになると考えています。

ここでは、八卦九宮&六十四卦の“健康”に関する象意を取り上げています。
易占などで導かれた卦を判断する際の参考にしていただければ幸いです。

卦の解説の中には、――全てではありませんが、予測される症状を引き起こす因子となる心理状態も併せて書いています。
これにはルイーズ・L・ヘイさんの著作「ライフ・ヒーリング」に負うところが多く、素晴らしい本を著して下さったことに感謝しています。

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<八卦九宮と身体的病気・怪我>

【乾】
人命の中枢に関わる病気や怪我、頭や顔・首の疾病及び怪我、心臓病、動脈硬化や血栓、高血圧、頭痛、脳溢血や脳梗塞、むち打ち、めまい、治療が難しい大病、背骨や脊椎に関する疾病、熱性や神経系の病、熱射病、発汗症、むくみ、高熱、便秘、暴飲暴食、摂食障害や栄養障害、逆上、熱っぽさから来る食欲衰退、精神病、変化の激しい病気、伝染病、交通事故、骨折

【兌】
中傷や悪口が原因の口腔疾患(口内炎など)、舌や喉の異常、食べ過ぎや飲みすぎ、味覚障害、糖尿病、虫歯や歯痛、癌などの蝕んだり侵食する種類の細胞、頬や顎の怪我、創傷、婦人病(生理不順)、怠惰、大腸疾患(大便が固い)、神経衰弱、肺部及び呼吸器疾患、浅い呼吸、咳、肌の乾燥、憂悶、悲嘆に繰れる、エイズなどの性病

【離】
眼病(充血、近視や遠視、乱視、色盲、盲目)、心臓病(動悸)、高血圧、脳溢血、日射病、火傷、舌の異常、小腸疾患、頭痛、精神錯乱、意識蒙昧、めまい、記憶力減退、高熱、赤ら顔、口の乾きや荒れ、イライラ、精神不安、発熱、多汗、発汗症、小便の出が少ない、声枯れ、不眠症、便秘症、熱による食欲不振、病状が定まらず激しいもの、突発的な病気、精神疲労、人命の中枢に関る病気

【震】
肝臓疾患、肝臓、胆嚢、アルコール中毒、黄疸、脚の怪我や病気、神経系の機能異常(神経痛)、けいれん、ショック症状、精神異常、ヒステリー症、怒りや警戒心による癇癪、逆上、不安や心配による恐怖症、狂気や発狂、毛髪の屹立(怒髪天を突く)、脚気、どもり、咳、くしゃみ、リウマチ、打ち身、咽頭の疾病、火炎や感電の事故、短気や軽率が原因の事故や怪我、打撲傷、潜んでいた病気の発現

【巽】
呼吸器など空気の通り道の疾患、風邪などの伝染病、喘息、内臓疾患、食道や腸の病気(大腸や小腸など)、毛髪の脱色や抜け毛、埃やウイルスなどの異物に敏感(潔癖症)、骨が脆くなる病気(骨粗鬆症)、気管支や食道の疾患、神経系統の病、股間の病気、臀部の怪我、屁が多い、潜熱、わきが、メランコリー、空想夢想、中風、進退を繰り返す病気、寄生虫、病と闘う気力の乏しさ、痛風(神経痛)、麻痺やしびれ、かゆみ、じんましん、筋肉の突っ張り

【坎】
腎臓病、肛門(痔)、婦人病、子宮や卵巣の病気、月経異常、膀胱や尿道の疾病、血液(動脈、静脈)、膿血、吹き出物、水腫、血塊、性器、糖尿病、耳や鼻の痛み、鼻水、性病、血行不順、冷え性、凍傷、水中り、アルコール中毒、薬の副作用、シンナーや麻薬、食毒、精神衰弱、疲労、極度のストレス、下痢、小便の量が多い、下血、腎虚、気力や精力消耗、冷えに起因した病気、風邪、悪性の感染病、流産、死産、不安や恐怖心、乗り物酔い、気分の悪さ(自分自身のコントロールが出来ない不安や恐れが原因)

【艮】
背中の痛みや腰痛、肘や膝などの関節痛、関節炎、リュウマチ、手足の指の怪我や骨折、血行不順、気苦労や憂鬱感に起因する病気、肩こり、こぶ、打撲傷、腫れ物、全身硬直、けいれん、半身不随、小児麻痺などの麻痺症状、停滞して頑固な症状、慢性疲労、息苦しさ、体の硬さ、食滞、食欲不振、便が水っぽい、湿疹、長引いて次第に衰弱していく病気、季節の変化による体調不良、特定の季節にだけ起こる病、花粉症、しもやけ、体のだるさ、胸の詰まり、鼻カタル、鼻の腫れや鼻詰まり、蓄膿症、インポテンツ、肋膜、虚弱、冷え性

【坤】
腹部や脾臓の病気、血肉、胃腸系や消化器系の疾患、胃潰瘍や胃がん、胃けいれん、胃酸過多などによる消化不良、胃がチャポチャポする、食欲不振、腹膜炎、胃下垂、空腹感や満腹感、肥満症、過労、下痢、嘔吐、下血、腸チフス、皮膚病(アトピー性皮膚炎)、無気力な虚脱感、気苦労、不眠症、慢性疲労、長引く病気、虚弱や疲労体質、冷えによる病気、血行不順、肩こり、健忘症、陰鬱

【中】
五臓六腑(肝心脾肺腎など)すべてに対する活力の源。生命を維持する中心的エネルギー。活動に必要な意志を司る。そのため、これが弱まると生命の根本的な面での虚弱や危険が付きまとう。末期症状の癌などが典型。また、人生に対して消極的になり、腐敗しがちな生活を送りやすくなる。逆に、強まりすぎると、暴虐な態度を取るようになったり、気力が先行して活動過多になる傾向。

[八純卦について]

八純卦を“体質及び病気の原因”にもつ人は、虚弱であったり、病気がちな傾向があります。
特に、重病者で病勢の進んでいる時、八純卦を得ると直下的に影響が降りてくるため、生命の危険が高まることがあります。
また帰魂、遊魂卦、墳墓の卦の時も、同様に危ない状態になりやすいとされています。

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<六十四卦と病気・怪我>

【1.乾為天】
慢性的な頭痛や神経系統の病気、または伝染病などを患いやすい。重病者は急変して危険となる場合があり、大病院や専門医などの名医を選ぶことが大切となる。痛風(支配欲や短気、怒りが原因)。リンパ障害(人生の本質へ立ち返るように警告されている)。怪我や交通事故を起こしやすい卦でもある。病状に診立ての甘さが出やすいので、素人判断は禁物。心臓や肺などに持病をもつ人は、自分の体力や健康を過信しないこと。調子に乗り過ぎると大怪我や大病を患う危険性がある。程度によっては、身体付随になりかねないので注意を要する。心臓の障害は、緊張やストレス、強引さ、情緒不安定、冷酷な心、愛や喜びを持たない(人間味が足りない)、利己的に財や地位を求める野心などから生じる(この感情は癌とも結び付いている)。

【2.坤為地】
普段日に当らない生活をしている人が急に炎天下の元に長くいると頭痛や頭の膨張感を覚えやすい(熱射病や日射病)。胃腸などの消化器系統に不安が起こったり、元気虚損が原因で病状が長引いたり気力が衰えていきやすい。胃は新しい考えを消化する部位であり、必要以上に古い考えや固定観念に固執すると障害を招くことになる。ただし軽症その他、胃腸病など病根が消えて平癒する場合もあるので、病人の状態を良く把握することが大切。病状がはっきりせず、そのために治療がままならずに慢性化する傾向がある。自分では気がつかない内に患っている可能性もある。毎日の食事に気を配り、飲み過ぎや食べ過ぎは控えること。また、髪が抜けたり白髪が増える、シワが深くなるなどの老化現象が目立つこともある。幼少期のような守られて安全な生活に戻りたい心理(構って貰いたいなど)。

