*沢地萃 / Gathering Together


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45.沢地萃

萃は集まるの意味。湿地の周りに植物が繁茂し、動物達が水を飲みに集まってくる情景。そこから、一箇所に物事・人・情報などが集まる象意が出てきます。繁華街とか商店街のイメージと重なるため、昔から商売繁盛を願う人々に好まれてきた卦。ただし、同業者やライバル店舗が軒を連ねるため、競合や競争に苦労するという一面もあります。また、人間を含めた生き物たちの憩いの場全般にも当てはまります。例えば公園などの広場・池の湖畔・駅・テーマパークなどのレジャー施設・図書館や本屋・コンビニ・ショッピングモールなど。他には、人々が一堂に会する講堂・地域の行事・祭典・観光客向けのイベントといったことが萃に相当するでしょう(固定化させたイメージが常に通用するわけではありませんが)。

裏卦は山天大畜。資源を山から取り出すとか、どっさりと物産を抱え込んで、それを売ったり使ったりする象意。また、そのための訓練や環境設定を示す卦です。萃が不特定の人や物、情報が集まる・招くのが主目的であるのに対し、大畜は特定のものを蓄えることに力点が置かれています。貯金したり食料を買い置きしたり日夜勉強したり練習したりと、将来的に必要になるものを備えておく。そしてその後、仕入れたものを売ったり、培ったものを現実の場で生かすような働きかけをしていくわけです。いったん自分の力(身近なもの)とした後で、それらを公開して他の人達に役立てるという共通の課題が読み取れます。

綜卦は地風升。人々が集まったことで生まれた熱気を昇華して上昇気流に変える作業。萃という水源から生命力を得る。地中の養分と水分を吸い上げて成長する植物のイメージ。人間で言えば、地元市民の支持と支援を得て議員になった人のような感じです。萃の内卦坤が一般人で、そこに外卦兌としての政策や公約を掲げて期待という票を集めようとします。そして、それが上手くいけば内卦巽の風に押し上げられるようにして他の候補者を制して当選する。ただし外卦は坤であり、議員になったことに驕って民意を忘れるようなことがあってはなりません。今は政治家の例で書きましたが、一般生活においても周りから支持されたり評価されて出世する、リーダーに推挙される、プロジェクトの適任者として指名されるなどが考えられるでしょう。その辺は臨機応変に捉えてください。

類似関係は天火同人です。萃も同人も共に「募集」という意味を含んでいます。仲間を集い、相手や周りの人々と手を携えて生きる。自分のいる環境の中で共存共栄する道をゆくことが一つのテーマです。もっとも、萃は基本的に人を選びませんが、同人は分野が限定されてくるため、結果的に集まる対象や規模に違いが出ます。見方を変えれば、同人はより志向性が高いということです。本来的には、どちらも理解が得られるのならば年代・性別・国籍・人種などにこだわる必要はないのですが、それでも意(目的や関心)にそぐわない人と結びつくことは難しいでしょう。どんなに多くのお客が来ても気に入った品がなければ買ってもらえないし、趣味が合わなければ共同して何かを作ったりすることはできません。

萃&同人は晋&屯から11番目で、10という基礎的な社会(共同体)の中に新しい視点を加えようとします。これは前例のない事柄であることも多く、大概はパイオニアとして先陣を切る、もしくは中心的役割を担う傾向があります。自分の個性や特技を売り物になるように模索したり、理解してくれる人や価値を共有できる人々を探すという段階。とはいえ、ある程度の人数が集まっても、まだ一般認識としては「はぐれ狼」的な少数勢力でしかないことがほとんどでしょう。しかし、既存の社会には見られない独自性や新たな可能性を滋養していれば、次の升&大有期を迎えた時、有数の専門家として才能を開花させることができるはずです。

最後に、萃に対する補完相手は噬[口盍]、そして目指すヴィジョンは賁です。噬[口盍]は障害物を砕く・取り除くの意味。その人の健全な発達に対して悪影響を及ぼすと思われるものを見つけ出し除去する働き。歯磨きをして歯垢を落とすようなイメージです。萃として集めるものは玉石混交ですから、提供する側・享受する側に関わらず、良いものもあればそうでないものもある。また、ある人にとっては興味があっても、他の人にとっては対象外というものもあるでしょう。そうした状況を観察して問題となるものがあれば除去する。その反面、役立つものや評価の高いものをもっと普及させるために、周辺を装飾して目立つようにしたり、宣伝を行ったり…ということが賁に相当するでしょうか。他にも色んな状況が想定できますから、是非ご自身の生活の中での応用を考えてみてください。

<爻意は後日、追加更新します。>

 


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