【3.水雷屯】
足の病気や胸部(心臓など)の病気、血行不順や排泄系統の異常、腎臓病、婦人科系の病、冷えに起因する病気など、いずれも初期で急変はなくとも、長引いて苛立ち苦しみやすい。治療法を検討すると良い。精神不安や恐れ、肩凝りやむくみ、膝に水が溜まるなど。症状は軽くても慢性化すると厄介な病気になりかねないので、異常を感じたら早目に治療すること。

【4.山水蒙】
胃腸病、血行不順、貧血、内部出血、神経症、アルツハイマー(物忘れや記憶力の低下など)、特に、肺や気管支などの呼吸器系の病気に注意すること。風邪をこじらせて肺炎を患う恐れもある。その他、病名不明なものなど全て長引くことが多い。病状は曖昧で一進一退。はっきりしないので、どうも仕事にも全力に取り組めないということになりやすい。精神的な悩みが昂じて鬱病や心身症になる恐れもある。

【5.水天需】
遊魂卦。飲食を原因とした糖尿病、食中りや酒毒に罹りやすい。胃腸病(腸は不用物を外に出す作用がある。胃腸の疾患は、過去や固執した考えに対する囚われが原因)、腎臓病、神経系統の病気、中風など治療に時間を要する病気。しかも軽いものを除いて、長引いて根治にまで至らないことがある。思ったより症状が重くなり、次第に悪化して治りにくい。肺や心臓など胸部の病気の場合は、長患いになると危険性が高い。また、以前患った病気が再発すると治りにくいので注意を要する。いずれにせよ、根気を持って養生に努めることが肝心。

【6.天水訟】
遊魂卦。逆上や神経痛、自律神経失調症(コミュニケーションの不調)、血行不順、動脈硬化、肺や心臓に関係した難病。腎臓病など排泄系統の病気。耳病(言い争い、聞きたくない言葉に対する嫌悪が原因)。また素人判断や医師の誤診、薬が合わないことまでを含めて、治療法が見つからない場合もある。もう一度、名医に見て貰ったほうが良いこともあるだろう。盲腸などの手術にも危険が伴いやすい。長引くと快癒は難しい。以前患った病気が再発すると治りにくいので注意が必要である。

【7.地水師】
帰魂・墳墓卦。流行性の消化器系統の疾患、手術を要する潰瘍や癌など。放って置くと痛みがどんどん強くなり、危険な状態に陥りやすい。湿疹(敵意や感情の爆発が原因)や食中毒にも注意が必要。精気の虚脱や脱水症状を伴ったもの、その他すべて病勢が激しく重病人は危険となる。異常を感じたら、一刻も早く病院を訪ねて検査して貰ったほうが良い。

【8.水地比】
帰魂卦。胃腸系統や肺結核、心臓病、肺癌など治療が長引きやすい。特に重病者は次第に体力・気力が衰えていきやすい。体力と気力の低下は活力と仕事能力を奪うので、普段から食事に気を配り、適度な運動をして健康増進を図ったほうが良いだろう。そうすれば平常は健康を維持できる。

【9.風天小畜】
日頃の疲労が溜まって、神経衰弱や神経痛(肋間神経痛など)、血行不順、血圧異常、風邪、肺結核(女性や他から来る恨みや復讐心が原因)、蓄膿症、膝の痛みなど、案外に長引いて回復しにくい病気に罹る傾向がある。ストレスを溜めやすい環境に生きる場合が多く、神経症の病気や消化不良、帯状疱疹(気を揉みながら待つ心理が原因)などの皮膚の弱さや汗腺の異常として表れやすい。軽症だと思って急変悪化させないように気をつけること。悪くすると悪性の腫瘍(癌)が出る恐れもある。特に腰から下に異常が出た場合は、躊躇せずに医者を訪ねること。抑圧的でネガティブな感情を蓄積させないことが大切。

【10.天沢履】
性病に罹りやすい。また肺や呼吸器の疾患にも注意。悪性の病気を恐れて不安がっているが、医師の注意を良く守ると案外に早く治るものが多い。かなり進行していても治る可能性はあるが、病状は急変しやすいので不用意な安心はできない。下半身の熱が逆上して全身に及び、厄介な状態になることもある。腰や足に痛みがある場合は、全身に回る前に早めの治療が求められる。

【11.地天泰】
通常は健康で病気知らずで過ごせるが、中年以降は気を付けたい。肥満対策が必要になるかも知れない。また、既に癌などで重病の場合は不治となりやすく、現在は小康を得ていても次第に悪化する傾向がある。初期であっても見かけよりも重いケースがあるので、発病の兆しを見たら、早目に検査を受けて対処しておくと良い。医師や周りの人の支えが助けとなり、希望を持って治療に専念していける特性がある。

【12.天地否】
墳墓卦。圧迫感や圧縮されるような状況での事故や怪我。身心共に不調で衰弱しやすく、普段から病気がちか、病気に十分注意する必要がある。憂鬱で悩みやすく、ノイローゼ気味。自律神経失調症や脳障害(身体のコントロールが取れない状態)。脳梗塞や心筋梗塞(血管が詰まる病気)。ヘルニア(自己表現の抑圧、関係の断絶、ストレス、孤独感が原因)。貧血や鉄分不足など血行不順に起因する病気、胸部疾患、消化排泄器官の不調(下痢または、塞がるという意味から便秘)など。薬効も乏しく、精神と肉体とが分離して安静を欠きやすい。墳墓の卦であるため、油断すると大病になりやすい。重病は危篤と見ることが多い。体調の変化に気を配っておくこと。ただし、長患いでないものは治る。よき友人やアドバイザーの支援を得て、楽しく生きられるようになると病気とは無縁になる。ペットを飼うことで痛みや病気に対する注意が逸れ、気が和らいだり快方に向かう可能性がある。

【13.天火同人】
帰魂卦。流行性の病気や感染病。高血圧に注意。また眼病や心臓病、肺病、高熱を伴う病気など激しいものが多い。肺病などの重病人は合併症のため危険だが、軽いものは平癒は早い。しかし注意を要する症状であることには変わりない。できる限り初期で食い止めて急変させないこと。飲み会などの酒の席では、タバコ・酒ともに飲み過ぎに気を付けなければならない。時に、友人が医者であったり、彼らの紹介や協力で良薬や名医に出会うケースがある。

【14.火天大有】
帰魂卦。若ければ体内の奥底から生気が漲って快癒するが、老人の場合は昇天と見る場合が多く、大往生を指す。熱の上昇が慢性化して頭の膨張感を覚えたり、高血圧症となりやすい。肺や心臓、伝染病など高熱を発するものが多く、脳溢血や高血圧に起因するものなど全てに危険性があり、薬効も乏しいとされる。油断できない危険な症状が多いと思われる。また、気の使い過ぎで精神疲労が出たり、忙しさから不摂生をしやすい。栄養バランスが偏重になりやすいので、体調管理はしっかりとしよう。若さに任せて身体に負担を掛け過ぎないように気をつけること。

【15.地山謙】
食事の不摂生が祟って胃腸など消化器系の病を生じることが多く、癌性の場合もあるかも知れない。あるいは、気力が弱って食事を受け付けない状態になる。前向きに療養に努め、少しずつでも栄養を摂取していくように心がけること。耳鳴り・難聴(アドバイスや忠言を拒否する姿勢が原因)。肥満や気力の衰えから生活習慣病を招きやすく、特に年配者は中風や神経痛に悩まされる。女性は子宮癌や性病に注意。病勢は緩慢だが見かけよりも重く、長引いて根治に時間が掛かるケースが多い。重病者は危険を伴うと思われる。また、打撲や捻挫・骨折の恐れもある。普段の節度ある食生活と適度な運動が助けになるだろう。

【16.雷地豫】
墳墓卦。ストレスや消化器系の疾患に注意。特に胃に負担が掛かりやすい。だが、気分転換を上手に活用することで自然治癒する可能性が高い。潜伏していたものが表れる場合があり、悪性でしかも根が深く危険である。それでも、手当てが早ければ平癒も早いと見る。長引いても養生すれば回復する見込みは十分ある。また、打見や腫れ物にも注意。

【17.沢雷随】
帰魂卦。肺系等の病気を初め心臓病など、生気が衰えやすい。長患いは危険で、重病者や老人の場合は死病とみることが多い。肝臓は強いが腰痛で悩んだり、筋系統の病気で手足の不随に苦しむなど。次第に病勢が進んでいくため、早期発見・早期治療が肝心。季節や運気の変わり目には特に用心が必要である。衝動的な行動が思わぬ悲運を招くことがあるので、大事な時には自己に対して冷静さを課さなければならない。

【18.山風蠱】
帰魂卦。風邪、伝染病、腫れ物に感染しやすく、また胃潰瘍や胃腸炎など内臓を知らず知らず痛めてしまう傾向がある。癌など病巣の転移が起こりやすく、病毒が前進を腐敗させていくような病気。壊疽。悪性の場合は回復が難しく、より悪化しやすいため、放って置いては手遅れになる危険性がある。素人判断で楽観視せずに、異常を感じたら早目に医者に見て貰うことが大切だろう。癌は貪欲さや過度の批判精神、傷痕、自己を蝕むような嫌悪感、人生に対する失望感、他人に対する深い怨恨などが原因で生じやすい。自他に対する愛し方や受け入れ方を見直し、心から過去を許して放免すると人生が開けていく。

【19.地沢臨】
通常は身心共に健康体。ただし女性は婦人病に注意する事(過保護や異常母性愛などが原因で胸の障害が出やすい)。いつの間にか炎症が出て悪化することもある。重病者は病勢昂進して精神不安定となり危険だが、それでも危機を脱した人や軽症の場合は陽気盛んとなり快癒は早いと見る。気力と望みを持って回復に向かう象。手術が必要な場合、本人の気力や体力を充実させたり希望を持たせるように周りがしっかりとバックアップしてあげる必要がある。

【20.風地観】
重病は元気虚損、体力消耗して危険を伴う。長引く病は凶。突発的な事故にも遭いやすい。だが、神仏の加護のような奇跡に救われたり、はからずも長命になることがある。往々にして精神的な安定を欠きやすく、軽症のようで案外病根が深いと思われる。身体の不調を侮らないことが肝心。食欲不振や肺病、無感動、不感症(快楽の拒否、セックスに対する否定的な見方が原因)、下痢や痔などに注意を要する。人生を信じて心を開くこと。

【21.火雷噬口盍】
暴飲暴食による胃腸障害、口腔及び歯の痛み、噛み合わせ異常。虫歯。蓄膿症。膝(プライドやエゴの象徴)や足首を痛めることがある。甲状腺異常、難聴や中耳炎。ポリオ(人の邪魔をしたくなる心理)。癌や腫れ物など、一般に頑固で緊急を要するものが多く、外科手術は避けられない状況になりやすい。治療しても上手く行かない場合は、医師や病院を変えてみるのも良い。胸の病気が腹膜や胸膜にも影響を及ぼすことがある。また治療中、一時的に腫れ物が出たり体調が悪化することがあるが、それが障害を克服する際の前兆である場合もあるので、病状の変化をよく観察すること。稀に、快く思わない人から意図的に治療を妨害されるような事が起きるかもしれない。神経衰弱や痛風など神経痛に罹る恐れもある(コミュニケーションの障害、または他人の生き方を妨害したり邪魔したりすることが原因)。

【22.山火賁】
外見を取り繕うために、あれやこれやと神経を使ってストレスが溜まりやすい。神経質症。気を張る一方で体力が落ちてきやすい。眼の障害(乱視)。内臓、特に便秘など胃腸障害に注意。癌。皮膚病や感覚器官の病気(個性に対する不安や恐れが原因)。恥ずかしくて隠したい病気が多く、放置すると諸病が併発したりして、いつの間にか難病になることも考えられる。体裁やスタイルなどを気にし過ぎて、健康や信頼を損なわないようにしたい。また、セックスに関する病状が出やすい卦でもある。

【23.山地剥】
衰弱が酷く、普段健康な人でも何日も寝込むことになりやすい。そのため、重病者は最悪の状態になる危険が高い。てんかんや脾臓の疾患(迫害意識や強迫観念が原因)。軽いと思っていても急変悪化する危険性があるので、調子を崩したと思ったら早目に受診すること。胃痛や胃炎(悲運だと思う心理が原因)、気力低減が元で食欲不振に陥りやすい。ストレスから来るキリキリとした痛みが出たり、胃潰瘍などに昂進する可能性がある。また、首を振っただけで頭がズキズキするような偏頭痛に苦しむこともある。状況的に追い詰められた状態になりやすく、現実離れした幻想に狂いやすい。仕事の忙しさに流されて痛みを市販の薬で誤魔化していると大事になりかねない。仕事を休んででも医師の検査を受け、しばらくは休養第一で過ごすこと。

【24.地雷復】
胃炎など胃に異常が起きる傾向があり、癌や腫れ物などの急病の再発にも気を付けること。入退院を繰り返すこともある。なるべくストレスを溜めないで、早めの治療を心掛けると良い。現在病気を患っている人は次第に回復への兆しが出てくるので、平癒への第一歩と見て油断せずに養生に努めること。対人関係で悪感情を持ったり、あからさまに嫌な顔をしたりしていると無用なストレスや病気を生むことになる。特に神経系の熱性の症状が出やすい。ヒステリックに感情を爆発させたり不用意に反発したりしないように、神経を鎮め良識と自制心を維持したい。第一に精神的な安定と落ち着きが求められる。

【25.天雷无妄】
熱性けいれん。気絶や失神(突然のショック)。原因不明の病気に悩まされたり、急な発作が襲ってくることもある。急激な腹痛や背骨の痛み。癌。リンパ障害。偏頭痛。不安や心配による不眠症。発疹や吹き出物。喉の腫れ(作為的になると生じる)。胸苦しくなりやすいが、規則正しく自然に任せて生活していれば大病はしない。現在、病気を患っている人は「薬なくして喜びあり」とも云われ、今まで通りの治療を続けるか、自然療法(自然治癒力)に任せて回復を待つのが、この卦の定石である。回復を見込んで無理をしたり、あれこれと薬を飲み過ぎたり、次々と医師を変えたりすると却って悪化する危険性がある。成り行きに任せ、余計な思慮や作為を挟まないほうが良い。手術が失敗しやすい卦であり、悪くすると一命を落としかねない。気分転換を上手に取って、不要な恐れやストレスを昇華することも大切。深呼吸してリラックス習慣をつけると良いだろう。

【26.山天大畜】
身体が不調なのに診察を延ばしていると余計に悪化する恐れがある。元気がなかなか出てこないため病状が長引きやすいが、根気よく体力と気力を養っていけば快癒して以前にも増して健康体になれるだろう。ただし、癌や腎臓病などの場合は、手術は不能で不治となりやすいとされる。皮膚病。その他、束縛された環境や霊感を乱暴に断ち切ろうとして、白血病やノイローゼ、鬱病などの精神病(奇病)に罹る恐れもある。いかにネガティブな感情を溜め込まずに克服するかが、健康の鍵を握っている(逆に言えばポジティブな感情を蓄積することで健康を維持できる)。適度な運動を日常に取り入れることで、慢性的で不快な頭痛や食欲不振がなくなるだろう。ウイルス性の心臓病。

【27.山雷頤】
遊魂卦。過食や拒食などの摂食障害になりやすく、食生活を見直す必要がある。専門家の指導を受けて、食に対する見識と精神的支柱となる教養を身に付けると良い。自己嫌悪が強く、生を否定したり愛情に餓えていると過食や拒食を招く。親の教育に対する反感やスリムに対する観念に振り回されないように心掛けること。日頃の疲れが原因で大病に繋がる恐れもあり、内臓、特に胃腸機能に負担を掛け過ぎないことが大切。暴飲暴食による胃炎や過剰なカロリー計算など心労も出やすい。虫歯(栄養障害で脆くなりやすい)や胸部の疾患(過保護や養育に対する観念、過度な母性愛が原因)。骨が固いものに当って痛む。何事にも極端になりがちで、完璧を求めるあまり自己に厳しく当り過ぎる傾向がある。肉体の栄養と同時進行で精神的な栄養も忘れてはならない。また二人の医師にかかっている象でもある。

【28.沢風大過】
遊魂卦。不養生や精神的な重圧感、日頃の疲労が蓄積して倒れがち。大病を患いやすく、手遅れになる恐れも高い。風邪に掛かりやすい(一度に多くの事が起きて戸惑ったり、精神的混乱が起こると発症する)。猫背になったり、背骨や脊椎が湾曲する(人生の重荷を背負ったり、絶望感が原因)。椎間板ヘルニア(人生の支えのない不安定な状態や優柔不断が原因)。重度の肩凝り。寝たきり老人や癌の末期、喘息(呼吸障害)、脳溢血で倒れたままなど、長く床に伏した後に棺に入る象がある(死亡葬式の卦とされる)。

【29.坎為水】
恐れや不安といった感情が元で、身心共に不調になりやすい。精神的な苦悩が身体に深刻な影響を及ぼす。病根既に深く、しかも二つ以上の病気が重なって治療困難な状態となることもある。手遅れになる可能性もあるので、体調に異常を感じたら速やかに病院へ行くなり自宅療養するなりして、悪化させないことが大切。なによりも精神的な心労や不安を取り除くことが先決となる。ストレスから来る抜け毛、腎臓病、下痢や痔(期限を恐れる心理)、難聴、糖尿病、冷えや凍傷、水難、アルコール中毒や薬害に注意。その他、睡眠不足や過労による具合の悪さ、吐き気、めまいや立ち眩みが起こりやすい。六淫の寒邪を代表する。

【30.離為火】
心臓病や眼病(物事を直視したくないという思いが原因)や熱性の激しい病気が多い。また精神昂揚による不眠症も多い。めまい(急に視界が開けたことによる混乱。飛躍した考えに対応できなかったり、思考が整理できないと生じる)。便秘。伝染病などは手当てさえ遅れなければ治癒するが、長患いの行方は心臓の強さ如何にかかっている。重病の時は危ない状況になりやすい。不要な悩みやトラブルがイライラを募らせ、身体に偏重を来たす傾向がある。六淫の火邪と暑邪を代表する。

【31.沢山咸】
風邪など流行性のものが多く、他より感染する伝染病に注意が必要(世間一般のマイナス思考に感化すると発症する)。急激な病のため、早期発見・早期治療が勝負となる。エイズなど、セックスに起因する感染病とも関係がある。首の痛みと病。神経系統の病気にも注意が必要だが、何よりも私生活に気を配る事が大切だろう。

【32.雷風恒】
通常は健康体だが、不用意な安心はできない。慢性で痼疾化した消化器系統の病気に注意が必要で、根治に時間が掛かる傾向がある。臓器全般の不調、特に癌などの場合は手術不能となることがある。療養は長期に亘りやすく、歳を経て再発する傾向がある。白内障や緑内障で視力が低下する事もあり、悪くすると失明の危険もある(自分の存在とその未来に対する恐れが原因)。また扁桃腺障害や気管支炎、肝臓病、痔、過労による病気にも注意。「風邪は万病の元」というが、酷くなって大病を呼び込むこともあるので養生はしっかりとすること。稀に臍の緒が首に巻きつくなどして仮死状態で生まれてくるケースがある(出産当時、両親間のトラブルや嫁姑問題などが原因で精神が不安的な状態にあったことを示す。結婚生活や家庭に何らかの問題を抱えた中での出産)。

【33.天山遯】
体力を著しく消耗しやすく老衰する(老化・老衰現象)。老人や重病人の場合は精気が衰えて一命危うしとなる。風邪などの伝染病。ウイルス性で熱を伴う神経系の病気(麻痺や筋肉の萎縮)。リューマチ性関節炎。悪寒や下痢、気持ちの萎縮(「放って置いてくれ」と思う心が原因)。昏睡。重病人の急激な回復は、後に危険な状態をもたらすことがあるとされる。軽症の場合は、少し休養をとれば平癒するが、あまりに軽く見過ぎて悪化させないように。また、精神的な気苦労も背負い込みやすく疲労が溜まりやすい(精神障害の元)。表面的な病気はなくても、自覚症状がないだけで実は大変な病気を抱えていることも考えられる。ストレスを溜めないように、時々は気分転換やリフレッシュの機会を作ると良いだろう。だが現実逃避で酒や薬に走らないこと。

【34.雷天大壮】
熱性の伝染病や急性の肝炎などは危険だが、その他のものは旺盛な生命力が病原を跳ね除けて平癒するだろう。病気に罹っても自覚症状が出にくく、治療が遅れることがある。不摂生が祟って悪化し、病気が長引くことがあるので用心すること。小児麻痺やポリオ(脊髄の神経細胞の炎症といったウイルス性の病気で、熱を伴い、しばしば麻痺や筋肉の萎縮を引き起こす。嫉妬のあまり感覚が麻痺する)。神経系の炎症による肩、背中(脊髄)、胸などに痛み。脚気や心臓病にも罹りやすいとされる。また大病を患っている人は危篤状態に陥る恐れもある。

【35.火地晋】
遊魂卦。原因及び治療法や病名などが判明して、回復への希望と共に本格的な治療に入る意がある。病気としては心臓疾患に注意が必要で、しかも急変することもあるので油断できない。高熱を伴い、治療に時間が掛かる傾向がある。また、飲み過ぎや食べ過ぎによる胃潰瘍や胃炎、胃痙攣などに罹りやすい。癌にも注意が必要だろう。皮膚の異常は胃腸の冷えに原因があることが多いので、冷たいものを飲み過ぎないように心掛けると良いだろう。

【36.地火明夷】
遊魂卦。重病は意識不明となり絶望的な状況となる恐れがある。脳及び心臓が危険な状態になりやすく、病気一般に関して医師の診察や判断に問題が出てくることも考えられる。肺炎や眼病(悪くすると失明の恐れもある)。突発的な事故や傷心的出来事に心を暗くすることも。軽く見えても、実は重病である場合もあるかもしれない。治療には困難が伴うが、決して諦めないことが肝心。基本的に不調を感じやすい体質で、ストレスが溜まってノイローゼになったり、不運だと思う心理が原因となって胃炎などの胃腸障害が出やすい。派生して皮膚の異常が出る恐れもある。

【37.風火家人】
周りの人々や環境から病気を貰ったり、感染しやすい。自他との間で自然にエネルギーの交換が起こっている。風邪や精力消耗が原因となっているケースが多く、気管支炎(争い事の絶えない家庭環境や環境に上手く対応できないことが原因)など余病の併発が心配される。気疲れなどで軽い病状をこじらせやすいので、疲れたなと思ったら休養をしっかり取ること。乾燥肌であることも少なくなく、皮膚炎で悩んだり傷が化膿しやすい。怪我をしたら素早く丁寧に対処する必要がある。家族のために、応急処置法を学んでおくのも良い。また、逆に治療の際、仲間や家族に支えられて気力が出てくることもあるだろう。

【38.火沢目癸】
精神病や血行不順のような病は、それ自体が背き離れると言う性質なので治りづらいとされる。また、医師の誤診や薬の合わない場合もあるかも知れない。表面上とは違った病気が影響している事も考えられる。しかし、発見が早ければ回復する見込みは高い。心臓病や動脈硬化、便秘。視力の低下(近視・遠視など)。耳痛(言い争いや、聞き書くない言葉に対する嫌悪感が原因)。悪口に悩まされたり酷評されて悲しむ。心理的にイライラしやすいので、高血圧の人は特に注意が必要である。稀に、快く思わない人から意図的に治療を妨害されるような事が起きるかもしれない。神経衰弱や痛風など、神経の病に罹る恐れがある(コミュニケーションの障害、または他人の生き方を妨害したり邪魔したりすることが原因)。

【39.水山蹇】
足や腰が痛むことが多い。骨折や下肢の細胞の壊死(凍傷など)、筋や神経の機能不全による歩行障害。足の爪が指に食い込むなど(他人や物事に対する理解不足、罪の意識、未来に対する恐れや前進できないと思う気持ちが、それらの病を招いている)。消化器系統の病気と腫れ物にも注意。病状は一進一退で、重く長引いて苦痛の激しいものが多い。長期の闘病やリハビリを余儀なくされる場合もある。外的な事故の場合は仕方ないが、せめて自発的な事故は防ぎたい。日頃から危険な行動をしないように注意を払う事。

【40.雷水解】
食中りや吐き気、腰痛が出やすいが、吐くことで気分が楽になる。体内に溜まった毒素を出すことで病原が解消されるからである。消化不良、月経不順、腫れ物、性病、胃炎などに罹りやすいだろう。早期治療によって快癒するとみるが、速やかに開腹手術を要するものもあるかも知れない。しかし、落胆や失敗に過剰反応しないで解放的に生きれば、長患いが回復してきたり、病気の原因が判明して的確な治療を受けられるようになるだろう。悩み苦しみが解ける象である。

【41.山沢損】
先天的欠乏症(欠乏感)、過労、食欲不振、貧血、副腎障害、低血圧、リューマチなどで気力や精気を損じやすい。愛情に餓えている場合もある。老人や重患の場合は、そのまま気力が衰えてしまいやすいが、若い人であれば体力さえあれば平癒するので、静養気分で気長に療養すれば良くなっていく。また、既に長く闘病している人は逆に回復の兆しが出てくることもあるいう。虚損と実益は表裏一体、という思想があるためである。

【42.風雷益】
長病は一時小康状態を保つが、それも長くは続かず、二病併発して互いに他を刺激し合って病勢が募るとみる。初めは軽く見えても、次第に悪化することがあるので気を付けたい。風邪など初期の病をこじらせないように確実に養生すること。心因性の病気である場合は、気分を大らかにもっていれば次第に快方に向かうだろう。病気を経験し克服することで、逆に一回りも二回りも精神的に強くなって心が成熟してくる。

【43.沢天夬】
一命危うしといったケースが想定される。特に首から上の病気や怪我、例えば交通事故の場合、頭部損傷で危険な状態になる恐れがある。また反転して臀部や下肢の怪我となる可能性もある(決断の際に尻込みする癖がある人)。また脳溢血や脳腫瘍、貧血症、動脈瘤破裂や心臓病、首の障害、ヘルニアなど病勢の激烈なもので、かなり絶望的な状況となるかもしれない。軽く見えても次第に悪化する傾向もあるだろう。その他、口内炎や歯の痛み、胸部の疾患、腫瘍にも注意。周囲のトラブルや諸事の対応に追われてストレスが溜まり、心身両面に亘り疲労が出やすい。栄養バランスの偏りや血行不順が元で大病に発展することもあり得る。稀だが、他者からの攻撃によって生命を落とす危険性もある。

【44.天風女后】
ふとしたキッカケから風邪が肺炎に悪化するなど、余病併発が心配される。また中風や脚気など、足の病気で足下から崩れていく危険性もある。外見は軽そうに見えても悪化しやすいので、早期発見・早期治療が大切になる。症状が進行するほど体力の消耗が激しくなるので、確実に対処しておくこと。小さな傷口から雑菌が入る恐れもあり、手当ては適切にしたい。また、遊びで付き合った異性が性病持ちである可能性がある。安易にフラフラと付いていかないほうが良いだろう。

【45.沢地萃】
墳墓卦。最悪のケースでは諸病を併発して病勢募り、危篤となって近親者が集まるが、ポジティブに考えれば、医師や看護士、友人や家族の支えが回復への一助となるだろう。病気の集合体となることを望むか、回復を願う仲間たちに囲まれることを望むか、本人の思い次第と言える。傾向としては、肺水腫や酒の飲み過ぎで肝機能を損ないやすい。人が集まる場での飲食は、程度を考えて分限を課したほうが良い(優柔不断なので人に勧められると断れず、内心にストレスを覚えやすい。付き合いもいいが、健康面も考えること)。自分だけが犠牲になって騙されているような感情を抱いたり、周囲の人や世間に対する恨みや辛辣な批評が元で慢性的な病気(リューマチなど)の原因となるので気を付けたい。

【46.地風升】
次第に病勢募り、余病と重なって重病となる恐れがある。気が付かなかった病根が出てくることもある。長患いは避けたい。また、完治したと思っていた病気が再発する恐れもある。神経症やノイローゼ、ストレスからくる胃炎や胃潰瘍に注意。日常では、食べ過ぎたり飲み過ぎたりする傾向があるので、健康を考えて適量を考えること。同様にタバコの吸い過ぎも厳禁である。

【47.沢水困】
身心共に衰弱して長引きやすい。普段健康な人であっても、気力や体力の低下、気分の悪さを覚えやすい。苦痛の激しい病気、子宮癌や胃腸癌、大腸癌など手術後も徐々に悪化する不治なものが多く、余病の併発も心配される。重病人の場合は危篤状態になる恐れもある。神経質症など、精神的に不安定な状態が長く続いたり、日頃のストレスや疲労が鬱積すると健康状態に悪影響を及ぼすため、何よりも普段の摂生が肝心となる。

【48.水風井】
質の悪い飲料水や酒の飲み過ぎに注意を要する。それが元で肝臓や腎臓に支障をきたしやすい。吐き気や胸のむかつき。限度を越えた飲酒は控えなければならない。風邪などの伝染病にも注意。また再発や併発が生じると元気虚損して衰弱する。性病や脚気にも罹りやすいだろう。病気は一進一退で長引く傾向にある。原因不明の病の場合、素人判断で勝手に薬を選ばないで速やかに専門病院を訪ねること(突然、原因不明で倒れた場合は医師ですら困惑することがある)。くも膜下出血と似た症状。

【49.沢火革】
急性の病気に罹ることが多い。病状に変化が起こって不安定となり、急変悪化しやすい。脳や心臓の衰弱と高熱が心配される。角膜炎(目に付いたものを叩きたくなる心理が原因)。腹部への圧迫感や急な心臓発作が生じる恐れがある。激しいスポーツや体力を過信した中年期の重労働は控えるべきだろう。事故による怪我や死の恐れもある。愛情や人生の喜びを拒むと心臓が冷えて萎縮しやすい。生活を根底から変えるには時に冷淡さも必要かも知れないが、むしろ喜びを持って改善していく事が望まれる。

【50.火風鼎】
風邪など高熱が出る病気と関係し、しっかり養生しないと他の病気を併発する恐れがある。風邪は一度に沢山の事が起きて戸惑ったり、精神的混乱が起こると発生する。伝染病や急性肝炎(憤りや変化に対する抵抗が原因)、甲状腺亢進症・扁桃炎に注意(仲間と協力する意思がある反面、それによって自分の創造性や満足感が抑えられていると、ストレスが溜まって病気の原因となる。何か他の事では、自分で決断してやりたい事をすれば気持ちも晴れるだろう)。病名不明や新しい治療法を必要としている病気である事もあり、治りが遅い傾向。身内に病人がいる時は、看病で逆に感染しないように気を付けること。また感染症の恐れのある地域や外国への旅行の際は、必ず予防接種を受けておくこと。

【51.震為雷】
ヒステリーや精神病。短気やイライラ、発熱、筋を違える、交通事故、捻挫や骨折、やけど、打ち身、耳痛、よろめき、不眠症や自律神経失調症などが主な症状となるだろう。権威に対する反発や自他に対する怒りの感情が事故を生む。自己主張を気兼ねなくできる環境が必要だろう。あるいは、カラオケボックスなどでストレスを発散する方法も良いかも知れない。その他、虫歯や口内炎、腫れ物、大腸炎、痛風、大きな音や声などへの過剰反応、恐怖やショック症状が出やすい。ただし病気が発症しても見た目ほど悪くないことも多く、軽症ならば休養や通院程度で治る。それでも、ぶり返す事も考えられるので気を付けるに越した事はない。短気なため血圧が上昇しやすく、かんしゃくを起こしたり、喧嘩沙汰を招きやすいので注意が必要である。また、突然死の恐れもある。

【52.艮為山】
日頃の疲れがピークになって突然、腰痛や打撲、首の痛みや凝り、タコやマメに悩まされる(いずれも頑固な考えや古い因習に囚われることが原因)。また、けいれん、半身不随、肘や膝などの関節痛、関節の怪我や病気(いずれも変化や方向転換に順応できない、柔軟な考えができないことが原因)、だるさ、湿疹(敵意や感情の爆発が原因)などに罹ることも予測される。その他、胃腸病(消化不良)やアレルギー、水虫、便秘、冷え性、骨の脆さなどを持病とすることもあるだろう。長引いて痼疾化してしまい、完治に時間が掛かる傾向があり、再発の恐れもある。見かけよりも重症の恐れがあるので注意が必要だろう。慢性病の原因となる心理は、変わりたくない、未来への恐れや脅え、といったもの。変化に柔軟に対応する姿勢を学ぶと良いだろう。あまり頑固にならないように。六淫の湿邪を代表する。

【53.風山漸】
帰魂卦。胃から胸に悪い部位があるとされる。早期に発見すれば軽症の内に治療できるが、放って置くと次第に悪化してしまう。軽症のケースは病人自体が漸次体力がついて回復していくが、重症のケースは病勢そのものが進行していきやすく、死病となることも考えられる。なによりも継続的な治療と看病を怠らないことが大切だろう。徐々に、体内に溜まった不純物や毒素を出していく必要がある。また食事に関しても、少しづつ食べられる範囲で栄養を摂取していくように心掛けること。病後の運動もまた然りである。

【54.雷沢帰妹】
帰魂卦。普段は健康体であっても、口舌やイライラによるかんしゃくを起こしやすい。ヒステリー症状。高血圧か血圧が上昇しやすい体質と言えるだろう。また、怪我の傷口から雑菌が入り化膿する恐れもある。節制を欠きやすく、また治療法に間違いが出やすいとされる。肺結核や性病、癌など悪性であったり悪化して末期的状況になる場合がある。病気は長引くと危険で、重病者は既に薬効なく手違いなどもあって危篤となることも考えられる。その他、異性が幸運を運ぶこともあるが、性的快楽に溺れたりエイズなどの性病に犯される危険性もあるので、自制と注意が必要だろう。

【55.雷火豊】
働き過ぎが原因で精神疲労になったり、心臓などを急に悪くする傾向がある。病気は高熱を伴う急性で激変しやすいものとなるので警戒を要する。疲労で気力が失せたり油断したがために病勢が進む。ショッキングな出来事や不慮の事故に見舞われることもある。長病は死亡することが多いとされる。ただし、裕福な生活環境では怠惰さや甘えが出やすく放縦になる傾向がある。肥満や糖尿病にならないように、生活に節度を持たせること。

【56.火山旅】
熱性の伝染病や脳梗塞など、安定を得難く一時の小康を得てもまた悪化し、重病者は危険とみる。様々な病気を遍歴して、毎日多くの薬を飲む人もいる。もがきや過労で体力と気力を消耗する。初めは軽く見えても悪化しやすい。以前の病気が再発する傾向があり、それが長引くと憂うべき事態になる恐れがある。また、中風に罹ったり腫れ物ができるかも知れない。上手なストレス発散法や疲労解消法を見つけると良いだろう。旅先での無思慮な言動や危険な行動は慎みたい。思わぬ事故やトラブルを生じる恐れがある。孤独な最後を迎える。

【57.巽為風】
一進一退を繰り返して病名・治療法共にはっきりしない病気や不治の病に罹る傾向がある。腸などの長い器官に関する病気。肺結核や中風(神経痛)、リューマチ、しびれやかゆみ、また慢性疾患、流行性感冒(伝染病)、性病などの長引くものが多いだろう。酒の飲み過ぎで胃が荒れたり肝機能に障害が出ることがあるので、普段から摂生を心掛けること。胆石。風邪が万病を呼び、他の病気を併発する恐れがもあるので、しっかりと養生に努めること。精神的な不安や心配が原因で、心因性の病気を誘発することもある。風邪は一度にたくさんの事が起きて戸惑ったり、精神的混乱が起こると発症しやすい。人生に対する平衡感覚を失った時は、何より心の安定を図ることが大切。六淫の風邪を代表する。

【58.兌為沢】
肺病や口腔の疾患で、根気のいる治療を要する。虫歯や歯茎の腫れ(決断力や実行力の弱さが原因)、体液不足(口や喉の渇き、唇や爪の荒れ、乾燥肌など)、糖尿、食道や気管支の疾患(喘息や乾咳)に注意。歯磨きの習慣を付け、甘いものを食べ過ぎないように。食事は腹八分を守ること。呼吸器及び心肺機能が弱く(憂鬱や悲観的になりやすい性格)、過度な重労働は避けたほうがいい。また、ガスが出やすいなど大腸の異常が見られることもある(物事を手放すことを恐れるため)。傷や病気は悪化しても治る傾向にあるが、軽視は禁物。喜悦を実らせる反面、それを浪費するという象であり、不摂生が祟ると病気の再発を招いたり寿命を削る恐れがあるので注意したい。六淫の燥邪を代表する。

【59.風水渙】
筋肉のけいれんや全身に瞬間的な痛みが走ることがあるかも知れないが、しばらくすると治まる。日常的に怪我をすることが多いが、適切に対処していれば大丈夫だろう。風邪が原因で肺炎や胸部疾患を起こし、高熱を出すこともある。軽症や急病は治癒するが、長病や重病は危篤に陥りやすいとされる。楽観的思考やポジティブな気持ちが病の苦しみを吹き散らし、再起することができる。しかし、あまりに重病の場合は病から解放されることと引き換えに命を失うかも知れない。

【60.水沢節】
関節痛や関節炎など身体の節々が痛みやすい(柔軟な思考力が欠けていたり、粗探しや欲求不満によって引き起こされる。自己批判や完全主義が過度になり過ぎないように)。糖尿病など、長期療養を要するものが考えられるが、節度節制を重んじていれば漸次好転するだろう。病名が不明なケースもあるかもしれない。また呼吸器系統の病気に罹りやすいとみる。タバコを吸っている人は吸い過ぎには十分注意すること。咳き込んだり胸苦しさを感じやすい。風邪をこじらせて気管支炎になる恐れもある。だが、基本的に普段の生活習慣に節度を持たせ、過度の飲食・飲酒を控えて適度な運動をしていれば、大事に至ることは少ないと思われる。

【61.風沢中孚】
遊魂卦。見かけは健康そうでも、精神的にはストレスや不満などで荒廃していることがある。純真な性格と対社会との矛盾で心理的な葛藤をきたしやすい。精神と肉体、及び自分の性格と現実社会とのバランスを上手に取ることが肝心だろう。憂鬱や無力感、人間関係の不調や苛立ちが原因で、内臓が悪化しやすいと思われる。口頭炎、どもり、喉の疾患(自由に話せない、真意が伝えられない)、大腸炎、心臓病や眼病、肺結核などにも罹る恐れがある。気力が萎えて微熱が続く傾向があるが、とかく熱性の急病は危険信号となる。兆候があれば早めの対処を。

【62.雷山小過】
遊魂・墳墓卦。甲状腺機能亢進症など、病状の過度な進行を示す。軽症は治療により良くなるだろうが、癌など重患の場合は手遅れとなる恐れがある。癌の心的原因は、総括的に言って感情や所有物に対する過剰な執着である。自分の情動を抑圧し続けたり、悪意や敵意の感情で凝り固まっている人に癌が発症する人が多い。また金や物に対する行き過ぎた貪欲さも癌を招く元である。その貪りの感情が自分の細胞を内側から蝕む。固執した厳格な性格であったり、親の愛に餓えていたり、憎悪の感情を克服することができない人に、その芽を見ることができる。手術後、急速に悪化したり、医療ミスや誤診が起きる危険性もあり、病院や医師の選択は慎重にしたい。コミュニケーションに問題がある場合、神経衰弱や痛風などの神経痛に罹る恐れがある。往々にして、病気を自覚しても放って置きがちで、後に苦しむ結果となりやすい。自分の身体を安易に見捨てないように。

【63.水火既済】
基本的には健康体とみる。スマートで太りにくい体質。だが運動不足で筋力が低下したり、身体を弱くしがち。体力や筋力を過信する傾向もあるので、普段からウォーキングや軽いジョギングといったもので身体を動かすこと。病状が急変することはないだろうが、徐々に気力を奪い衰弱していくので、早めの治療が肝心。長病や重患は生命が尽きる可能性が高い。一時、小康状態を得ても危険を伴うと考え、完治するまで油断しないこと。万全の手当てと余病を生じさせない用心、そして療養の適切さが全てを決める。最終的には気力勝負となるかもしれない。視力低下(遠視や近視)も起きやすい。

【64.火水未済】
血液循環が悪い傾向にある。血行をよくするために適度な運動や体操を必要とするだろう。肺炎、脳炎、動脈硬化(コレステロール過多)、脳卒中、心臓病、眼病、耳病、性病、自律神経失調症(コミュニケーションの障害が原因)などを患いやすいとみる。重病の時は危ない。既済同様に、一時小康状態を得ても危険を伴うので、完治するまで油断禁物である。慢性化した病の治療に根気を要し、闘病生活を余儀なくされるかも知れない。否定的な感情を強く抱いたり、物事が上手くいかない時に無理やり人生の方向を変えようとすると、全身の血の巡りが悪くなって脳卒中などに罹りやすくなる。

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<六淫と病気>

【風邪】(春季)
原因:寒、暑、火、湿、気功や温度・湿度の急変、七情の異常
症状:神経痛、中風、リューマチ、マヒ、しびれ、かゆみ、筋肉の突っ張り、風疹(じんましん)、風邪の諸症状(頭痛、寒気、鼻水、咳など)

【暑邪・火邪】(夏季)
原因:夏の暑さ、高熱の場所、冬の暖房の掛け過ぎ、七情の異常
症状:面赤、充血、意識朦朧、めまい、記憶力の低下、頭痛、高熱、心臓の動機、他言やうわ言、口の渇き、唇の荒れ、胸のむかつき、イライラ、不安、狂ったように動き回る、意識不明で倒れる、食欲不振、精神昂揚による不眠、発熱、多汗、小便の出が少なく色は濃黄または濁赤、時に便秘

【湿邪】(土用)
原因:梅雨時や秋の長雨の季節、湿気の多い所、七情の異常
症状:体液の排泄異常、腹部が固く痞えた感じを覚える、小便の出が悪い、手足や顔のむくみ、胃腸にチャプチャプ音が聴こえる、消化不良で食欲不振、神経痛、便が水っぽく柔らかい、湿疹、水っぽい痰が出る、関節痛、身体が重い、だるい、憂鬱などの精神病

【燥邪】(秋季)
原因:乾燥した気候、乾燥し過ぎた場所、七情の異常
症状:体液不足、日射病、糖尿病、充血性の眼、口や唇・舌・喉・鼻の渇き、咳、脇の痛み、皮膚がカサカサになる、乾咳、喘息(呼吸器系の異常)、しゃがれ声、手足のひらが熱っぽい、午後の微熱がある、寝汗、爪割れ、大便が固い

【寒邪】(冬季)
原因:寒冷な気候、冷えすぎる場所、夏の冷房の掛け過ぎ、水気の多い場所(寒湿)、陽気不足
症状:寒気、手足・背中・腰などの冷え、口は渇かず熱い飲み物を好む、顔面蒼白、小便の量が多い、時に下痢

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≪「易と健康」に関して〜あとがき&参考文献〜≫

健康や病気について書くことは、正直言って難しいです。
実際の体験や見聞から得た観点も含めて書いていますが、本来ならばあまり素人が口出しする分野ではないからです。

占星術にも病気や健康に関する研究があり、占い師の多くはそういったことに言及できる力を持っていますが、しかし本来は医師でない限り、診断を下したり治療を行なうことはできません。ただ、予防医学的な生活上のアドバイス――たとえば、ストレス解消の方法などを一緒に考えていくことはできるんじゃないかと思います。

なお、このサイトの閲覧者の方には医学の知識のある方もいらっしゃると思いますので、現場の視点から見たご意見やご批判などを下さると今後の発展(バージョンアップ)に繋がると思います。ご指導のほどを、よろしくお願い申し上げます。

以下に、参考した書籍を示します。

『サイコロを使った 実占・易経』 立野清隆 五月書房
『決断易学入門』 清野幸男 ごま書房
『新訂 現代易入門―開運法―』 井田成明 明治書院 (今は、気学の内容が盛り込まれた新書版として出ています)
『タオ健身法』高藤聡一郎 大陸書房
『ライフ・ヒーリング』 ルイーズ・L・ヘイ著 中西珠佳江訳 たま出版
『人間・その神秘な世界』 武居敬佑著 実業之日本社

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以下、より理解を深めるために、五行・五臓六腑・七情について各表を挙げておきます。

※参考文献および引用元
『気功の基礎入門―これだけは知っておきたい』 柴 剣宇(著) 張 碧英(翻訳) 日本気功協会(監修)
『ひとりでできる健康気功―すぐにできる症状別気功法ガイド付』 趙 宝峰(著) 張 碧英(翻訳) 日本気功協会(監修)
『中国気功法』 林 厚省(著) 杉 充胤(翻訳) たま出版 

五行

臓・腑

肝臓・胆

心臓・小腸

脾臓・胃

肺臓・大腸

腎臓・膀胱

五色

五気

湿

五季

土用

五根(竅)

五主

筋(神経)

血脈

肌肉(筋肉)

皮膚・体毛

五志

思考

悲愁

恐・驚

五味

鹹(塩辛い)

五位

頚・項

胸・脇

脊髄

背・肩

腰・股

五方

中央

西

五支

五精

意・智

精志

五行

臓・腑

肝臓・胆

心臓・小腸

脾臓・胃

肺臓・大腸

腎臓・膀胱

五気

湿

五根(竅)

口(唇)

鼻、喉

五主

筋(神経)

血脈

肌肉(筋肉)

皮膚・体毛

五志

思考

悲愁

恐・驚

五位

頚・項

胸・脇

脊髄

背・肩

腰・股

五支

五色

五行

相生

相克

胆・肝が良くなると心・小腸が良くなる

胆・肝が悪くなると脾・胃が悪くなる

心・小腸が良くなると脾・胃が良くなる

心・小腸が悪くなると肺・大腸が悪くなる

脾・胃が良くなると肺・大腸が良くなる

脾・胃が悪くなると腎・膀胱が悪くなる

肺・大腸が良くなると腎・膀胱が良くなる

肺・大腸が悪くなると胆・肝が悪くなる

腎・膀胱が良くなると胆・肝が良くなる

腎・膀胱が悪くなると心・小腸が悪くなる

名称

機能

五臓

生化学的変化や精気の貯蓄

六腑

食物の消化、排出物のふるい分けや運搬

『素問・五臓別論』
「いわゆる五臓には精気が蓄えられるが排泄しない。だから充満するが充実することはありえない。六腑は消化後の排出物を送出して蓄えない。だから充実しても充満することはありえない。」

五臓

働き(生理機能)

機能異常に伴う症状

血の貯蔵と疏泄(胆汁の分泌や排泄、消化吸収)を司る。また目に通じており、その状態は爪に現れる。

胸部の悶え、膨満感、生理不順、イライラ、怒りっぽくなる、不眠、多夢、めまい、疼痛感、腐臭や酸味のあるゲップ、食欲不振、軟便、目の乾きや霞み、充血、めまい、爪のツヤが無くなるetc...

血脈を司り、血液循環の原動力である。精神にも深い関係があり、その状態は顔や舌に現れる。

血脈不十分(血行障害)となり、顔面蒼白。酷くなると青紫色。不眠、多夢、昏睡、昏迷、痴呆や健忘、狂騒、精神的不安、舌のもつれ(ろれつが回らない)・ただれ・こわばり、舌の色が淡くなる(青紫・斑点)、イライラ(短気)、多汗、気づかれ、動悸etc...

栄養を消化吸収し、体内に循環させる役割がある。また血液や体液の代謝バランスを司る。
その状態は口(唇)に現れる。

食欲不振、下痢、胃腹部の膨満感、消化不良、やせ、怠惰感、栄養不良、代謝障害、むくみ、長期間の血便、女性の不正性器出血など、様々な出血症状、唇が黄色がかる、唇の光沢が無くなり荒れる、筋肉疲労etc...

咽頭や鼻(臭覚)と繋がっており、主に呼吸と体液の調整(宣発と粛降)を司る。また、全身を循環する気も司っている。

呼吸に力がない(呼吸機能の減退)、声音が低い(弱い)、倦怠感(無力感、だるさ)、胸部苦悶感、鼻づまり、咳、痰、喘息、嗅覚不良、全身性の各種機能障害、皮膚表面が閉じて汗が出ないetc...

精を蔵し、水液代謝を司る。生殖器に通じ、その状態は髪に現れる。腎精と腎陽は各臓腑に対する滋養と保温及び生化作用を果たしている。

性機能と生殖能力の減退・消失、生殖器の形体の衰え、頭髪のツヤが無くなる、脱毛、白髪、水腫(むくみ)、知能が働かなくなる(無智)etc...

六腑

働き(生理機能)

機能異常に
伴う症状

胆汁の貯蔵。胆から生じた胆汁は腸へ注がれ、飲食物の消化を促進する作用がある。人の精神活動に関係し、決断を司っている。

恐怖、不眠、多夢などの精神疾患

小腸

胃で消化された食物をさらに消化し、それを清濁に分別する。清いものは吸収された後、全身の各部位に運ばれて代謝活用され、残った水液は膀胱に送られる。濁ったものは大腸に運ばれ排泄される。

大便と小便に異常が現れる

胃に収まった食物は、胃気で消化された後、小腸に運ばれる。
また、脾の運化作用によって全身に栄養が送られる。

「胃気が良ければ生き、衰えれば死ぬ」と云われている

大腸

小腸から送られてきた濁ったものの内、水液を吸収し、糞便として肛門へ運ぶ。最後は体外へ排出することになる。

腸鳴、軟便、便秘、下痢

膀胱

水液を貯蔵し、尿を排泄する。

排尿困難、閉尿、頻尿、尿失禁

三焦

上焦・中焦・下焦の総称。心と肺が上焦、脾と胃が中焦、肝・腎・大腸・小腸・膀胱などが下焦となる。

(各臓腑を参照)

※五行思想の根本的な理論は、全体のバランスを量るということです。
過度に強調された性質は、特殊な作用のある反面、全体的なバランスを欠きます。
健康で豊かな充実した人生を送るためには、身心全体の調和を第一に考える必要があります。 

七情

『素問・疏五過論』
「生別や死別、気持ちの躁鬱、憂慮、恐怖、喜怒などの要素はすべて五臓を空虚にし、そのために血気の正常な平衡維持が難しくなる」

七情

七情(精神情緒の働き)の異常に伴う臓腑の状態

激怒すると肝気が上に登り、吐血、鼻血、悪化すると脳血管障害が起こる

極度の喜びによって、気が弛緩して精神が集中しなくなる

過度の悲愁は気を消沈させ、肺気の消耗を激しくする

甚だしい恐怖は腎気を激しく消耗させる。大小便失禁、遺精、腰がだるい、無力感

精神の安定が失われ、心や肝の機能障害、精神錯乱など、生体機能が乱れる
思・憂 過度の憂慮は脾の機能を損なわせ、腹部膨満、消化不良、水様便の原因となる

※七情は、普段の日常生活の生理的な活動範囲内にあるため、すぐさま病気を誘発するものではありませんが、それが長期間続いたり過度に強調されて(突然のショックや精神的打撃など)生理的な調整限度を超えてしまうと病気となってしまいます。こういった、人間の心の働きによって呼び起こされる病気(機能失調)のことを「内傷」と言います。


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